講師の大規模構造調整事態…「文在寅政府は責任放棄」
批判社会学会・韓国社会経済学会「これが『人中心』の政策なのか」
キム・ハンジュ記者 2019.02.22 11:37
講師法施行を控え、講師の大規模な構造調整事態が続く中で、
批判社会学会、韓国社会経済学会が文在寅(ムン・ジェイン)政府の責任を強く尋ねた。
先立って昨年11月、講師の法的地位と処遇を改善する
「講師法(改正高等教育法)」が通過した。
各大学は来る8月の法施行前までに講師を減らし、
負担を最小にするという理由で構造調整を断行している。
これについて批判社会学会は2月19日
「10万近い大学の講義の半分近くを受け持つ非正規教授の人生は、
講師法施行令の準備にもかかわらず、相変らず不安の中にある」とし
「これは大学が見られる隠密ながらも苛酷な講師解雇の動きのためだ。
しかし構造調整は講師を苦しめるだけでなく、
△卒業の単位縮小、
△教養履修の単位削減、
△閉講基準緩和、
△専任教員講義時数拡大など、
反教育、反研究的な措置が伝えられている。
もはや大学は学問も研究も教育もきちんとな行われない所」だと明らかにした。
続いて「今、教育部は講師法が学問後続世代研究安全網の出発点になるように、
講師の実質的な教員としての地位を確保するか、
非正規教授を路上に追いやるかのわかれ目に立っている」とし
「講師対策は単に貧しい講師にわずかな金を払う次元では終わらない。
大学生を教育権だけでなく、未来の学問後続世代の研究力量を保障して、
大学の没落を防ぐ重要な政策」と伝えた。
したがって、批判社会学会は教育部に対し、
△講師法施行前の悪性措置予防、
△教育環境改善の指標に非正規教授任用責任性と講師料の項目を大幅に反映、
△講師処遇改善のための2千億ウォンの追加予算確保、
△専任教員責任時数を『最大講義時数』(9時間以下)と名称転換、
△非定年トラック契約職専任教授の無分別な任用防止、
△『公益型一生高等教育』事業費の確保などを要求した。
また、韓国社会経済学会も同日
「飢える高等人員を街頭に追い出すことが『人中心』の政策なのか」という声明を発表した。
韓国社会経済学会は、
「講師法という結実の施行を前にして、10数人の大学講師が極端な選択をした。
また、全国で講師が街頭に追いやられていることに悲嘆する。
こうした状況で、政府は講師法を強要して(適用は)大学が処理しろという。
責任を放棄する処置でしかない」と指摘した。
続いて「講師法施行を前にして政府が用意した財政規模はやっと288億ウォン」とし
「これは韓国大学教育協議会と専門大学教育協議会が推測している毎年3千億ウォンに較べても低いだけでなく、
国会の予算審議過程で要請された500億ウォンの半分に過ぎない。
教育部、企画財政部などの公務員は誰のために働き、
何のために国の金を使うのか尋ねざるをえない」と批判した。
最後に「文在寅政府の大学講師政策は、
政府の教育的責任性と人間性を問うリトマス試験紙になる」とし
「政府は講師の処遇改善と高等教育退歩の防止のために、
即刻画期的な財政支援に乗り出すことを強く要求する」と明らかにした。
講師法の忠実な履行要求声明
-講師法は学問後続世代研究安全網の出発点だ-
非正規教授問題は現在の韓国の大学社会がこれ以上無視できない深刻な問題になった。
10万近い大学講義の半分近くを担う非正規教授の人生は、
昨年11月29日に国会を通過した改正講師法と講師法施行令準備にもかかわらず、
相変らず不安の中にある。
これは各大学が見せている隠密ながらも苛酷な講師解雇の動きのためだ。
しかし構造調整は、時間講師だけを苦しめているのではない。
大学教育と研究にも甚大な悪影響があることが赤裸々にあらわれた。
いくらにもならない費用を節減するために、卒業単位縮小、教養履修の単位削減、
閉講基準緩和、講座の併合で大型講座作り、専任教員講義時数の増加、
サイバー講座の増加など、
一部の大学の『反教育、反研究』的といえる構造調整措置が伝えられ、
非正規教授だけでなく、学生と大学院生の抗議を受けて悪性の措置を撤回したが、
今年の2学期前にこうした悪性の措置が再び登場するのは火を見るより明らかだ。
そのため労働法でも教育法でも、『まだ』保護されていない『現在』の時間講師は、
不安の中で暮らしている。
もはや大学は、学問も研究も教育もきちんと行うことができない所だ。
あるいは本当の大学を大学の外に探さなければならない時代がくるのかも、
いやすでにきたのもしれない。
