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LNJ Logo レイバーネットTV「映画と本で振りかえる2023年」アンケート結果
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以下は12月13日放送の「レイバーネットTV」、<映画と本で振りかえる2023年>に寄せられた全アンケート結果です。

【本】
〇ジョニーH
推薦本『ここにあったよ自由と幸せ』著者 大野りりあな 幻冬舎
推薦理由: 7歳の大野りりあなが、ママの母国イランで起きた「22歳の女性マーサ・アミニさんのヘジャブ着用違反拘束拷問死亡事件」を知り、自由について、今の日本を見つめて、描いた絵本。
私たちも情報を精査して、著者のような純粋な気持ちで世の中を見つめ直すことが大切だと感じて推薦しました。

〇志真秀弘
『それは丘の上から始まったー1923年横浜の朝鮮人・中国人虐殺』『福田村事件ー関東大震災・知られざる悲劇』『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相』
推薦理由: 3冊とも、今年7月以後に刊行された本です。どの本も市民活動の中から生まれたといって過言ではなく、そこにこの3冊の特徴があります。

〇土田修
金平茂紀さんと大矢英代さんの共著『新しい戦前の中でどうやって正気を保つか』
推薦理由: ウクライナ戦争、パレスチナ紛争、この時代に読むべき本です。金平さんはもちろん、大矢さんは日本のジャーナリズムを変える逸材です。

〇小野政美
『<悪の凡庸さ>を問い直す』(田野大輔・小野寺拓也編著・2023年・大月書店)
推薦理由: 『<悪の凡庸さ>を問い直す』(田野大輔・小野寺拓也編著・2023年・大月書店)は、レイバーネット12月読書会でも取り上げられた『検証・ナチスは「よいこともしたのか」』(岩波ブックレット・田野大輔・小野寺拓也)著者たち編のナチズム研究者とハンナ・アーレント研究者による共著である。「いま<悪の凡庸さ>の何が問題なのか」。著書の帯には、「アイヒマンは組織の”歯車”ではない」とある。アイヒマンは、ほんとうに、「上からの命令に従っただけの人間」・「普通の人間」・「法を遵守す市民」なのか。『エルサレムのアイヒマン』(ハンア・アーレント;1969年;みすず書房)で<悪の凡庸さ>という言葉は、なぜ、どのように日本社会に定着したのか。アイヒマン自身は、「『誇り』をもってホロコーストを成し遂げた」(「サッセン・インタヴュー」)と語っている。『エルサレム<以前>のアイヒマン』(ベッティーナ・シュタングネクト著・2021年・みすず書房)、『増補・普通のびと』(2019年・ちくま学芸文庫)も併せて読むといい。映画「ユダヤ人問題の最終解決」の会議を描いた『ヒトラーのための虐殺会議』(マッティ・ゲショネック監督・2023年公開)も必見である。なお、『関東大震災と民衆犯罪』、『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相』、『福田村事件』、『それは丘の上から始まった巻頭大震災描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』など長年の調査研究による著書が刊行され、それらの著書を読みながら、関東大震災時の朝鮮人中国人虐殺から100年の日本社会を想起し、民族排外主義・自民族優越主義の現在を心に刻んだ。

〇フクシマ陽太郎
「 ザイム真理教ーそれは信者8000万人の巨大カルト 森永卓郎
推薦理由: 財務均衡主義、我が国の借金は巨大で子孫に途轍もない損害を与える。これは財務省が40年間かけて布教したカルト教団の教義だ。薄いけれども実に重要な本だ。分かりやすく書かれている。8000万人のひとりのあなたはこの巨大カルトの洗脳から抜け出せるのか。政治と社会を変えたい人必読の「バイブル」のひとつだと思う。

〇笠原眞弓
「反戦平和の詩画人 四國五郎」 著者四國光
推薦理由: 広島出身の画家である彼は、徴兵されて終戦後、シベリア送りとなる。生還し、故郷に帰ると弟は被爆によって亡くなっていた。彼は広島で峠三吉らと共にまだ日本のどこにも反戦活動がなかった時に、「辻詩」なるものをあちこちに貼って反戦運動をした経緯はじめ、息子光さんによって父の画家/詩人としての生き方を著わしたもの。今光さんが手元にある資料から、五郎さんの戦中戦後の生き方をひも解く。四國五郎さんは絵本「おこりじぞう」の画家としても親しまれている。

