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法王、鎌と槌への十字架に意見を表明
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「その十字架は抵抗芸術」

法王、鎌と槌への十字架に意見を表明

いまここ(チグミョギ) 2015.07.16 11:28

▲ボリビアのエボ・モラレス大統領がフランシスコ法王に鎌と槌の形の十字架像をプレゼントする場面。(c)〈ロセルバトレ ロマノ〉

フランシスコ法王がボリビア訪問中に受け取った 「共産主義十字架像」について、 自分は全く不快ではなく、その作品を「抵抗芸術」と理解すると述べた。

エボ・モラレス大統領は7月9日、法王をむかえた席で、 鎌と槌の形の十字架の上にイエスがかけられた十字架像をプレゼントし、大きな論議になった。 鎌と槌は長い間、共産主義の象徴として使われた。 法王は当時、何かをつぶやきながら、この十字架像を大統領補佐官に渡した。

一部では左派政権のボリビア政府が(法王が共産主義を支持するように) 操作するためにこの土産を渡したと批判した。

▲鎌と槌(イメージ出処=
www.flickr.com)

問題になったその十字架は、スペインのイェズス会員で、ボリビアで宣教活動をして独裁政権時期の1980年に殺されたルイス・エスピナル神父が1970年代に彫刻し、持っていたものを複製した品だ。 エスピナル神父は自分自身を「労働者司祭」だと考えていた。 この作品は、キリスト教と社会主義の一致性、または労働者、農民と共に受難するイエスを表現したものだという。
その十字架を受け取る時、法王の反応は周辺のカメラのシャッターの声がうるさくてきちんと確認できず、 そのため多くの議論があった。 ボリビア政府はこのプレゼントは「対話」の意味だったと釈明した。

フランシスコ法王は7月12日夜、パラグアイ訪問を終えてローマに戻る飛行機の中での機内記者会見で 「私はそれを抵抗芸術(protest art)だと思うが、 見方によっては気分を害する人もいるかもしれない」と述べた。 法王は今回、エクアドル、ボリビア、パラグアイを歴訪した。

だが彼はその作品の背景を考えれば、自分はその十字架像が含む意味を理解すると述べ 「私にとってそれは不快(な贈り物)ではなかった」と述べた。 彼は自分が法王になる前、アルゼンチンのブエノスアイレス大主教だった時に 「ある立派で創造的」な彫刻家が飛行機の上にイエスがかけられた十字架像を作って展示したことを回想した。

「それは抵抗芸術だった。 私が思い出せすことが一つあるが、 降りてくる爆撃機の上にキリストがかけられている作品だった。 それはキリスト教を指しているが、 キリスト教が爆撃機として表現された帝国主義の同盟者の姿を批判するものだった」。

法王はまた、モラレス大統領から受け取ったその十字架が、彼らが乗った飛行機に積まれて共にローマに向かっていると公開した。 議論されていた当時、彼は十字架を受け取らずに返したと言われていた。

法王は自分はエスピナル神父がジャーナリストだったことは知っていたが、 彫刻家であり、また詩人であったということは知らなかったという。 彼はエスピナル神父は生きている間に当時、南米でとても流行していた解放神学のマルクス主義的解釈に同調したと指摘した。

解放の神学をマルクス主義的観点から解釈することは、 イェズス会の内部はもちろん、法王庁の教理省からも1984年に批判を受けた。

フランシスコ法王はその十字架像に対する「解析学的」接近法を取り、 当時の時代状況を分析してエスピナル神父は 「マルクス主義的な現実のこの分析法に心酔していたし、 またマルクス主義を利用した神学もそうだった」と話した。

彼はエスピナル神父がそのような作品を作ったのは、そのような観点だったとし、 エスピナル神父の詩も「こうした抵抗芸術だった」と述べた。

「だが、それは彼の人生だったし、彼の思想だった。 彼はとても温和な品性で、立派な信仰の中で戦った特別な人だった。」

法王はボリビア訪問で、空港から市内に通じる途中、 エスピナル神父の墓に立ち寄って祈り、 彼が貧しい人々のために努力したことを賛えた。(記事提携=いまここ(チグミョギ))

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-17 06:00:48 / Last modified on 2015-07-17 06:00:48 Copyright: Default

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