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アリの一言:自民総裁選報道は日本メディアの重大汚点
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自民総裁選報道は日本メディアの重大汚点

2024年09月28日 | 政権とメディア
  
 27日、自民党の総裁選が終わりました。この1カ月余、日本のメディア(新聞も放送も、NHKも民放も)多大なスペース・時間を総裁選報道に充て、自民党のキャンペーンと一体化しました。

 一般市民には投票権もない一政党の内部問題にすぎない党首選びを、いかにも重大な政治問題であるかのように描き、候補者の主張・動向を逐一公共の電波で流すことは、憲法の主権在民原則にも、放送法の「不偏不党」(第1条)原則にも反するものであり、日本メディアの重大な汚点と言わねばなりません。

 NHK(民放も大同小異)は「公開討論」や「投開票」を長時間生中継したほか、ニュースのたびに9人の候補者1人ひとりの発言・動向をおよそ15秒前後ずつ流しました。9人合わせればこれだけで2分15秒。自民党は公共放送を使って無料で党の宣伝をすることができたわけです。それが1日数回、1カ月余繰り返されたのですから、宣伝効果は膨大です。

 これがどういう意味をもつか。今回自民党総裁選にぶつけて代表選をおこなった立憲民主党の中から本音が聞こえてきます。

<「総裁選との相乗効果で、一般の人の関心が日に日に高まっている。(日程を)ぶつけて良かった」。代表選に出馬した野田佳彦元首相は21日のインターネット番組で、総裁選と同時期に進んだ代表選に関し満足げに語った。…2021年の自民党総裁選を巡り、岸田文雄首相ら4候補によるメディアへの露出が増え「電波ジャックされた」(野田氏)との指摘が絶えない。その後の衆院選で立民は敗北しただけに、関係者は「苦い記憶だ」と振り返る。>(23日付京都新聞=共同)

 自民党総裁選は「電波ジャック」。だから今回は代表選の日程をぶつけた。「満足」だ、というわけです。あきれてものも言えません。

 しかし、有権者の目は節穴ではありません。京都新聞(21日付)の投書欄には次のような投書がありました。

「NHKは9月7、8日に立憲民主党代表選の「討論会」などを、そして13、14日は自民党総裁選の「共同記者会見」や「討論会」というそれぞれの「内輪のやりとり」をテレビで放送した。
 なぜ一政党のトップを決める選挙を長時間にわたって放送するのか。早ければ10月にも解散総選挙、というこの時期にである。これは選挙に向けての事前運動のようにも見えてしまう。(中略)
 NHKのこうした報道のあり方は、「放送法」の第4条第2項「政治的に公平であること」に抵触しているのではないか、という危惧と疑問を抱いた」(滋賀県大津市・松尾隆司さん・76)

 自民党と立民の「電波ジャック」戦略。その片棒を担いだメディア(それと一体となった一部の学者)は、自分たちがどういう役割を果たしたのか猛省しなければなりません。
 権力に追随する偏向報道をやめない限り、メディアに対する有権者・市民の信頼は失墜するばかりです。

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