本文の先頭へ
韓国:障害者の集会を認めない警察に、裁判所が「基本権侵害」
Home 検索

障害者の集会を認めない警察に、裁判所が「基本権侵害」

警察の相次ぐ集会不許可に障害者団体が訴訟を提起

カン・ヘミン記者 2014.10.20 19:20

▲10月17日、国連が定めた世界貧困撤廃デーをむかえ障害者参加者がデモ行進した[出処:ビーマイナー]

警察が障害者の集会・デモの申告を立て続けに不許可にしたことに対し、 裁判所がこれは基本権侵害だとして執行停止を決定した。

8月5日、障害者自立生活センター・パン(以下 センター・パン)は、 ソウル市の鍾路警察署に8月21日に行われる「障害等級制・扶養義務制廃止決意大会」を申告し、 鍾路で光化門広場までデモ行進の申告を出した。 しかし鍾路警察署は集会およびデモに関する法律(以下 集示法)第12条第1項、 交通疎通のための制限などを根拠に禁止を通告した。

続いて警察はセンター・パンが10月17日の「貧困撤廃デー」に 普信閣から光化門広場までデモ行進をするという申告にも、 同じ理由で「不許可」を通告した。

現在の集示法では、申告を受け付けた所轄警察署長が集会が集団的な暴行、脅迫などで公共の秩序に直接的な危険を招いたり、 深刻な交通の不便を与える恐れがあれば禁じられるようになっている。

これに基づいて鍾路警察署は、センター・パンの10月17日のデモ行進の申告に 「大統領令が定めた主要都市・主要道路(鍾路および世宗路)に該当し、 申告した1車線で宣伝カーを利用して行進すると、 周辺の車両の通行と市民の通行に不便を与えるのは明白」とし、 以前、デモ行進を試み、これを遮断する警察に暴力を行使したことがあり、 公共の秩序を威嚇するという理由で禁止通告した。

警察の集会禁止通告が続いたため、 障害者団体は民主社会のための弁護士の会所属の弁護士と共に10月1日、 警察のデモ行進禁止通告処分に対する執行政治申請と取り消し訴訟を出した。 これに対し、裁判所は15日、警察の判断は憲法が保障する集会・結社の自由を侵害するなど、 集会申請人が「回復できない損害を受ける危険がある」とし、 執行停止仮処分を決定した。

ソウル行政法院は決定文で 「デモは金曜の退勤時間が本格的に始まる前に終わるので、 一番道路が混雑する時間は避けたと見られる点、 また1車線しか利用せず行進すると申告したので、 デモが予定された道路全ての通行が制限されなかった点、 予想参加人員が200人程度で、交通に深刻な不都合を起こす程に参加人員が大きくもなかった点などを総合すれば、 この事件の処分の効力を停止しても公共の福利に重大な影響を与える恐れがあるとは言えない」とし、 執行停止の理由を明らかにした。

裁判所のこの決定について障害者団体らは 「デモ行進禁止通告の違法性については取り消し訴訟で争い続ける」とし 「集会およびデモ行進に対する無分別な禁止通告問題に対し、 警察は警戒心を持ってほしい」と伝えた。

したがって今回の訴訟は、警察の無分別な不許可通告に対する 「全面戦争」になるものと見られる。 事実上、障害者の集会に対する警察の不許可通告はかなり前からあった。

全国障害者差別撤廃連帯のチョ・ヒョンス政策局長は 「2009年から4月20日の障害者の日、12月3日の世界障害者の日を除くほとんどの事案に対し、警察は不許可を通告した」とし 「しかし車椅子利用者は都市内の歩行環境の不備で、 日常でも車道を利用する場合が多いが、 デモ行進の性格上、多くの車椅子利用者が移動するため車道での移動は避けられない。 しかし警察は車道に出れば集会が申告されていないとして集示法および一般交通妨害罪を適用し、 重症障害者に数千万ウォンの罰金刑を宣告した」と伝えた。 これにより、まさに「生存権」を守るために集会に出た重症障害者は罰金に耐えられず、 自主的に労役のために監獄に行くこともある。

今回の訴訟を進めた民主社会のための弁護士の会のシン・フンミン弁護士は、 警察が集示法上の権限を乱用していると批判した。

シン弁護士は「集示法に明示された警察の禁止権限は、 一般市民の基本権と集会・結社の自由、両者が調和するように調整しろということであって、 一般市民の通行権が集会・結社の自由より優位にあるというのではない。 何よりも障害者は、集会の理由が生存権と連結している」とし 「集会・結社の自由は、ある程度の交通妨害を前提とするが、 警察は交通障害を理由に無条件に禁止通告をしている」と指摘した。

なお、こうした警察の恣意的な法解釈は集会・結社の自由を侵害し、 事実上、集会とデモを申告制ではなく「許可制」に転落させるとし、 すでに憲法訴願が提起されている。

付記
カン・ヘミン記者はビーマイナー記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-10-22 04:04:03 / Last modified on 2014-10-22 05:16:13 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について