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関西生コン京都事件:無罪しかありえない!7時間の最終弁論
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関西生コン京都事件
無罪しかありえない!7時間の最終弁論

報告/愛知連帯ユニオン


*傍聴に並ぶ人たち(京都地裁)

 9月12日京都地裁で関西生コン京都三事件の最終弁論があり、弁護団は7時間の及ぶ弁論で、憲法と労働組合法からしてこの事件が無罪でしかありえないことを端的に明らかにすると共に、事件の構造と事実経過を詳細に追って検察の事件捏造を暴露しました。

 これに先立ち早朝8:30に京都地裁前に結集した近畿・東海の支援と連帯ユニオンの50名が前段集会を開催、関生支部青年部長の平田さんの司会と七牟礼副委員長の挨拶で始まった集会は、京滋実行委の服部さん、東海の会、志賀の稲村さん、港合同の木下さん、大阪全労協、韓国公共運輸労組のヤンさんと連帯の発言が続きました。9:10からの傍聴抽選には支援と敵対する大阪生コン広域協組の動員者が呉越同舟で200名並び、約70名が傍聴券を獲得しました。

 開廷は10時、弁護団はこの日のために用意したパワーポイントと分厚い資料と見やすいリーフを使って次々と熱弁を揮い、1時間の休憩を挟んで17時過ぎまで、被告の無実を全面的に明らかにしました。

 京都3事件とは、2014年の生コン輸送会社ベストライナー倒産・7名の組合員の解雇に伴う解決金を京都生コン協同組合に支払わせた、2016年の近畿生コン倒産に伴う解決金を京都生コン協組に支払わせた、2017年村田建材の廃業・1名の解雇に伴い、就労証明書の発行、またプラントの解体と1台のミキサー車を譲渡するよう要求したとされる3件です。

憲法と労組法で認められた組合活動

 最初に永嶋弁護士が、憲法28条と労組法1条2項からして労働組合が集団的圧力をもって賃金を上げることは犯罪にはなり得ないこと、労働関係調整法第7条のいう「業務の正常な運営を阻害する」争議が正当か否かは、その目的と手段・態様から考察されるが、具体的な労使関係、歴史的な争議形態から考えて有形力の行使を伴わない本件が犯罪となる余地はないとしました。

 また、永嶋弁護士は、セメント独占と大手ゼネコンの狭間にあった生コン業界は慢性的過当競争で経営が悪化、国・建設省も「共同販売と集約化」が死活的な課題としていたこと、通産省の調査では「協同組合外社(アウト)の安売りと地域外からの参入が問題」と多くの企業が答えていることを明らかにし、関生支部の政策運動が正当な活動であることを明らかにしました。

 さらに永嶋弁護士は、関西の生コンドライバーの70%が日々雇用される非正規労働者で、企業内組合では有効でなく企業横断的な産業別・職業別組合の形態を取ったこと、ショップ制には就職すると組合に入るユニオンショップと、組合だけから雇用するクローズドショップ制があるが、関生支部のいう人員補充や雇用枠の確保といった考え方はクローズドショップ制に準じるものであり、憲法28条は当然に産業別労働組合にも及ぶ、としました。また、実際の争議の解決金の金額については千差万別であり、検事がいうようにバックペイからのみ積算されるものではないことも具体的に示しました。

事件を経て劇的に売り上げを伸ばした京都生コン協同組合

 永嶋弁護士は京都生コン協組の生コン価格の値戻しは労働組合と共調する路線に転じて以降に劇的に進展、ベストライナー事件と近畿生コン事件を経た時期から空前の売り上げ増(18億円から30億円)を果たしていることを指摘、「関生支部を畏怖した京都協組が経営と不釣り合いな解決金を支払わされた」という検察のストーリーが全くの虚構であることを暴露しました。


*報告集会で話す湯川委員長

牽強付会な検察と論理

 小田弁護士は恐喝における害悪の告知には具体的・明示的な型と黙示の型があるとされるが、本事件では検察も外形的に害悪の告知に当たるような言動がなかったことは認めている。そうすると、黙示的な害悪の告知に当たるかどうかであるが、それはそれまでの人的社会的な関係から考察されることになる。論告が京都協組が関生支部を畏怖していたとする根拠は灰孝争議など25年も10年も前の事柄であり、牽強付会というしかないとしました。

