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公務員がたたかう九つの理由

[寄稿] 公務員年金納付、当事者の声も聞くべきではないか

チョン・ウンスク(全国公務員労組)/ 2006年12月21日10時56分

国民年金が改悪されるのに国民は静かだ。まだ国民年金を受け取っていない人 がほとんどなので、国民年金を実感していないからかもしれない。しかし、もっ と深刻なことは、国民年金への国民の信頼が地に落ちたというほうがもっと合 うようだ。年金保険料を上げようが老朽需給率を低くしようが、国民年金に加 入しなければそれまでだという考えが広がり、いっそ個人年金に加入する方が ずっと得だと言う人は多い。

政府が運営する国民年金は利益をあげなければならない保険会社の個人年金よ り給与率が高いのに、それを事実と信じる人々があまり多くないのは、政府の 政策に対する全般的な不信のためであろう。

20-30年頑張って働いてきた労働者の老後に国家が責任を負うのは当然なのに、 そんな国民の声は一言も聞こえず「財政が枯渇したので国民、労働者が犠牲に なる」という声だけが乱舞している。どんな報道の内容にも、財源を用意して 国民の老後保障を拡大すべきだという言葉はない。IMFの時、倒産の危機にあっ た企業に180兆ウォンの公的資金を注ぎ込んだのとは余りにも違う対応だ。

現在の年金改悪の論理は「財政枯渇」だけだ。この一言ですべてのマスコミは 国民がさらに多く負担する「年金改悪」があまりにも当然で、これに国民も洗 脳された。逆に年金改悪に反対する人に「ではどこが財政を用意するのか」と 反問する。それをなぜ国民に尋ねるのか?

国民が財政を枯渇させたのか、公務員がさせたのか? 国民の誰も、公務員の誰 も、年金運用に参加できなかったし、政府が言う通りに納付しただけだ。

年金を間違って運営した政府がどう責任を取るべきかに対して、そして足りな い年金財政にどんな税源を用意して充当するかをだれも考えず、ただ庶民と労 働者がもっと負担しろと考えるのは、とても残念だ。

2000年以後、政府は公務員年金の財政状態が良くないと言って一方的に公務員 の年金納付率を今の8.5%に引き上げ、政府も責任準備金を積み立ると言ってこ れから20〜30年間、絶対に再改正はしないといった。公務員たちはその言葉を 信じた。

しかし政府は責任準備金を一銭も積み立てず、いつそんなことを言ったかとい うように、また財政が足りなくなったので公務員年金を改正するというのだか ら、本当に良い身分だ。これからあとどれほど改正しなければならないのか、 誰も知らない。

実際、公務員年金は公務員の要求で生まれたのではなく、公務員が政府に採用 されるとき義務的に加入する事項であり、政府が公務員に支給すると約束した ものだった。

これまで公務員たちは、国家の発展と全労働者の賃金引き上げ率を抑えるとい う名目で民間と比べ低い報酬を強要され、政府は退職後の年金で補償を約束し てきた。また、20年以下勤務の公務員は年金の対象にならず、公務員の退職手 当ては民間の退職金の7%から最大42%にしかならない。(2004年退職者退職手当 て総額: 民間対応37.7%)

10数年前までは、公務員という職業は格別人気がなかった。安定した職場とい う声も、報酬が高いという声もほとんどなかった。

公務員の給料は民間労働者の賃金引き上げの指標になるので、最大限抑制しな ければならなかった。勤労基準法適用も受けないので、一日の当直で5000ウォ ンを受け取れるようになったのは、わずか数年前だったし、各種の手当も非常 に低く策定された。

それのみか、別途の報酬もなく、春には山火事非常勤務、夏には水害、暴風、 防疫勤務、冬には除雪非常勤務、平常時には清掃・キャンペーン・各種のイベ ントで時間外勤務は当然のことだった。「国民に対する奉仕」という美名で、 いかなる指示も拒否できなかった。

それら全てに耐え、黙々と働いてきた公務員に今降り注いでいるのは「国民の 血税」をだめにしているという非難だ。政府は公務員法を利用し、世論を利用 し、公務員に忠誠だけを強要して自分たちの報酬や年金には何も言わせないよ うにして、犠牲だけを強要している。

政府は公務員年金制度発展委員会とやらを作ったが、公務員の参加は保障して いない。その中で何が議論されているのか、95万の公務員はまだ誰も知らない。 95万の公務員は内容も知らないまま、世論の袋叩きにあってばかりいるのだ。

しかし一方的な非難の世論を恐れ、95万の公務員と500万の公務員の家族の老 後がかかった公務員年金改悪に、ただ口を閉じてやり過ごすことはできない。 公務員労組は全教組、裁判所労組、教授労組、大学労組、保健医療労組、公共 連盟、私立教授連合会と「公務員・私学年金改悪阻止および正しい公的年金改 革のための共同対策委員会(以下年金共対委)」を通じて年金改悪阻止のための 具体的な活動を始めた。

