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米国労働運動 : 活気で沸き立った2024年レイバーノーツ大会
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【解説】2年に一度のレイバーノーツ大会がシカゴで開催された。これまでで最高の4700人が参加した。昨年秋の自動車大手三社でのUAWの歴史的な勝利を受けて、活気に満ちた大会となった。編集長のアレクサンドラ・ブラッドベリ―が速報しているので、翻訳した。全体集会と主なワークショップの録画7本のリンクを最後に掲載した。日本語訳はないが、英語字幕も表示できるので大会の雰囲気を味わうことはできる。(レイバーネット国際部 山崎精一)*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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活気で沸き立った2024年レイバーノーツ大会

アレクサンドリア・ブラッドベリー(レイバーノーツ編集長) 2024年4月26日

 2024年4月19日から21日にかけて開催されたレイバー・ノーツ大会には4,700人という記録的な参加者が集まり、活気に満ちあふれていた。この2年間で多くの画期的な成果を勝ち取り、新たなキャンペーンが始まったことで、楽観的な気分が満ちていた。

 2年前の前回大会以降、スターバックスのバリスタたちは会社を全国交渉に追い込んだ。流通大手UPSの労働者は大幅な賃上げを勝ち取り、ストライキの脅しでトラック運転手の2層賃金を一掃した。各大学の院生労働者は数万人規模で組織化している。小売業やハイテク企業では独立系組合が広がっている。全米自動車労組UAWやチームスターズ労組に触発され、より民主的な組合を求める要求も広がっている。

 そして何よりも、大会参加者は昨秋のビッグ3自動車メーカーに対する6週間にわたるUAWの「
立ち上がれ」ストライキから発散されたエネルギーに乗っていた。4月29日の夜、テネシー州チャタヌーガのフォルクスワーゲン労働者4,000人が3対1の票差で組合認証選挙に勝利したというニュースが流れると、気勢はさらに高まった。 大会のフィナーレでは、ショーン・フェインUAW会長が満員の聴衆を沸かせ、「移民労働者は我々の組合家族であり、敵ではない」と宣言した。

 フェイン会長はレイバー・ノーツ発行の『トラブルメーカーズ・ハンドブック』を 「もうひとつのバイブル 」と呼んだ。そしてダイムラー社トラック工場でストライキが差し迫っていることをほのめかした。企業の強欲を打ち負かす力は、労働組合の指導部にあるのではなく、「団結した労働者階級」にあると主張した。「団結すれば私たちは勝利できる」と。

 イタリアの金属労組リーダーであるミケーレ・ダ・パルマも、ビッグ3のひとつであるステランティス社と闘っているが、同じようなことを主張した。「誰も我々を救いに来ない。イーロン・マスクは地球を離れて火星に飛ぶことを考えている。私たちが生きる社会を築くのは、私たちの仕事なのだ」。

超満員

 大会では300ものワークショップ、パネルディスカッション、会議が開催され、そのほとんどが満席となった。その多くは、交渉、苦情処理、職場活動、組織化といった実践的なスキルを扱ったものだった。また、二層賃金、人員不足、民営化、AI、メンタルヘルスといった主要な問題で組合がどのように闘っているかを議論したものもあった。

 12のワークショップでは、気候変動が職場にどのような影響をもたらしているのか、また私たちは組織化の中でどのようにこの問題に取り組むことができるのかを扱った。4つのワークショップと1つの会議ではパレスチナに焦点が当てられ、会議全体を通じて多くの発言者が、停戦と正義を求める要求に労働組合が取り組む緊急の必要性を強調した。

 40のセッションがスペイン語またはスペイン語通訳付きで行われ、多くの移民労働者やメキシコで発展している独立組合運動の代表者が参加した。メイン・セッションの発言者だったアウディ社のメキシコ独立自動車労組のシーザー・オルタは、メキシコの自動車労働者の賃金を引き上げ、「米国の雇用を米国内で維持する」必要性について語った。

運動を取り戻す

 大会には組合内の改革に取り組んでいる様々な活動家が沢山参加していた。組合内に一般組合員によるコーカスや組合役員候補者グループの結成を始めて間もない組合員から、役員選挙に勝利して組合執行部になり、組合の資源や目標を組織化に振り向けている組合員まで様々な人たちがいた。

 多くのワークショップが、コーカスの作り方や民主的な組合の運営方法に焦点を当てていた。100人の建設産業の組合員が集まり、経営陣に立ち向かう、組合員主導の組合をどうやって構築するかについて議論した。鉄道組合(BMWE)の組合員たちは役員選挙での1人1票制を推進し、郵便配達労組(NALC)の組合員たちは労働協約闘争への組合員参加の機運を高めている。食品産業労組(UFCW)の組合員たちは、大会代議員の公正な投票による選出を求めるキャンペーンを一段と強化し、組合本部に対する訴訟を発表した。

 多くの主要セッションで組合改革派が発言した: ポートランド教職員組合のアンジェラ・ボニラ会長は最近の4週間ストについて報告し、デモインのチームスター労組第90ローカル委員長のアラノ・デ・ラ・ロサはペプシ社で組合末端から積み上げたストライキの威力について語り、カナダのCM俳優ケイト・ジーグラーは一般組合員コーカスの一員でロックアウトとの闘いについて語り、ミネソタ州看護師副会長のシオリ・コンダ=ムハマドは16の病院で大規模な労働協約キャンペーンから改革派役員候補者グループを立ち上げたことを報告した。

芸術と映画

 「労働芸術大交流」の協力を得て、大会三日間を通して音楽と文化を盛り込むことができた。全体会議では衝撃的なパフォーマンスがあり、作曲、詩、ビジュアル・アート、演劇を組織化に活用するワークショップも開催された。会議の参加者は、スターバックスとアマゾンの組織化に関する2本の新作ドキュメンタリーの特別試写会を楽しみ、それぞれ映画製作者と関係労働者との質疑応答が行われた。

 土曜日の資金調達の晩餐会では、今年のトラブルメーカー賞受賞者が紹介された。マサチューセッツ州で「違法」ストライキを敢行した教員たち、ワーカーズセンター「Pescando Justicia(正義のための釣り)」、そしてUAWの「立ち上がれ」スト参加者たちである。

 大会のために街へ向かう多くの参加者は、オヘア空港の客室乗務員やシカゴのトレーダー・ジョーズ店の労働者の集会に立ち寄り、他の参加者はローズモントのポーティロ・レストランの労働者の土曜日のランチタイム集会に参加するためにバスで向かった。

●記録動画のリンク(レイバーノーツのYouTubeチャンネル)
https://www.youtube.com/@labornotes


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