解決金での解決は京都生コン協組の方から持ち出された ベスト事件

 位田弁護士はベストライナー事件の経緯を詳細に追って事件がでっち上げであることを明らかにしました。京都協組内には連帯ユニオンと協力して生コンの値戻しをしようと考える久貝氏たちと、労働組合を嫌悪するF前理事長やT氏たちがいました。ベストライナーという輸送会社は京都協組が労働組合を嫌悪して組合がない会社を立ち上げたところから始まっています。ところがそのベストライナーのアルバイト職の中に関生支部の分会が結成されたことで争議となります。アルバイトの正社員化は実現しましたが、ミキサー車が社員数の半分しか用意されず、赤字と紛争が続きました。そうした中で、F氏前理事長らが暴力団関係者を介して関生支部に解決金支払いによる組合の撤退を提案、関生支部がこれに対して解決金と合わせて京都協組が雇用保障を行うことを求めて紛争が継続していました。その中で、久貝理事が窓口になって解決金の支払いと一定の雇用保障で和解したのがベストライナー争議であったのです。かかる経緯を踏まえると、京都協組が関生支部を畏怖することにより一方的に解決金を支払わされたわけではなく、生コン値戻しにために労使協調に転じて経営的にリーズナブルな金額として解決金が支払われたのでした。それを無理矢理に事件にしたのが警察―検察であったのです。

「連帯シンパ」の「被疑者」久貝理事長がいつの間にか「被害者に」

 片田弁護士は近畿生コン事件の無実を明らかにしました。ベストライナー事件が解決し、京都協組は久貝理事長の下、中小企業の協同組合と労働組合の協力でアウト対策を行い、生コン価格の値戻し、京都府下の協組の統一へ向かいます。そこで久貝氏が頼りにしたのが関生支部の湯川副委員長(当時)でした。ところがそんな中でT氏が近畿生コンを破産させることを決定、京都協組の久貝理事長は近畿生コンをアウト業者が買収して参入し、再び値崩れが起こることを心配しました。他方、関生支部は近畿生コンに1名が在籍、日々雇用の枠が3名ありました。関生支部にとってはこの雇用の確保が重大な問題になります。そこで関生支部は近畿生コンを占拠し、アウトに渡らないようにする、その代わり、京都協組は占有の費用の補償と雇用の確保を関生支部に約束することになります。そうして支払われたのが京都協組から関生支部への解決金です。京都協組はその後生コンの値戻しに成功、空前の売り上げを達成します。京都協組は検察がいう京都協組が関生支部を畏怖して解決金を支払わされたわけではなかったのです。

 検察調書の記載でも、始めは「直接恐喝したのは久貝」との記述があり、久貝氏も家宅捜査を受けます。ところがその後、検察は一転、久貝氏を恐喝の「被害者」として供述させ、これを事件に仕立て上げたのです。

村田建材事件もでっち上げ

 村田事件については、三輪弁護士と渋谷弁護士がその詳細を明らかにしました。

 三輪弁護士は、村田建材で組合加入通知を行って正社員化を求めたことに対して、「仕事を減らす」「タイムカードの位置を変える」「子供が保育園に通うために必要な就労証明書を出さない」「団交に応じない」という村田建材の不当労働行為の連続に担当役員が時に言葉を荒げたり、不調を訴えた相手方の詐病を疑ったのは当然で、恐喝には当たらないとしました。また、現場で予想外に起こった事態への対応について、湯川さんらと担当役員が共謀したということはあり得ないことを明らかにしました。

 渋谷弁護士は、洛南生コン協組の経営者N氏とK氏が村田建材に生コンプラントの解体を行って集約事業とすることを提案したのは洛南協の独自の判断であり、むしろ関生支部が言っていると村田建材に伝聞して利用したことを具体的に示し、共謀を否定しました。

 なお、警察は洛南生コン協組のN氏とK氏が恐喝未遂の実行犯だとして一旦は逮捕しましが起訴もされずに釈放、湯川さんらだけがその共謀として訴えられているのです。

 最後に永嶋弁護士が検察の起訴は控訴権の濫用に当たるとまとめ、弁論を終えました。被告ら2名が最後に意見陳述、湯川委員長は無罪を主張、判決は来年2月26日となりました。

 この日の弁論は、中小企業協同組合と労働組合の共闘によって賃金原資の確保をめざす関生支部の産業政策運動が正当な労働組合活動であることを明らかにし、関生弾圧が憲法28条と労働組合法の刑事免責を否定する弾圧であることを示しました。

 また、関生京都3事件が、「関生支部が京都協組を畏怖させ、支配していた」なる検察のストーリーに沿って捏造された重大な冤罪事件であることも明らかになりました。


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