現在、2019年2月の時点では、教育部の役割が最も重要だ。
教育部の意志に期待せざるをえない。
教育部が講師法を通過させるという苦労をしたが、まだ行く道は遠いという点、
これから起きる事態を予防するには教育部の役割が決定的だという点を認知しなければならない。
今、教育部は教育者であり研究者でもある非正規教授を空しく放棄して路上で追いやるのか、
あるいは講師法が学問の後続世代の研究安全網の出発点になるように、
講師の実質的な教員としての地位を確保するのかの分かれ目に立っている。
講師対策は単に貧しい講師にわずかな金を払う次元で終わるものではない。
大学生を教育するだけでなく未来の学問の後続世代の研究力量を保障して、
大学の没落を防ぐ本当に重要な政策だ。
批判社会学会研究者一同は、講師と学問後続世代研究者の未来のために、
さらに大学と学問の正常化のために、
教育部が次の6項目の事項を早く遂行することを強く要求する。
- 教育部は昨年に続き、今年も続いている大学の講師構造調整の実態と手法を一日もはやく把握し、
8月の講師法施行前に行われる悪性措置を強く予防しなければならない。
そのためには教育部内に非正規教授専門担当部署や関連委員会を設置して運営することが必要だ。
教育部官僚、大学役職者、専任教員、講師、大学院生、大学生が幅広く意見を交換して、
教育、学問、研究のために最も良い代案を導出する機構が必要だ。
- 教育部は教育環境改善指標に非正規教授の任用責任性と講師料項目を大幅に反映させ、
大学評価の核心指標として活用しなければならない。
1番事項が先行しなければこうした評価指標は作れない。
大学評価は大学の行為を調整できる教育部の最も強力な権限なので、
大学の反教育的な悪性の措置を防ぐ最も根本的な方案だ。
特に講師の講師料は現在、専任教授の1/10水準だ。
講師料を上げる基準を作り、評価に大幅に反映させる必要がある。
私立大も国公立大水準に講師料を上げなければならない。
- 教育部は市民社会と講師団体の強い協力の中で、
今年の講師処遇改善のための2千億ウォンの追加予算を確保しなければならない。
講師の処遇改善は文在寅政府の所得主導成長に符合する措置であり、疎かにする理由がない。
少ない予算でも大きな政治的効果を上げられる。
- 現在の専任教員の責任時数を「最大講義時数」と名称を変え、
9時間以下に転換しなければならない。
専任教授講義時数を制限しなければ、これからいつでも大学の講師解雇ができるようにするものと違わない。
講師が解雇されて生まれた講座を抱え込み、
専任教授が9時間以上講義するのは事実上、専任教授に研究をやめろというようなものだ。
別途に研究教授を任用するのなら理解できるが、
現在の大学は特に新規任用された比較的若い専任教授を過重な講義と研究に追いやり、
過労社会の張本人させようとしている。
- 非定年トラック契約職専任教授の無分別な任用を防がなければならない。
講師が構造調整された席を講師の人件費よりも費用が低い非定年契約職専任が埋めているのが現大学の状況だ。
彼らはほとんど過度な講義を受け持っており、
研究者としての機能を失なう状況に追いやられている。
教育部は前述の専門機構を活用して非定年専任の実態を徹底的に把握しなければならず、
非定年専任をできるだけ早い内になくすように誘導しなければならない。
同じように働いて半分以下しか受けられない教授群の存在は、
大学の異常を正面から威嚇する。
- 講師はほとんどが研究者なので大学の講義だけでは研究を続けるのは難しい。
講師の処遇改善は根本的に研究者の『研究安全網』確保の一環として見なされなければならない。
これ以上、講師を専任教授への中間段階と見ることはできなくなっている。
非正規教授で還暦まで行く学問後続世代の比重はますます増えるだろう。
したがって、こうした流れが引き起こす後日の問題を小さくするには、次のような政策が必要だ。
- 短期的には「公益型一生高等教育」事業費を確保して、
教育庁と地方自治体に予算を配分しなければならない。
学問後続世代の「予備講師大学院生」と
「大学講師経歴が(解雇で)断絶した講師」を活用すれば、
彼らの研究安全網がある程度確保され、市民にも寄与できる。
- 長期的には各先進国のように「国家の学問責任」の原則を明確にして、
非正規教授も学術研究の主体になれるように大学と専任教授中心に
研究資源を配分する研究財団の研究支援方式を大幅改善しなければならない。
現在、研究資源の不公平な配分状況は深刻だ。
