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LNJ Logo 中国格安ウェブ通販サイトを支える「過酷労働」
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〔レイバーネット国際部・I〕

中国の格安ウェブ通販「シーイン」についての記事が日経 新聞に出てたので書いてみました。 + + + + + 日経新聞 2024年7月18日 朝刊3面の「米中EC『最安値夏の陣』」、「アマゾン:セー ル最大7割引き」、「シーイン:工場集積「村」で生産」の記事に目が留まる。 ◎米中EC「安値夏の陣」 アマゾン、セール最大7割引き:シーインは工場集積「村」で 生産 「デフレ輸出」に米欧警戒(日経新聞2024年7月18日 会員限定記事) https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82144870Y4A710C2EA2000/ この時期にアマゾンが有料会員向けの「プライムデー」なる値引きセールをやっているの は知らなかったし興味もなかったが、「シーイン」というあまり聞きなれない会社名につ いては、今年初め、中国の労働問題に取り組む若手研究者の話を聞いた際に初めて知った ので、かすかに記憶に残っていた。 「シーイン」は、一般的にはSHEINとして知られている中国発のファッションEC(ネット 通販)サイト。中国語だと「希音」。 日本公式サイト https://jp.shein.com/ 一般的な通販衣料サイトにくらべるとかなり安く(例えばワンピースやアウターでも1000 円台からある)、デザイン(というよりも見せ方が?)もなかなかおしゃれで、たしか返 品なども簡単にできるということで、海外だけでなく日本や中国国内でも人気がでている が、研究者から聞いた生産現場の小工場の労働者らへのフィールドワーク調査報告からは 、労働条件や労働環境における典型的なマニファクチュア的な過酷労働であることがうか がわれた。 日経記事を引用しよう。 「テムやシーインなど中国系ネット通販が低価格で販売できる理由は独自の調達モデルに ある。」 「シーインは広東省広州市に『シーイン村』と呼ばれる中小縫製工場の集積地がある。中 心地には30社以上のアパレル工場があり、約7000人が働いている。」 「まず様々な種類の商品を少ない量で発注する。販売動向をみながら好調な商品を見極め 、大量に追加注文する。新商品を次々に投入しながらも、在庫が膨らむリスクを抑え、低 価格で販売している。」 「テムも衣類や日用品の生産で国内工場を活用する。中小工場を束ねた中国国内のサプラ イチェーン(供給網)が両社の低価格を支えている。」 これを読んで、先の研究者が述べていたことを思いだした。 研究者の報告によると、シーインのオーダーは、少量、複雑な工程、返品も多いなど、現 場の労働者にとっては過酷だという。少量というのは一つのデザインが少量ということ。 現場は出来高制なので、大量に同じデザインや工程のオーダーなら単純作業を大量にこな るので比較的楽。しかしシーインのように同じデザインが10着とか20着単位で注文が来る 場合、生活できる程度の稼ぎを稼ぐためには、複数のデザインの縫製作業を少量ずつこな していかないといけない。あるデザインの縫製工程を覚えたとしても、すぐに違うデザイ ンの縫製工程に入らなければならず、素材もちがう。 労働者はベテランが多い印象だった。コロナで解雇された熟練の縫製労働者(女性が多い )を雇うことが多いのだろう。ベテランなので複雑な縫製作業にも対応できるという。年 齢的にもほかに仕事が見つからないということもあるだろう。もちろんシーインは年金な ど福利厚生などを気にかける必要はない。委託なのだから。小さな縫製工場が彼女たちの 年金に加入しているかどうかは分からなかったが、おそらくないだろう。 ざっと、検索サイトで検索してみると、ファストファッションにおける過酷労働の問題に とりくむClean Clothes Campaign(クリーン・クローズ・キャンペーン)の日本語記事が 2021年に公開されている。 ◎SHEINのための苦役:中国「ウルトラ・ファストファッション」最大手の輝かしい外観 の裏側を探る https://stories.publiceye.ch/ja/shein/#group-section--HHmpSiJzic あらら…という感じだが、過酷労働の現実には変わりない。 今年5月の報道(中文)でも12時間労働や上がらない委託料(出来高賃金)などの問題が 指摘されている。 ◎希音被揭発血汗供応鏈 每天工作12小時(e南洋ウェブ、2024年5月13日) (Sheinの過酷労働サプライチェーンに警告 毎日12時間の労働) https://x.gd/kFxiM 1886年の日本初の同盟罷業(ストライキ)といわれる雨宮製糸工場の女工たちは14時間労 働だったという。150年ちかくたった「初級社会主義」の国でも、女性労働者たちは当時 と同じようにグロバール・スウェット(搾取)チェーンの鎖につながれている。 「失うものは鉄鎖のみ」の声がこだまする。

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