〔レイバーネット国際部・I〕
中国人民解放軍など軍事ニュースのポータルサイト「中国軍網」に、4/1-4/2にかけての
台湾を包囲する軍事演習についての中国国防部の記者会見の一部が掲載されています。
・国防部新闻发言人张晓刚就美台等炒作东部战区位台岛周边联合演训行动答记者问(
2025-04-02)
(国防部 張暁剛報道官:台湾島周辺での東部戦区の合同訓練と演習に関する米国と台湾
の誇大宣伝について)
http://www.81.cn/yw_208727/16378564.html
「祖国統一」は中国共産党政府の国是なので、このような主張はわかりますが、「台湾独
立」(中華人民共和国だけでなく中華民国からも独立)もまた民進党の結党以来のポリシ
ー。ただ民進党は中国共産党政府やアメリカ政府の圧力もあり、また強硬独立路線では選
挙に勝てないなどの理由から、民進党政権の「国是」はせいぜいのところ中華民国の維持
であり、「祖国統一」ではありません。
今回の軍事演習は、3月13日に発表した中華民国の頼清徳政権が発表した軍内部における
中国のスパイ対策強化など17項目の施策に反発したものだと思います。もちろん日米をは
じめとする多国籍軍事演習や琉球弧をはじめとする大軍拡にも反対してのことだとおもい
ます。
(参考)台湾総統 中国スパイ活動への対応強化 軍人の機密漏えい相次ぎ(NHK、2025年3
月14日)
https://www3.nhk.or.jp/.../20250313/k10014749251000.html
昨年5月の頼政権発足の際にも中国は2度、台湾包囲の軍事演習を行っていますが、およ
そ一年後の継続演習とも考えられます。別の報道で中国政府は今回の軍事演習は前回とち
がい名称がつけられてないが、それは今後は軍事演習が「日常茶飯事になる」ことを意味
するとも報じられています。いうまでもなく在日米軍や自衛隊などはまさに「日常茶飯事
」に中国軍の動向を24時間365日監視していますが、それに合わせて台湾海峡における中
・台・米・日の軍事演習をめぐる動きも「日常茶飯事」になるということです。こんなこ
とはおかしなことです。中・台・米・日の政府に対して抗議の声を上げるべきです。
* * * *
下記の記者会見でもわかるように中国共産党政府は国家の主権を強調するわけですが、主
権は国家にあるのではなく、一人一人の人民にあるわけです。台湾では有権者がその主権
を行使して、台湾独立の志に蓋をして中華民国の現状維持を掲げる総統を円らんだわけで
す。もちろん「祖国統一」を主張する主権者も(そこそこ)いますが、全体として現状維
持がかなりの多数派です。それが台湾の「主権」の多数。
一方、中華人民共和国という人民の共和国の一人一人の主権とその総体としての国家の主
権はどのように測ることができますか。選挙もない、反対派は捕まるか亡命する、政権内
部での内ゲバは繰り返される…。
双方の歴史的な主張を踏まえたうえで、台湾海峡や東アジアの平和に向けた対等な対話を
、中華人民共和国と中華民国が主体的、平和的に進めることが必要ではないでしょうか。
日本の反戦平和勢力から中華人民共和国の軍事演習への抗議の声に期待します。
一国で共産主義も社会主義も作れないと同じように、一国で平和はつくれません。
長い前振りでした。
以下、短い記者会見記事のAI訳です。
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中華人民共和国 国防部 張暁剛報道官:台湾島周辺での東部戦区の合同訓練と演習に関
する米国と台湾の誇大宣伝について
2025-04-02 18:30:49
原文 http://www.81.cn/yw_208727/16378564.html
記者:報道によると、中国本土が4月上旬に台湾海峡で軍事演習を行ったことに対し、民
進党当局は、この行動は地域の安定と国際秩序を損なうものだと述べ、米国など一部の国
は、力や威圧による一方的な現状変更に反対すると述べました。広報担当官から何かコメ
ントはありますか?
張暁剛:頼清徳政権は「独立」を猛烈に追求し、挑発し、台湾海峡の緊張と対立を悪化さ
せ、「外国勢力に依存して独立を追求する」と「武力で統一に抵抗する」という道を無謀
に突き進んでいる。中国人民解放軍東部戦区は台湾島周辺で実戦合同演習を組織し、「台
湾独立」の挑発に対抗する強力な能力を誇示し、国家の主権、安全、領土保全を守る決意
と意志を伝えた。これは、後ろ向きな行動で意図的に戦争を誘発している「台湾独立」分
子に対する強力な抑止力となる。それは完全に合法であり、必要であり、理にかなったも
のである。
「台湾独立」は台湾海峡の平和と相容れない。「台湾独立」を追求することは、台湾を戦
争の危険にさらし、台湾同胞を窮地に陥れるだけだ。誰が「台湾カード」を使って中国の
内政に干渉しようとも、それは地域に混乱をもたらし、自らを傷つける愚かな行為であり
、最終的には耐え難い負担となるだろう。事実は繰り返し証明しているように、「台湾独
立」分離主義勢力と頼清徳政権は台湾海峡の現状に対する最大の挑戦であり、疑いなく「
危機をもたらす者」であり「トラブルを引き起こす者」である。
我々は頼清徳政権に警告する。火遊びをする者は火傷を負うだろうし、問題を起こせば起
こすほど早く滅ぶだろう。一部の国が本当に台湾海峡の平和と安定を望むのであれば、「
一つの中国」の原則を遵守し、「台湾独立」分離主義勢力に誤ったシグナルを送るのをや
めなければならない。人民解放軍は訓練と準備を強化し続け、反分裂、反干渉の戦闘能力
を絶えず向上させ、「台湾独立」のあらゆる分裂活動を断固として粉砕し、国家統一のプ
ロセスをしっかりと前進させている。
(以上)
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