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ストライキを背景にした要求は恐喝?!
連帯ユニオン関生支部・湯川委員長への懲役10年求刑を許すな!


*写真=湯川委員長(左)と仲間たち

 6月17日、京都地裁で関西生コン京都3事件の論告・求刑が行われ、大阪生コン広域協組が大動員をかける中、京都地検は全日建関西生コン支部・湯川現委員長と武前委員長共に懲役10年という労働運動では前代未聞の重刑を求刑しました。集まった支援60名はこれを強く弾劾し、徹底的に闘いぬく決意を固めました。論告は「ストライキを背景にした要求は恐喝」だとして、憲法と労働組合法で保障された労働組合の争議権を真向から否定したのでした。

実際の暴力的実力行使はなくても、組織力を背景にした要求は「犯罪」?

 京都3事件とは、2014年の生コン輸送会社ベストライナー倒産・7名の組合員の解雇に伴う解決金を京都生コン協同組合に支払わせた、2016年の近畿生コン倒産に伴う解決金を京都生コン協組に支払わせた、2017年村田建材の廃業・1名の解雇に伴い、プラントの解体と1台のミキサー車を譲渡するよう要求したとされる3件です。

 論告は、「2002年2月以降、本件まで刑法の犯罪に直ちに該当する暴力的実力行使は認められない」ことを認定しながら、「実際に行われたストライキの態様のみを見るのは皮相で本質を見誤る」とし、「昭和の終わりから平成のはじめにかけての灰孝闘争で多数の逮捕者が出た」ことや関生支部が行うアウトサイダー企業等へのコンプライアンス(法令違反摘発)活動を理由に、「京都生コン協組は関生支部を畏怖していた」、「関生支部はストライキを手段とし、組織の威力を背景に自らの要求に応じさせるスキームを確立していた」としてこれら争議解決金などを支払わせたことを「恐喝」と断じたのです。これが憲法と労働組合法で認められた団体行動権・争議権の否定でなくて何でしょうか。

 論告は、ストライキの本質を「労務供給義務の不履行」と限定し、「プラント監視活動やストライキへの協力を呼びかけるなら多数で行うは必要ない」「長時間シュプレヒコールを上げる等迷惑かつ非常識な行動を行っている」「労働争議における解決金は裁判所や労働委員会等の公的機関が介入し積算根拠を検討すべき」「関生支部のコンプラ活動は即座に是正しなければ支障をきたすようなことがない軽微な不備を指摘している」「関生のストライキは出荷妨害が目的」等述べていますが、労働関係調整法第七条では、「争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であつて、業務の正常な運営を阻害するものをいう」とされており、論告の主張は労組の団体行動権・争議権そのものを否定するものと言わなければなりません。

合意書を締結し、協同組合の理事会決定を経た解決金の支払いを犯罪化

 ベストライナー及び近畿生コン事件の支払いは京都生コン協組の理事会の決定をもって行われています。当事者から警察への訴えもないことについて論告は「労働組合が主体となる案件では捜査機関が捜査にのりださないことも容易に想像できる」等と述べています(どの口が言っているのか)。正に、検察と警察が主導してこの恐喝事件がでっち上げられたのです。

「関生支部が生コン業界を支配していた」なる虚構

 論告は「一般に使用者に対して社会的の劣位にある労働者を保護するのが労組法の刑事免責の趣旨であるが、関生支部は組織力・動員力を背景に京都生コン協組を畏怖させ、意のままに支配していた」としていますが、これは虚構に過ぎません。実際に生コン業界を支配しているのは、独占セメントメーカーの拡販と、大手ゼネコンによる生コンの買い叩きです。

 論告は「ベストライナー事件当時、生コン価格も低下し、出荷量も少なく、7億4千万円の債務超過と当期370万円の赤字を抱えていた」としています。「近畿生コン事件当時は、生コンはダンピング競争の結果、正常な価格からかけ離れた低額で販売され、経営状態は劣悪であった」としています。これこそ大手セメントメーカーの拡販路線と大手ゼネコンの買い叩きがもたらした現実であったのです。関西生コン支部の産業政策運動は、中小企業者たる生コン製造会社の協同組合と連携して、過当競争と生コン買い叩きに対抗し、労働者の賃金の向上と雇用の確保を追及する労働運動であったのです。

中小企業との一面闘争・一面共闘

 関生支部の産業政策運動は「中小企業との一面闘争・一面共闘」と表現されます。賃金のアップや雇用の維持という労働条件について、労組と中小企業は一面では激しく闘争するが、他方、前述のように適正な生コン価格の収受のために協同組合外からのアウト業者の新規参入による過当競争を抑止するという点では、生コン協同組合と労働組合の利害は一致し、共闘を行っていたのです。このような関係性の中で、京都生コン協組はベストライナー倒産については、解雇された組合員の別会社での雇用を約束し、解決金の支払いに応じたのです。

 近畿生コンの倒産や村田建材の廃業に伴い、関生支部がプラント監視活動を強化してアウトサイダーへの転売を抑止したことは過当競争による生コン価格のたたき売りを防止するためでした。そして、このことは直接的に生コン協組各社の利益となるものでした。したがって、解雇や不当労働行為では争った労使が、アウト対策ではお互いに協力した活動が続けられていたのです。警察検察権力は、このような労組と中小企業の共闘を破壊し、セメントメーカーとゼネコンが市場の自由な支配を行えるよう、このような弾圧に踏み込んだと考えざるをえません。

 会社が倒産して仕事を失った組合員たちは厳しい闘いの日々を送ることになります。関生支部が生コン業界を支配していたかのような論告の主張は虚構に外なりません。

日本を労働争議のない国にしてはならない

 非暴力の労働組合活動が懲役に処せられるなら、日本の労働組合活動の根幹を失われてしまいます。厚生労働省の統計では、半日以上の争議の件数は1974年に9581件であったものが、2022年には65件に激減しています。「絶滅危惧種」と言ってもいい状況です。1980年代、ドイツ連邦労働裁判所の有名な判決は「ストライキ権を背景としない労使交渉は経営者に対する集団的な物乞いにすぎない」と判示しました。日本の労働者は関生支部への弾圧を見過ごすことで奴隷の道を歩んではならないのです。

 連帯ユニオンは、湯川委員長体制で、全力で闘います。

 2024.6.21 愛知連帯ユニオン


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