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韓国:起亜のモーニングを作る非正規工場
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グッドモーニング! 徹夜にこんにちは。

また一つの工場、起亜のモーニングを作る非正規工場は安寧ではない

メディア忠清 www.cmedia.or.kr / 2008年10月01日13時15分

最低賃金3770ウォンより110ウォン多い3年目の時給労働者S

勤続3年目の労働者のS氏は、自分の職場紹介の時に恥ずかしい。仕事は起亜車 の『モーニング』を作ることだが、起亜車には通わない。彼が働く所は忠南道 瑞山の『ドンヒオート』という所だ。それでもS氏がドンヒオート職員でもない。 国民年金、雇用保険などの四大保険上、彼が身を置く職場は『テワン企業』と いう所だ。テワン企業はドンヒオートの社内下請だ。ドンヒオートは起亜車の 『モーニング』を生産する業者で、現代車から土地と建物を借りて工場を運営 している。

Sは秋夕連休前日の9月12日に解雇通知を受けた。『大学中退』学歴脱落を理由 とした懲戒解雇だった。S氏はテワン企業の懲戒に反発している。「職業選択の 自由があって、持っていない資格証明を持っているといったり、ない学歴を虚 偽に記載して、これによる利益を取らなかったのだから不当だと主張する」。 むしろS氏は8月初め、UPH(時間当り生産台数)上昇による人員補充問題を提起し たことを解雇強行の理由だとする。

Sは解雇された後、全治5週の足指の骨折傷を受けた。再審手続きも残っていて 解雇を認められず、出勤しようとする過程で受けた負傷だ。

[出処:ドンヒオート社内下請解雇者復職闘争委員会]

ドンヒオートはどんな会社なのか

ドンヒオート(株)
▲ 2001年12月自動車組み立て、生産および販売などを目的に設立
▲ 2004年から生産を始めた資本金300億、常時労働者160人規模

-忠南、瑞山市聖淵面カリョン里にある現代自動車(株)から工場土地と建物を賃借りして使用中.
-起亜自動車(株)から小型車部門に対する製造を委託され『モーニング』を生産
-2004年794億3300万ウォン、2005年852億9千万ウォン、2006年855億6200万ウォン、2007年886億8700万ウォンの売り上げ達成、2007年当期純益増加率は171.35%

▲株式:全600万株中(株)ドンヒ産業270万株(45%)、起亜自動車(株)210万6千株(35.1%)、平和クラッチ工業(株)119万4千株(19.9%)

▲ 2007年147892台生産、2008年8月現在97508台生産(輸出39939台、内需57569台)

排気量1000ccの軽自動車モーニングを作るドンヒオート(株)の現況を見れば、 資本金300億ウォン、職員160人だ。工場の土地と建物は現代自動車から借りて 使っている。ところが年間15万台の自動車を生産するという。どうしてこれが 可能なのだろうか? ドンヒオートには850人の非正規職労働者がいるから可能だ。 多段階下請け、請負という名で中間搾取が容認されるのから可能だ。

雇用保障と労働組合を眼の上のこぶと思ってきた資本は、終わりなしに思いの ままに解雇して、労働組合のない工場を夢見てきた。しばしば言われる労働の 柔軟化戦略だ。労働の柔軟化戦略は、さまざまな形態で現れた。単位事業場で の解雇と外注処理、経営上の理由による解雇と派遣法の導入といった法体系を 利用した制度化、労働者団結と争議権削減などがこれに該当する。

ドンヒオートのような100%非正規工場は、『柔軟化戦略』の終わりを見せる。 差別が固まるのだ。非正規職だけで稼動させる非正規工場は、正規職と非正規 職の差別を越え、空間分離による差別構造の定着を意味する。過去には事務職 労働者と生産職労働者を『労働の質』という偽りの名で差別し、今では雇用形 態による差別と分割を空間分離で完成している。

修習期間の時給3760ウォン、修習後には最低賃金より10ウォン多い3780ウォン、 勤続3年目の労働者が3880ウォンというのが100%非正規工場の現実だ。90日以上 ハンストをしたキリュン電子も非正規職にだけ行われ、最低賃金より10ウォン 多かった。

160人の事務管理職が12の業者850人を監督し、年間15万台を作る工場であるド ンヒオートは、実際には起亜車の軽自動車生産ラインだ。起亜車は『モーニン グ』を販売し「起亜車で開発して販売するが生産はドンヒオートという所で作っ ています」とは消費者に知らせない。最低賃金より10ウォン多く払って作って いるとは知らせない。直接生産ラインの派遣労働者は不法なので、請負と言う とはいわない。『口から正しい声を出す労働者』『権利を主張する労働者』を 思いのままに解雇したり、業者を変え、労組結成を防ぐとは話さない。

原油高で、軽自動車の人気に乗り、起亜自動車『モーニング』は快調だ。6か月 ぐらい待たなければ車が買えないという。モーニングは8月までに内需だけで 57569台を生産した。07年の28404台の生産と比較するとブームというに値する。

モーニングのブームが起亜車の経営陣には毎日『Good morning!』かもしれない が、モーニングを作るために徹夜をする非正規労働者には疲れてだるい朝だけ でしかない。非正規職でいつも解約と業者変更に苦しむ限り、低賃金に苦しみ ながら、最低限の労働権も保障されない現実で、『モーニング』を作る非正規 職の労働者たちにとって、モーニングは絶望の別名でしかない。(イム・ドゥヒョク)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


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