8000キロの植林計画~映画『グレート・グリーン・ウォール』を観て | |
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8000キロの植林計画〜映画『グレート・グリーン・ウォール』を観て笠原真弓季節の花の開花時期が、確実に早まっている中で、今や地球は確実に温暖化していると、思わずにはいられない。アフリカ大陸では、なんと1.5倍の速さで気温が上昇しているという。それを危惧したアフリカ連合では、とてつもない計画を立ち上げた。2007年のことだ。 それは、アフリカ西岸のセネガルから東のジブチ沿岸までサハラ砂漠の南端のサヘル地域8000キロに「緑の長城」を築こうというもの。地図で確認してほしい。アフリカ大陸の東西に一番太いところである。そこに植林をするという計画だ。 それに共鳴したインナ・モジャさんは立ち上る。彼女はサヘル地域のマリ共和国出身、パリで歌手や役者として活動している。彼女は、少女の時の経験がきっかけで「紛争で危険にさらされるのは女性」と社会活動に積極的に取り組み、揺るぎない。サヘルに入った彼女は、行く先々で地元の人たちの話を聞き、仲間たちとそれを歌にしてライブを重ねる。 この地域の干ばつは今に始まったことではなく、人々は飢えて渇き、亡くなっていく。家族を養うために難民として国外に不法に脱出する人もいるが、必ずしも成功しないし、命を落とすことすらある。 ここでは、気温上昇ばかりでなく、紛争もあり、捕らえられた子どもは、人を殺す訓練を受け、何人も殺したと。そう言いながらも、ここから脱出したいとも訴える。そんな彼らにも「夢をもってほしい、夢はかなえられる」とインナ・モジャさんは、ラップで訴え、世界にも発信し続けている。 もちろん彼らは夢を語っているだけではない。植林の他に、中には村人総出でサラサラの大地を掘って灌漑用の池を作った集落さえあるのだ。その池に蓄えられた水は、神々しく茶色に光っている。 技術の未熟から、植えた苗木を枯らすことだってある。でも試行錯誤を繰り返しながら「2030年までに1億ヘクタールを回復させる」目標の15%が達成(2017年)したという。 ことさらにインナ・モジャさんの遠くまで通る歌声が、響いていた。 監督:ジャレット・P・スコット 92分 Created by staff01. Last modified on 2023-04-27 22:57:24 Copyright: Default |