〇橘優子
「郵政労使に問う」池田実(みのる)著・「伝送便」編集委員会 編
 本は昨年の出版、被ばく労働ネットの元作業員の活動家として、大活躍の仲間が、今年の日本自費出版文化賞 部門入賞を果たした作品。1979年の4.28免職処分から、全逓の切り捨てにもかかわらず仲間と共に28年の争議に勝利して職場復帰を果たす闘いを軸に、中卒で職場に入り、定年後、福島で除染・原発作業員になるまでの話が実に興味深く描かれ、電車で読むと、乗り過ごしますよ!(このように諸注意が)

〇佐々木有美
コモンの「自治」論
推薦理由:
本/デッドロックに乗り上げた現代をどうするか。国家ではなく地域から変えていく。資本から人類の共有財産をとり戻す。二つの課題を明示した意義は大きい。

〇松原明
本=青木美希『なぜ日本は原発を止められないのか?』
推薦理由: 本=原発問題の集大成のテキスト。「結果的に社を去ることになるかもしれない。それでも、事実を届ける方が大事だと思って出版に踏み切 った」と。まさしくこの本は、「ジャーナリスト青木美希」の体を張った本だった。

〇土屋トカチ
【本】母がゼロになるまで/リー・アンダーツ 著
発達障害の母が亡くなるまでの2年間。最後の共に過ごした、娘による壮絶な記録。母による、常軌を逸脱した借金と散財。セルフネグレクト的ごみ屋敷状態や入浴拒否の描写に驚愕するも、筆致はユーモアにあふれ、かつ映像的。乞う映画化。

【映画】
〇 ジョニーH
映画『銀河鉄道の父』
推薦理由: 宮沢賢治に対する父親の無償の愛情。兄賢治に対する妹トシの敬愛。病気で先立った二人を銀河鉄道の中で父親が見守るラストシーンが印象的。兄妹二人は小説『銀河鉄道の夜』の中のカムパネルラとジョバンニのようだ。

〇佐々木有美
映画「福田村事件」
推薦理由: 映画/関東大震災の朝鮮人虐殺に、劇映画史上初めて真正面から向き合った。歴史修正主義が跋扈する今、その勇気と志に敬服。

〇野口綾子
映画「 RRR」
推薦理由: 世界観が変わった。周りの観客と一緒に笑ったり泣いたりしながら、自分の中に存在する植民地主義に気が付かせてくれた。敵役であるイギリスですらヒットし、確実に世界を変えた作品。

〇林田 英明
映画/アウシュヴィッツの生還者
推薦理由: どうやって彼は生き残ったのか、生き残れたのか。圧倒的な事実の重みが恐ろしくもある。ナチスをテーマにした映画は少なからず目にしているが、これは愛の物語でもあり、最後まで目が離せなかった。そして悲しきボクシングのドラマでもある。

〇高橋峰子
映画/パリタクシー
推薦理由: 91分に凝縮されたストーリー展開。
私の感情は総動員され、心がほどよくマッサージされた。
驚き、涙と笑い、温かな感動が味わえる、後味最高!の洒落た映画。

〇松原明
スマホを駆使して社会の不正とたたかう「被差別カーストの女性たち」。忖度と自主規制の日本の大手メディアが忘れてしまったものが、ここにはある。レイバーネットが目指してきたものとも通じる。

〇尾澤邦子
映画「金福童」
推薦理由: 今年1月に日本で公開された映画です。涙が止まりませんでした。
日本軍「慰安婦」とされた金福童(キムボクトン)さん。大変な苦労をされてきました。2015年の「日韓合意」で両政府が、被害者を無視して問題を終わらせようとしたことに対し、抗議の座り込みをします。抗がん剤の治療を受けながら、雨の中、傘をさして座り込み、「日本政府は謝罪せよ」と訴えました。
金福童さんの生きざまを多くの人に見てほしいし、訴えを聞いてほしいと思います。葛飾では来年1月20日(土)に上映会を行います。詳細は尾澤まで。

〇白石 孝
 映画「せかいのおきく」
推薦理由: 江戸末期、没落していく武家のむすめ・おきくと長屋のくらし、そして糞尿売買の男ふたり、この「せかい」を描いたモノクロの秀作、阪本順治監督。身分社会の変化、庶民の暮らし、底辺とされる職業、これぞ「社会派」でかつ「娯楽」映画と思った。何より黒木華がいい。

