学校現場で「汚染水」の用語を使うな!/福島県議会が「トンデモ意見書」を採択 | |
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取材・文責:黒鉄好(ALPS処理汚染水放出差止訴訟原告)
学校教育の現場で「汚染水」の用語を使うな−−いわゆる「ALPS処理水」なるものは「安全」だとして福島第1原発から出るALPS汚染水の海洋投棄を進める国・東京電力。その方針に学校教育現場の教職員を従わせようとする「トンデモ意見書」が2月28日、福島県議会に提出された。福島県民有志はこの間、意見書の採択をしないよう、この問題を担当する県議会商労文教委員会所属県議に対する要請行動や署名提出などあらゆる行動を続けてきた。だが、こうした努力にもかかわらず、意見書は3月18日に委員会で、また県議会最終日となる19日には本会議で、自民などの賛成多数で採択された。(写真下=自民党福島県議会議員団が入居する福島市「中町ビル」) 事の発端は1月下旬、日教組(日本教職員組合)が札幌市で開催した教研集会にさかのぼる。教研集会はコロナ禍のため過去3年、オンライン開催が続いてきたが、今年、4年ぶりの集合形式での開催に戻った。その集会で、神奈川県内の中学校教員が汚染水の用語を使った教育実践例を報告。地元との同意がない限り、汚染水を放出しないとの約束を反故にして、国・東京電力が放出を強行したという正しい内容を教えるものだった。 これに対し、産経新聞が噛みついた。「社会科教材に「汚染水」表記 日教組集会で授業実践例を発表「放出を強行」記載も」(1月27日付)で「汚染水」攻撃ののろしを上げた。他紙の社説に当たる「主張」でも「「汚染水」授業 日教組は偏向指導やめよ」(1月29日付)と相次いで攻撃をヒートアップさせた。 「コンビニで買える自民党機関紙」産経が進軍ラッパを鳴らし、それを合図に自民党が「本隊」として進軍するという「使い古されたいつものやり口」で、呼応して福島県議会自民党が動いた。提出された「教育現場におけるALPS処理水の理解醸成に向けた取組の更なる強化を求める意見書」は、放射性物質の含まれた水で海を汚してほしくないという素朴な思いから海洋放出に反対している市民に対し、産経新聞の報道を引きながら「科学的根拠もないまま、処理水を「核汚染水」と称して虚偽の情報を世界中へ発信している中国と同様」だと決めつけている。その上で、福島県内にとどまらず、全国の教育委員会に対し「科学的な根拠に基づいた正確な情報による適切な教育」のため「適切な資料等の活用」による教育を行うよう求めている。 処理が適切なプロセスに基づいて行われたとのIAEA(国際原子力機関)の評価を受けた「処理水」が放出されている、とする政府側の見解を含め、あらゆる立場の意見が学校現場で議論されること自体を、もちろん私は否定するものではない。問題は、県議会自民党が政府見解だけを唯一絶対の「正解」とし、これ以外の異論を排除するよう白昼公然と介入していることである。それこそ中国共産党の見解だけが唯一絶対の正解とされ、異論を唱えれば弾圧される中国と同じではないか。 安倍元首相殺害直後の2022年9月、朝日新聞が全都道府県議会議員に対して行ったアンケートで、福島県議会議員56人のうち10人が世界平和統一家庭連合(旧「統一協会」)と接点があったと回答。このうち鈴木智県議は、県議選の直前や期間中に教団信者の前であいさつしていたと関係を認めている。西山尚利県議に至っては教団の集会などに出席し、関連団体から「平和大使」に任命されていたことが判明している。今回の意見書は鈴木智県議が「提出者」になっており、県議会議長を務める西山県議は意見書を受け取る立場にある。 今回の「トンデモ意見書」採択はこんな連中によって行われたのである。法的拘束力のない意見書に過ぎず、まともな神経を持った議員によるものでもないから、福島県、そして全国の教育現場は萎縮せず子どもたちに国・東京電力の本当の「罪」を教えてほしい。 <参考記事> Created by staff01. Last modified on 2024-03-24 10:39:13 Copyright: Default |