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韓国:「反サムスン」? セヌリ党の全北教育監攻撃が残念な理由
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「反サムスン」?、セヌリ党の全北教育監攻撃が残念な理由

「女性に危険な事業の労働禁止は勤労基準法にもあるのに」

ムン・ジュヒョン記者 2015.10.08 11:31

「まず、発端になった内容を見れば、 表面に出てきた話をすべて自分勝手に解釈しているような感じがします。 金承煥(キム・スンファン)全北教育監の話のうち、 内容が正しく伝えられていないものもあります」

全北のあるマイスター高校の進路進学担当教師A氏の言葉だ。 彼は「企業が安全を担保して社会的責任を全うすれば良いという意味で金教育監の話を受け取るのではなく、 一部では攻撃性ばかり強調しているような気がします」と話を続けた。

金承煥全北教育監は8月19日、自分のFaceBookで、全北教育庁が 「サムスン・ドリームクラス事業」に協力しないことについて一部のマスコミが理念論争に近い攻撃を行ったため、 それに対する反論意見を出した。

その過程で「3年ほど前から管内のマイスター高と特性化高校に対し、 サムスン電子をはじめとする半導体企業に全北地域の学生を就職させるなという指示を出した」という発言をして、 有害な事業場に送り出していないという事実を打ち明けた。 金教育監はサムスンが教育慈善事業の前に半導体被害者など、 一生苦痛をあじわって生きていく人たちの涙を拭うことが先だという意見も表明した。

金教育監のこうした発言に保守マスコミ各社の攻撃が集中した。 なぜ金教育監が3年前からそのような指示をしたのかについての背景を取材報道せず、 「反サムスン」、「反企業」情緒を表明したという報道が多かった。

こうした報道の後の影響は大きかった。 ある保守的青年団体は、金教育監が「就職の自由を侵害した」と人権委員会に陳情を提起した。 大韓民国与党の首長も参加した。 セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は教育監直接選挙制の廃止の必要性まで主張した。

9月15日、全南道務安の全南教育庁で開かれた国政監査では、 一部のセヌリ党国会議員がこうした流れに参加した。

ある記者が「金承煥全北教育監に対する思想検証を始めたようだ」と評したこの日の国家監査場で、 一部のセヌリ党議員は金承煥教育監のFaceBookでの発言に問題を提起した。 多少幼稚な当時の質疑応答を聞いてみよう。

朴仁淑(パク・インスク)セヌリ党議員、「金承煥教育監は、携帯電話は何を使っていますか?」
金承煥全北教育監、「2Gを使っています」

朴議員、「いや! どの会社?」
金教育監、「サムスンです」

朴議員、「ノートパソコンは何を使っていますか?」
金教育監、「サムスンを使っています」

朴議員、「悪い企業のものを使われていますね」
金教育監、「サムスンが悪い企業だと言ったことはありません」

行政を監視し、正しい方向を提示する場にすべきだという指摘が提起される国政監査だが、 それでも国会議員は違うという期待が崩れる攻防戦は、この後、数回続いた。

金教育監の3年前の「就職制限」指示の背景は?

この日の国家監査場では誰もが3年前からどんな理由で金教育監が半導体企業に就職させないようしてたのか、 サムスン電子をはじめとする半導体企業の労働環境がどうだからそう言ったのかは聞かなかった。 セヌリ党の議員らは「反企業情操」にフォーカスを合わせ、 金教育監は「有害な事業場に就職させてはいけない」にフォーカスを合わせた。

記者は金教育監のFaceBookでの発言内容のうち、 「3年前」という言葉に注目した。 3年前、果たして何があったのだろうか?

2012年6月、ある女性労働者の死が世論に広く知られた。 群山のある特性化高校3年の卒業予備生だったが99年にサムスン電子に入社して、 たった6か月で再生不良性貧血の診断を受けた後、 13年間の闘病生活の末に2012年6月2日に亡くなったユン・スルギ(当時31歳)氏。

政界と労働界の哀悼の波が続き、 半導体をはじめとする電子事業場への調査や労災に関する法制度の整備に対する要求が上がった。

当時、故人だけでなく、この学校出身の女性労働者3人も頭頸部境界性腫瘍、 多発性硬化症、白血病など、サムスン電子の半導体工場に通っている間に希少病にかかり、闘病していた。 一時、この学校では100人以上がサムスン電子の半導体工場に就職していた。

チャムソリがパノルリムを通じて入手した資料を調べても、 全北地域の特性化高校出身労働者が眼につく。 2014年まで、サムスン半導体で働いている間に白血病などの病気にかかり労災申請を提起した人は62人。 このうち、出身校が把握された人は39人だ。 彼らのうち、群山と益山、全州などの特性化高校出身労働者6人が労災申請に参加した。

ほぼ同じ時期に金承煥全北教育監は拡大幹部会議で何回か、 労災発生率が高い企業に教育庁が学生を就職させてはいけないと強調する発言をした。

以下は「教育希望」のユン・グニョク記者が2年前に 金教育監の「就職制限」指示の動画を確保して抜粋した内容だ。

「KBSパノラマに出てきた(サムスン半導体会社で一緒に働いて白血病で夫を失った)人は (全北教育庁所属の)群山女子商業出身だ…(中略) 人生が壊れ、人生が根こそぎ奪われる所に学生を追い込んでもいいのか。 これは教育者の道徳性とも関係している…(中略) 労災発生率が高い企業に教え子を追いやるのは、もうやめなければならない」(2013年8月12日、金承煥教育監)