大学と教授を経なければほとんどまともな研究費は支援されない。
研究資源の独占は大学に蔓延する教授「カプチル(パワハラ)」の基盤になったりもする。
時間講師も研究の「責任者」として研究財団の支援を受けられるようにするべきで、
大学校内の研究費も支援を受けられなければならない。
大学行政室で行う行政を、教育部や研究財団が直接遂行すれば良く、
その場合は間接費も大学に渡す必要がない。
大学は便法を中断して、教育部は約束を履行しなければならない。
両者は、大学が教育し研究する機関であり、収益性を第1原理にしてはならないという基本を忘れてはならない。
大学正常化という明らかな目標により、責任を持たなければならない。
大学が韓国社会のもうひとつの積弊として残らないための大々的な改革が必要なら、
その出発は改正講師法を忠実に履行することから始まる。
得票を望む与党と政治勢力も、時間講師と非正規教授の票が10万票だという点を考慮して、
講師法の施行に多くの関心を持たなければならない。
最後に、不安定な生活の中で声をあげられず毎日孤軍奮闘する講師たちの可視的の連帯も必要だ。
早い内に講師の声を集団で大きくあげる日がくることを望む。
2019年2月19日
批判社会学会研究者一同
飢える高等人員を街頭に追い出すのが『人中心』の政策か?
大学時間講師の雇用保障と処遇改善のための10年以上の努力が結実を結び、
ついに8月には講師法施行を控えている。
これまですでに10人ほどの大学講師が極端な選択をした。
いま、講師法という『結実』の施行を控え、
すでに全国随所の大学で講師が街頭に追いやられていて悲嘆に暮れる。
多くの講座が廃止され、既存の教授はさらに多くの講義を強要されており、
高等教育の不健全化がさらに深刻になっている。
維新時代に改悪されてから40年以上、「日用雑給職」扱いされてきた大学の時間講師の身分は、
教授になるためのステップではなく、事実上の職業になって久しい。
では教授でなく講師をしても教育、研究して生活できる最低限の経済的基盤を保障するのは人道的措置だけでなく、
国立、私立を問わず、大学の高等教育と学問という国家的公共財再生産のためにも必ず必要なことだ。
ところで講師法施行を控えて国立、私立大学支援のために政府が用意した財政規模は、
やっと288億ウォンだ。
これは韓国大学教育協議会と専門大学教育協議会が推測している毎年3千億ウォンとは比較にならないだけでなく、
国会の予算審議過程で要請された500億ウォンの半分に過ぎない。
政府は足りない部分は大学が判断して埋めろという立場だ。
大学内部の経営合理化や正規職教授の譲歩などを推進する余地と責任もある。
しかし各大学は急激な学生数の減少による定員削減に数年間、
事実上強要された登録金凍結で少数の首都圏にある金持ち大学を除けば
乾いたタオルを絞る局面だ。
ほとんどの地方大学、特に私立大学は崖っぷちに立たされている。
こうした状況で講師法を強要し、
大学が自分で判断して解決しろということは、
大学現場にとても無知か、知っていても責任を放棄する処置だ。
これでも高等教育政策を語り、『人中心』の政策を行うというのか?
月給百万ウォンももらえない講師が大挙路上に追い出されているのに、
非生産的な雇用予算は随所にある。
漏れ出す福祉予算も途方もない。
その上、政府と公務員労組の間には11年ぶりに交渉を妥結して
「公務員報酬・手当ての合理的改善」のために議論することにした。
われわれは教育部、企画財政部公務員をはじめ、
この国の公務員たちは果たして誰のために働き、
何のために国の金を使うのか尋ねざるをえない。
文在寅政府の大学講師に対する政策は、
政府の教育的な責任性と人間性を尋ねるリトマス試験紙になるだろう。
文在寅政府は、
大学で働きながら十分に犠牲にしてきた大学講師の処遇改善と高等教育退歩の防止のために、
即刻画期的な財政支援をはじめることを強く要求する。
2019/2/19
韓国社会経済学会
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
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Created on 2019-03-04 18:19:08 / Last modified on 2019-03-04 18:19:10 Copyright:
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