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レイバーネット夏期合宿: 「岩本太郎のメディア講座」で大いにディスカッション

 8月24日-25日、埼玉県毛呂山で恒例のレイバーネット夏期合宿が開かれた。酷暑にも台風にもあたらず、天候にも恵まれた。緑豊かな光景が広がり、空気の味がちがう。虫や鳥のさえずりがいつも聞こえている。今回の合宿には約30人が参加したが、常連だけでなく、初参加者が多く、大いに盛り上がった。川柳大会では、「毛呂山の空気で元気夏期合宿」の句も飛び出した。

 2日間のプログラムは、西里扶甬子の能登取材報告・映画『ナイロビの蜂』上映・川柳・労働問題ディスカッションなど、さまざまな持込み企画で構成された。ここでは1日目のメインプログラムである岩本太郎の「メディアの現在を考える」を紹介したい。

 岩本太郎さんは「週刊金曜日」編集部メンバーだが、ライター歴は長く、出版・広告業界誌の事情に精通している。岩本さんは『炎上! 100円ライター始末記一マスコミ業界誌裏道渡世』を2018年出版しているが、この日の話もかれの「メディア半世紀」だった。生まれ育ちから始まって、ヤクザのように強面の社長が率いていた出版・広告業界誌に「正社員」で採用されたエピソードなど、リアルで面白い話の連続だった。

 「『現代の眼』など当時の左翼雑誌の経営者は総会屋で、中身をつくっていたのは行き場のない学生運動の活動家たち。総会屋が大企業から広告を引っ張り、左翼を使って出版をしていた。高度成長の日本にはそんな時代もあった」。

 しかし、2000年ごろからインターネットの普及で出版業界の状況は、がらっと変わってしまった。いまや雑誌の販売部数は十分の一にまで減少。「テレビ・新聞・ラジオ・雑誌」の衰退は激しく、それに伴いライター業はなりたたなくなった。リベラル系も同様で、1992年には「朝日ジャーナル」が休刊し、それを受け継ぐ形で本多勝一などが「週刊金曜日」を1993年に創刊した。当初は定期購読5万部からスタートしたが、現在は1万部を切る状況だという。読者の高齢化などいろいろな要因はあるが、どこの左翼系出版物も似たような状況に置かれている。

 これからどうなるのか? どうしたらいいのか? 質疑ディスカッションは活発だった。「ネットで便利になったが、記事の有料化は問題では」「リベラル系もインターネットやYouTubeに力を入れていて、デモクラシータイムス・一月万冊・IWJをはじめ、影響力のあるメディアが生まれている」「私は若者が取り組んでいる『探査』が面白いと思う」「日刊ゲンダイは気を吐いていて読み応えがある」「活字系では『地平社』の仕事が注目されるべきでは」等々、いろんな意見がだされた。


*岩本太郎さん

 岩本さんは、希望の事例として『季刊誌 能登』の取り組みを紹介した。「世界一美しい半島へ。」のキャッチを掲げ、能登の詳細な被害状況の記録だけでなく、能登の魅力を再発見をめざしている。「この雑誌は7000部以上売れている。つくっているのはメディアの元プロの人で、取材執筆力もあるので面白い。また人を雇っていないので経費も少ない。そして地元のお店の広告も付いている。これはひとつの成功モデルだと思う。必要とされるメディアは存在していけるのです。こうしたローカルメディアに私は注目しています」。

 レイバーネットもウェブメディアのはしくれとして、「当事者が発信するメディア」をめざしている。「岩本太郎のメディア講座」はいろんなヒントにあふれたものだった。(M)


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