大軍拡に驀進する日本の姿
〜映画『戦雲(いくさふむ)』と三上智恵監督のトーク
甲斐淳二
上映終了を待たずして、満席の会場から拍手が沸き起こり、しばらく鳴りやまなかった。テレビでは決して見る事のできない、現在の沖縄の本当の姿、日本の本当の姿を見せてもらった、そういう気持ちが拍手になったのだろう。
『標的の島』『沖縄スパイ戦史』などの代表作に続く三上監督の今回の132分のドキュメンタリー。有無を言わせぬ自衛隊の進出、平和な島が自衛隊と国家によって押しつぶされていく。石垣島の山里節子さんが歌う抒情詩「また戦雲(いくさふむ)が湧きだしてくるよ、恐ろしくて眠れない」という歌が胸にしみる。
映画に描かれるのは沖縄に事だが、この映画を観て脳裏をよぎる事がある。欠陥機オスプレイの飛行が再会され、各地を飛び回り、国民の命と安全が脅かせれている事。私の故郷大分の市街地にも弾薬庫の建設が突如一方的に発表され、温泉地の湯布院にもミサイル基地建設が突如発表され、静かな町や温泉地が戦場にされようとしている事。
さらに、港湾や空港が軍事基地化され、平和な港や空港が前線基地として戦場にされようとしている事。日本全国に「沖縄の全土化」が進められていること、などなど・・・。
この映画は沖縄の映像を通じて、大軍拡に驀進する日本の姿を見せてくれる。
舞台挨拶の最後に三上智恵監督が残した言葉は「今からでも遅くない、共に目撃者になり、当事者となり、共犯者になろう」という一言だった。トークの後、パンフレットを購入し、監督のサインを求める長蛇の列が残った。
(3月26日、キネマ旬報シアター柏にて鑑賞)
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Last modified on 2024-03-29 15:22:08
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