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アリの一言:ウクライナ停戦へ、国連は何をしているのか
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ウクライナ停戦へ、国連は何をしているのか

2025年03月07日 | 国家と戦争
   

 トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談(2月28日)の「決裂」が波紋を広げています。EUは更なる軍拡の「ヨーロッパ再軍備計画」をすすめ、フランスのマクロン大統領は「核抑止」(核の脅し)を欧州全体に広げる考えを表明しました。
 こうした事態は何を示しているでしょうか。そもそもトランプ・ゼレンスキー会談の「決裂」と何だったのか(以下、発言の引用は共同配信記事より)。

 トランプ氏との〝口論“の中でゼレンスキー氏は、「2022年まで米国の各大統領はプーチンを止められなかった」「私は戦時大統領だ」と述べました。その発言の意味するところは、〝ウクライナは欧米(NATO諸国)を代表して戦っているのだ”ということでしょう。これはその通りです。

 そもそもウクライナ戦争は、「アメリカにとっての「夢の戦争」(アメリカの青年はこの戦争で誰も死んでいない。アメリカ製の兵器が政府に際限なく購入され、ウクライナの戦場で消費される―和田氏の説明)、ウクライナにとっての代理戦争」(和田春樹・東京大名誉教授『ウクライナ戦争即時停戦論』平凡社新書2023年)です。

 しかし、ゼレンスキー氏の最大の問題は、これまで「徹底抗戦」「領土奪還が停戦の条件」と主張し続け、武力による「解決」をはかろうとしてきた(している)ことです。

 これに対し、トランプ氏が「この問題を終わらせたい」、バンス副大統領が「あなたの国の破壊に終止符を打つ外交について話している」と述べたことは、この限りでは間違っていません。最も重要なことはこれ以上犠牲者を出さないことであり、「外交」こそが解決の道です。

 しかし、トランプ氏が「(ゼレンスキー氏は)全く感謝していない」と軍事「支援」を恩に着せ、ウクライナの鉱物資源を手に入れようとしていることは、盗人猛々しいにもほどがあります。ウクライナに「代理戦争」をさせて甚大な犠牲を出し、その上さらにウクライナの資源をわがものにしようとは…。アメリカの大国主義、覇権主義の最たるものです。

 つまりはトランプ・ゼレンスキー会談の「決裂」とは、この戦争をめぐるアメリカと、ウクライナを含む欧州(EU諸国)の内部矛盾の噴出にほかなりません。

 その矛盾を、欧州の更なる軍拡(それが各国の福祉・市民生活をさらに圧迫するのは必至)と「核抑止=脅し拡大」で〝収束“することが、真の平和に逆行するのは明らかです。

 事態がこうした好ましくない方向へ向かっているのはなぜか。その根源は、「停戦」に向けた交渉がトランプ主導で進められていることです。トランプが主導する限り、米欧(NATO)側とロシア側の戦略的駆け引き(ディール)に終始することは必至です。
 
 国連はいったい何をしているのでしょうか。こういう時こそ国連の出番ではないのでしょうか。

 国連がそもそも第2次世界大戦戦勝国の政治的思惑によって創設され、安保理常任理事国とりわけアメリカに舵を握られていることは周知の事実です。
 しかし、たとえそうでも、国連にはグローバルサウスの国々はじめ多くの中立的諸国が加盟しています。さまざまな専門機関の英知もあります。

 国連は今こそ、持っているものを総動員して、ウクライナ戦争の停戦・和平にイニシアチブを発揮すべきです。平和と人権を愛する世界の人びとがそれを支持し支援するはずです。


 



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