〇小野政美
映画『ヒトラーのための虐殺会議』
推薦理由: 映画『ヒトラーのための虐殺会議』(マッティ・ゲショネック監督・2023年公開)は、1942年1月20日、ドイツ・ベルリン郊外で開催された、アイヒマンも参加した「ヴァンゼー会議」がテーマの映画です。ハイドリヒ(ナチス国家保安部長官)、内務省、外務省、ヒトラー親衛隊、ナチ党などヒトラー関係機関の幹部たちが、ヨーロッパ全地域の「ユダヤ人問題の最終解決」をどう実施するかを協議する会議の始まりから、全員一致で決定するまでを丁寧に描いています。この会議の主催者ハイドリヒの部下である書記・アイヒマンが、会議で、ユダヤ人の「移送方法」を淡々と説明し、アイヒマンが「悪の凡庸さ」なのかと問いかけます。関連映画として、『アイヒマンを終え!』(ラース・クラウメ監督;2015年)、『ファイナル・アカウント』(ルーク・ホランド監督;2020年)も必見です。さらに、アイヒマン題材の『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』(エイアル・シヴァン監督;2000年)、アイヒマン裁判が舞台の『ハンア・アーレント』(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督;2013年)と見比べるとより面白いでしょう。関連書として、『検証・ナチスは「よいこともしたのか」』(岩波ブックレット)著者の田野大輔・小野寺拓也の編著になる『<悪の凡庸さ>を問い直す』(大月書店)もぜひ。「戦後78年」、「新しい戦時体制に向かう日本」の戦争犯罪の真実を描いた映画も観たいのだが・・・。

〇フクシマ陽太郎
映画/私たちのブルース
推薦理由: 昨年放送された韓国の連続ドラマ。オムニバス形式で描く。済州島に生きる人々の過酷な運命。切り開いていく激しく熱い物語。人と人の深いつうながり。つくづく沈滞した日本の文化状況の情けなさを思い知らされた。

〇土屋トカチ
【映画】Maelstrom(マエルストロム)/山岡瑞子 監督
ニューヨークの美大卒業後まもなく、交通事故で脊髄損傷という大怪我を負い、中途障害者となってしまった山岡監督。アーティストとして再始動するまでに要した時間は20年。自らの生き方と社会を見つめ、丹念に紡いだセルフドキュメンタリー。「感動ポルノ」を一蹴する奇跡的傑作。

〇根岸恵子
映画/ Perfect Days
推薦理由: ドイツのヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主演に東京の公衆トイレの掃除人の日々を描いています。カンヌで賞を取り、欧州では話題の映画になっています。役所の人間性が評価されているのですが、日本人の私が見て思ったのは、監督は日本という国の二面性を描いているのだと思います。親切で穏やかなトイレ清掃人と礼儀も感謝もしないトイレを使う人。近代的な駅の改札のすぐ横にある雑然とした飲み屋街。近代都市と平山のボロアパート。ハイテク国家とカセットテープなど。日本人のこうした2面性について監督の鋭い眼を感じます。

〇笠原眞弓
 映画『さよならホヤまん』
推薦理由: きっと見落とされる映画である。チラシを見た時、お笑い映画?と思った。ところが何だかわからないで見はじめたらとてもまじめな、しかも当事者以外は見過ごしてしまいそうな映画なのだ。
東日本大震災による被害は、場所や環境によってさまざまだ。関東人の私としては、やはり放射能による被害を中心に関心が向くが、これは違う。地震によって家庭の事情が変わった三陸の小島に暮らすホヤの漁師の青年は、船に乗れない障害を持った弟と閉塞感の中で暮らしている。そこに現れた謎の女性に振り回されながら、それぞれが次の道を見出していくまでをえがく。ついつい人類にとって大きな損失をもたらした被害にばかり関心が行くが、一人の人は、こんな些細なことも人生の重大事なのだということを忘れていた自分に気づかされる。

〇橘優子
「ヤジと民主主義」
政治的な問題のみならず、優生手術など障害者問題も取り上げ、青い芝の五十年前のCP仲間が出ていたり、とても良くまとめられた作品でした

〇堀切さとみ
「ハマのドン」
横浜に計画されていた巨大カジノ計画を中止に追い込んだ、自民党の重鎮・藤木幸夫さんを追ったドキュメンタリー。市民、野党、アメリカ在住のカジノ設計士まで巻き込んで、反対運動を起こす。保守にはこんなに魅力的な人がいる。真の愛国者の姿に勇気づけられた。

【永田さんが話題にした
劇映画「ほかげ」「福田村事件」「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」「月」「ヨーロッパ新世紀」と「丘の上の本屋さん」「ゴジラ−1.0」
ドキュメンタリー映画「私はモーリーン・カーニー」「メンゲレと私」「燃えあがる女性記者たち」「グレート グリーン ウオール」

Created by staff01. Last modified on 2023-12-17 15:58:09 Copyright: Default

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