年金共対委の重点要求事項は、第一に行政自治部が密室議論機構である公務員 年金制度発展委員会を解体し、正しい年金制度改善のために当事者が参加する 公開的で透明な議論機構を構成しろということだ。これは労働者(加入者)が寄 与金を出す主体であるばかりか、今後の制度変化で受ける給与の変動について、 当然知る権利と参加する権利がある。改正されるのはわずかな数値かもしれな いが、労働者の老後保障はこれに伴って急激に変わりかねないからだ。

二つ目、公務員年金の政府負担割合を先進国の水準に拡大しろということだ。 韓国のGDP対比社会福祉予算は2005年に8.6%で、2001年のOECD平均が21.2%であ り顕著に及ばない。OECDでは24%まで拡大することを勧告している状況なのに、 福祉予算の拡充なしで国民年金と公務員年金を問題にすることは、国民の目を だますことだ。公務員年金もまた政府負担率が8.5%で、米国32.8%、日本25.6%、 フランス44.1%、ドイツは全額であることを見れば政府負担は顕著に低い。

三つ目、公務員年金として支給する退職金性格の給与を民間使用者と共に政府 (使用者)が全面的に負担しろということだ。公務員年金の退職年金には退職金 的性格の給与が含まれている。では、これは当然使用者である政府が負担すべ き給与だ。年金で退職金的性格の給与に対し、民間使用者と同じく(退職金積 立金として年8.3%を使用者負担)政府が全面的に負担しなければならない。

四つ目、年金基金の早期不良が政府の責任を認め、使用者としての責任を履行 しろということだ。年金基金の財政が悪化したのであれば、その原因はどこに あるのか? 寄与金が引き上げられても何も言わずきちんと払ってきた労働者に あるのか、政府にあるのか? 当然、制度の運用に失敗した責任は、その運用主 体である政府にあるのは当然だ。

〈政府が使用者としての自己責任を果たせない年金基金不良運用〉
・IMF以後人為的な構造調整で年金基金積立金:99年6条2015億 → 2000年1条7752億ウォンで急減、以後構造調整された退職者に対する給与支出急速増加
・退職金(退職手当て)負担金:91-95年6162億ウォン未負担
・災害不調金、死亡弔慰金など短期給与:相当数未負担
・政府の責任準備金:2001年から現在まで予算に未反映

五つ目、20年未満の短期在職者に対する年金受給権強化により、公務員年金の 死角地帯を解消しろということだ。公務員年金は20年以上加入しなければ需給 対象にならず、2005年に退職した公務員は、34762人退職者中20年未満加入者 が31.4%(10、931人)に達する。退職公務員の1/3近くが年金制度の恩恵を受け られない死角地帯にあるのだ。彼らの相当数は契約職公務員、非正規職公務員 など、低賃金および雇用不安に苦しむ人々であるため問題はさらに深刻だ。

六番目、既存の公務員と新規の公務員の年金制度差別に反対するということだ。 政府は既得権を保護するという名分で、退職者、在職者、新規公務員に分けて 連携型で改正をするという立場だ。しかし、後世代負担型の公的年金の設計上、 これは世代間(先輩公務員と後輩公務員)の深刻な葛藤を誘発させる。われわれ は、公務員の抵抗の最小化を目的として労労葛藤を誘発させる連携型改正に対 し明確に反対する。

七番目、労働災害補償に対する保険的な性格を明らかにし、民間労働災害補償 保険法と同じ基準を適用して劣悪な公務員労働者の健康権を保証しろというこ とだ。公務員年金に含まれる労働災害補償機能は、非公務上の災害に対する保 護機能がなく(国民年金は障害年金で支給)、20年以上在職者に限り遺族年金を 支給し(国民年金は加入期間に無関係に支給)、在職中には障害給与を中止する (一般労災法は在職の有無と無関係に支給)など、民間に比べて劣悪だ。

八番目、年金基金の透明で民主的な運営のために公務員年金運営委員会に加入 者団体代表の過半数の参加を保証しろということだ。公務員労働者が大事に造 成した年金基金がどう運営されるのか、われわれは正しく知って参加する権利 がある。これに年金基金の透明で民主的な運営のために公務員年金運営委員会 に加入者団体の過半数参加を保障することを要求する。

九番目、公的年金縮小、国家の責任を回避する国民年金改悪を即刻打ち切れと いうことだ。公的年金は社会扶養制度として国家が全国民の安定した老後の生 活保障に責任を持つ社会福祉制度の核心だ。しかし、政府は老齢化の深刻化に よる財政問題に対する国家の責任は放棄して、労働者ばかりに一方的な犠牲を 強要している。普遍的な年金制度が軌道に乗る前に国民年金・公務員年金改悪 により、公的年金を全般的に縮小させようとしているのだ。

公務員労組は全民衆の安定した老後保障のための普遍的な年金保障のために、 現在の国民年金改悪を打ち切り、国民年金加入者平均所得の15%基礎年金制導 入を法制化することを要求する。公務員年金と国民年金は比較対象ではなく、 すでに公的年金という一つのうつわだ。公務員労組は共対委とともに「公的年 金を公的年金らしく」さらに丈夫で大きいうつわを作るために闘争するだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2006-12-27 02:01:23 / Last modified on 2006-12-27 02:01:24 Copyright: Default

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