「特性化マイスターと学生を半導体関連の企業に就職をさせることは抑制するべきでないか? 子供たちが死ぬことを知りつつ、就職率を上げるという名目で死地に追いやっていいのか?」(2013年10月7日、金教育監)

この時期には群山女子商業の卒業予備生だった2003年末、 サムスン電子天安工場に入社し、2011年に悪性の脳腫瘍と判定されて闘病中だったある女性労働者が亡くなっている。

「有害・危険な事業での労働禁止は、勤労基準法にもある」

チャムソリが会ったA教師は、 特性化高校も首都圏と地方の序列化が存在すると言いながら、 暮らしが苦しくすぐ就職しなければならない学生が、 半導体工場のようにすぐ就職できる所に追い込まれる場合もあったと打ち明けた。

だから地方の特性化高校出身の女性労働者が半導体工場に就職することが過去にはよくあった。 それなのでさらに半導体工場の安全の問題について、 教育庁も関心を持つべきだというのがA教師の指摘だ。

勤労基準法などの関連法令では、 妊婦と18歳以上の女性が保健に有害・危険な事業場での労働を禁じている。

勤労基準法65条(使用禁止):使用者は妊婦ではない18歳以上の女性を保健に有害・危険な事業のうち、 妊娠または出産に関する機能に有害・危険な事業には使用できない。 これに違反した場合は3年以下の懲役または2千万ウォン以下の罰金に処する。(勤労基準法109条 罰則)

勤労基準法施行令第40条(妊婦などの使用禁止職種)関連別表4
妊婦ではない18歳以上の女:2-ブロモプロパンを取り扱ったり露出する業務。 ただし、医学的に妊娠する可能性が全くない女性の場合にはそうでない。

2-ブロモプロパンは有毒物質で、雇用労働部が2013年に労働者に重大な健康障害を起こす恐れがある物質と見て、 特別管理物質に指定して管理している。 この物質は、生理不順のような集団生殖毒性症状を示す。 実際に1995年、慶南道梁山のLG電子部品工場ではサムスン半導体工場で働き職業病被害を受けた人と似た部品洗浄作業をしていた10人の女性労働者が生殖毒性症状を示して問題になった。

金承煥全北教育監が有害環境を誘発する業者に特性化高校の学生を送るなといったのは、 このように法にも明示されている点だろう。 今回の国政監査でセヌリ党の一部の議員の質問が残念な理由だ。 特に、教育関連の常任委員会が主管する監査だったという点で、 有害物質作業環境に対する議論はさらに深く処理されなければならなかった。

しかし朴仁淑(パク・インスク)議員は 金承煥教育監に 次のように質問を続けた。

「就職する時、学生たちにどんな会社に行くのかと聞き、 その会社に有害施設があるのかを聞いて行けというんですか? サムスン半導体は悪い所だと言ったのではありませんか。 有害施設だから学生は行ってはいけない。 労組もない。 では学生が就職する時、その会社を点検して行けというんですか?」

事業場内の安全は 後まわしという印象が拭えない質問だ。

この日、金承煥教育監はきちんと議論に回答する機会が得られなかった。 しかし企業の社会的責任と有害物質を扱う現場に学生たちを送らないという基調には変わりがないことを確認させてくれた。

セヌリ党国会議員の「反サムスン」攻撃が残念な理由

この日の国政監査の後、10月2日に全北道庁国政監査でもセヌリ党議員は金承煥教育監の発言に対して猛攻をかけた。 李老根(イ・ノグン)セヌリ党議員は金承煥全北教育監が全北の学生の就職選択権を侵害したと主張し、 教育監の発言によりサムスンのセマングム投資も不確実になったという検証されない論理を展開した。 そのため汎道民的糾弾大会でも開かなければならないという意向を明らかにした。

李老根議員は10月4日に開かれた国政監査では、 再度金承煥教育監の発言に言及し、その時に「キム・スンヒョン教育監」と名前を間違える場面もあった。

サムスン半導体に関する問題は世界的に問題になっている。 サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)社長の大学同期だったフランスの経済学科教授は公開書信で半導体職業病被害者に対する社会的責任を要求した。 この教授はサムスンの半導体工程で働く労働者の希少病問題に関する交渉がなかなか進まないのを見て書信を作成した。

サムスン電子のような半導体生産企業現場の労働環境での安全性が信頼できないのが現実だ。 パノルリムに情報提供された電子産業職業病被害現況によれば、 被害情報提供者は合計327人だ。このうち124人が死亡した。

特性化高校の進路進学担当A教師は、 安全な作業現場への社会的共感の形成が重要だと話した。 だからさらに金承煥教育監の発言に始まり、 国政監査にまで広がった「反サムスン」の議論が残念な理由だ。

「半導体企業の工程がガンを誘発する作業環境だということは、 教師が決定できるものではありません。 労働現場の安全問題に社会的共感が形成され、 いかにして透明かつ安全に維持するかが問題になるべきなのに、残念です。」

付記
ムン・ジュヒョン記者はチャムソリの記者です。この記事はチャムソリにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-10-09 23:13:22 / Last modified on 2015-10-09 23:13:24 Copyright: Default

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