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韓国:人権団体、キャンドル集会保障と戦闘警察制度廃止要求
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「戦闘警察の良心も侵害されている」

人権団体、キャンドル集会保障と戦闘警察制度廃止要求

チェ・イニ記者 flyhigh@jinbo.net / 2008年06月12日14時33分

▲人権団体が警察庁前で記者会見し、キャンドル集会保障と戦闘警察制度の廃止を要求した。/キム・ヨンウク記者

BSE危険米国産牛肉輸入反対キャンドル集会に対処する警察の態度が暴力的とい う社会的世論が起き、戦闘警察制度を廃止しようという主張が出てきて注目さ れている。

全国38の人権団体で構成された人権団体連席会議は6月12日午前、ソウルの西大 門区ミグン洞警察庁前で記者会見し、キャンドル集会の過程で起きた警察の人 権侵害事例を集めて発表し、戦闘警察制度の廃止を要求した。

人権団体連席会議は5月26日から警察暴力・人権侵害監視団を設置、現場での公 権力による人権侵害事例を集めてオンライン掲示板とEメールを使って市民から の情報提供を受けてきた。彼らはこれを集めて今後国家人権委員会に陳情する 予定だ。

人権侵害監視団が直接目撃したり市民の情報提供の中で信憑性ある事例によれ ば、警察の人権侵害事例は路上拘禁、不法採証、デモ隊を装った私服警察、公 共機関CCTVを採証目的でズームまたは回転、車壁とコンテナなど多様だ。

警察は5月27日未明、キャンドルデモ隊が解散した後も鍾路1街の市民の通行を 防ぐ一方、28日と31日にも光化門と清渓川一帯の歩道の通行を遮った。「米大 使館などの主要施設保護という名分で歩道だけでなく地下鉄入口と地下道封鎖 など、不特定多数の移動の自由を深刻に侵害した」という主張だ。6月1日の朝 には光化門地下道が封鎖され、帰宅しようとしていた市民が2時間拘禁される事 態もあった。

▲キム・ヨンウク記者

5月27日の夜にはソウル市警所属警察が令状なく私服を着てデモ隊に混じり、市 民の顔を採証していたのが見つかり、警察が謝ったが、その後も是正されてい ない。このような行為は警察官職務執行法上、身分を知らせる義務に違反する。

また、キャンドル集会の鎮圧過程では、警察所属と名前などの識別表示を分け る行為、こん棒と盾の脅迫的使用、散水車を利用した暴力的鎮圧、消火器乱射、 盾を利用したデモ隊への攻撃、歩道での連行、集団暴行、障害者と青少年への 暴力、デモ隊に対する物品の投擲、十分な解散時間と安全の不確保などが人権 侵害の事例と指摘された。

キャンドル集会参加者を連行して調査する過程でも、ミランダ原則不告知およ び暴力行使、連行および解散過程での性暴力、面会妨害、解散目的で車両を強 引に通行させて交通事故を誘発するなどの問題点があった。

記者会見の参加者たちはこのような事例を集めて発表し、「こうした暴力的な 鎮圧は、市民の正当な集会とデモの自由を抑圧するだけでなく、それに動員さ れた戦闘警察の人権も深刻に侵害している」とし「国際社会で例のない戦闘警 察制度を廃止しろ」と要求した。

「不当な命令で戦闘警察の良心の自由を侵害し、市民を防ぐために車の壁の上 や路地などの危険な場所に戦闘警察を追いやり、双方をすべて危険にさらし、 きちんと休む時間も空間も提供しないなど、深刻な労働強度に苦しめている」 という。

▲キム・ヨンウク記者

実際にキャンドル集会の過程で戦闘警察バスが下り坂に配置されたり、デモ隊 との衝突中にも戦闘警察バスの上に戦闘警察を立させるなどの危険な状況がし ばしば演出されていた。最近は徹夜デモが続いて、戦闘警察の苦情と部隊内の 苛酷行為がともに伝えられ、「戦闘警察に何の罪があるか」という同情の世論 も増える傾向だ。

人権団体連席会議は記者会見文で「権力を保護するために軍人をデモ鎮圧に動 員する違憲的な戦闘警察制度を廃止して、現在服務中の戦闘警察もこれ以上、 デモ鎮圧に動員することを禁止しろ」とし「政府は力で市民の声を無力化する のではなく、謙虚に市民の意に従え」と主張した。

戦闘警察制度、軍事政権が作った「安い」安保の手段

韓国戦争(朝鮮戦争)当時、後方パルチザンを討伐するために編成された地区警 察隊を母胎として1970年12月31日、対スパイ作戦を遂行するために戦闘警察隊 設置法が作られた。以後、1975年の法改正で戦闘警察隊の任務は「対スパイ作 戦および治安補助業務」に拡大し、戦闘警察は主に反政府デモ、ストライキな どの現場に投入された。1983年には増える集会デモへの対処方案としてこの法 を改正し、義務戦闘警察隊が新設され、戦闘警察-機動警察の二元体制が現在ま で続いている。

このように、戦闘警察制度は軍事政権が対スパイ作戦と社会の安定という美名 下に、安く治安兵力を確保し、対政府闘争を弾圧するための政権安保の手段と して悪用され、現在も存続している。

憲法裁判所は1995年、「戦闘警察隊設置法およびデモ鎮圧命令などに対する憲 法訴訟」で「戦闘警察隊で転任する現役兵は対スパイ作戦の遂行を任務として いるだけであるから、警察の純粋な治安業務である集会およびデモ鎮圧の任務 は決して国防義務に含まれるとはいえない」という少数意見を出した。

イ・ギェス建国大法学科教授は軍と警察の組織および任務の区分という憲法上 の国家構成原理が事実上破壊されていて「対スパイ作戦時だけに出動できる兵 力をすべての日常的にデモ現場に投入する慣行を現行法で正当化する解釈は現 行法違反」と指摘した。

治安補助活動に義務警察の任務を規定した戦闘警察隊設置法に基づき「デモ鎮 圧は補助的な水準を越えた治安活動」とし、機動警察のデモ鎮圧動員に反対す るソン・キチュン全北大教授の意見もある。

規律維持を理由とした部隊内殴打、苛酷行為、古参兵によるセクハラなど戦闘 警察への人権侵害も絶えない。睡眠不足と劣悪な食事環境、長く激しい労働強 度とともに集会デモ弾圧過程に動員され、良心の自由も侵害されている。

国民の政府公約で、戦闘警察制度は2012年までに廃止されることになったが、 李明博政権で新しく任命されたオ・チョンス警察庁長官は戦闘警察制度を維持 する方向で政策を推進すると言っている。これに対して人権団体は「警察の統 計でもほとんどが平和デモなのに、デモ参加者より多くの兵力を動員する慣行 は過剰対応」とし、「やむを得ず必要なデモ鎮圧の場合、義務警察ではなく専 門性と責任感が高い職業警察官により遂行されるべきだ」と主張している。

[資料:人権団体連席会議]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-06-15 01:51:59 / Last modified on 2008-06-15 01:52:00 Copyright: Default

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