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レイバーネットTV詳細報告 : 電通が作る「福島の安全」に大金を注ぎ込むのは?
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●レイバーネットTV192号(10/25)報告

電通が作る「福島の安全」に大金を注ぎ込むのは?

〈薄めても薄めてもなお汚染水―国と東電に責任を問う〉

今回の放送が終わった時、ツクヅク東電も国も国民のことは何も考えていない。いかに原発事故を小さく見せ、人々に真実を知らせないかが最も大事なことで、それを電通に委託して推し進めていることが見えた。(報告:笠原眞弓)

アーカイブ録画: https://www.youtube.com/watch?v=X8XYdzlVVEk
レイバーネットTV専用サイト:https://labornettv.org

企 画:堀切さとみ ジョニーH

司 会:ジョニーH
 ゲスト:おしどりマコ・ケンさん


★ジョニーH:埼玉県の戸田市の環境フェアに参加の「原発を考える市民の会」で、クイズをすることになった。その中に「汚染水」という言葉を使ったら、行政からその言葉は使わないでといわれたとか。経産省が言うように「処理水」してくださいと。でもここでは、バッチリ「汚染水」という言葉を使うと宣言。

◆飛び込んできた「作業員被ばく」のニュースからはじまった

おしどりマコ・ケンさんたちを迎え、ジョニーHさんはお二人への「ウエルカム・ソング」を披露!
先ず、早速マコさんたちがスタジオ入り直前に届いた福島第一で働いている方から届いた事故のお知らせメールを披露する。
「作業員が配管の掃除をしていたところ、ホースが外れて未処理汚染水が飛散し、20代から40代の作業員5人に放射能物質が付着した。現地病院で線量が下げられなければ、しかるべきところに移送する」というもの。メールは「汚染水をぶちまけ、大騒ぎだった。漏れた未処理汚染水の上を救急隊が歩き回り、汚染を広げていた」と続いていたということだった。
続けてマコさんは今ちょうど、IAEAが福島第一に入っているので気を付けているはずなのに、ドエライ事故になってしまった。今このようなずさんなトラブルが多いが、12年経って配管もだけど、東京電力も劣化しているようだという。そして、現場の人たちに何事もないように願っていると続ける。



◆おしどりマコ・ケンさんが支える東京電力定例会見


2011年の記者会見は100人以上の記者が参加して2〜3時間、月〜金まで午前、午後の会見だった。13年になると少し減ってきた。16年では、20人前後になった。19年、20年にコロナ禍となり、グーンと減ると同時に記者会見をやめようとした。それをマコさんが阻止して、小さなノートパソコンを使った遠隔の記者会見とし、月・木の週2回となった。今年、23年は出席者がおしどりマコ・ケンさんだけの時も。マコさんたちが行かなくなると、会見がなくなるというところまで来ている。でもアルプス処理水という汚染水の海洋投棄(東電・国は海洋放出と言う)の時は、一瞬増えたとか。


◆電通と行政の関係を暴く

マコさんは、長野のミニコミ誌『だあくらたあ』の編集長が、情報開示請求を大量にした結果、電通社員が政府機関に出向しているなど、関係が分かってきたと話す。
その中で、福島の「被ばく安全神話」つくりがある。
電通のやってきたこととして、3つにまとめている。

  ・口封じ(意見を言わせない)

  ・心封じ(不安に思ってはいけない)

  ・思想封じ(考えさせない)

気がついたきっかけは、伊達市が出した『こころの除染』という本。『だあくらたあ』の編集長がその内容に驚いて伊達市に、だれがつくり、どんな予算が使われたのかと問い合わせたところ、伊達市の予算で電通が作ったとの返事。費用などは、開示請求すれば出てくるというので、早速各自治体に関連資料の開示請求をして集める。ところがあまりに資料が膨大なので、おしどりさんたちなど周りに呼び掛けて究明チームを作ったとか。


◆「電通」主導の被災3県のポジティブ露出とは——「安全」は禁句

なぜ?
「ふくしま農林水産安全・安心メディア発信研究会」と題され福島県内9社のメディアが参加している会がある。そこでは原発被害を言うのがネガティブ、「復興ガンバロウ」はポジティブということで、そんな言葉を並べる発信法などをレクチャーしていたのだ。

例えば、
ポジティブ露出ベスト3:フラガール、コメ全袋検査、福島の桃をタイへ初出荷
ネガティブ露出ベスト3:子どもの甲状腺検査、中間貯蔵施設問題、アイナメから高濃度セシウム
「安全」という言葉を使うと、「危険」を連想させるから使わないとか……と、思わず笑う。

他にも、メディアセミナーやメディアツアーを行って報道関係者に安全を刷り込こもうとしているし、複数の子育て中の女性インフルエンサーに福島の○○はおいしかったとブログに書かせてもいるとか。
それも何を見せられ、何を隠されていたかが、情報開示によって分かったことで、そのことはとても重要なことだったという。ただし、開示請求は、紙の枚数によってお金もかかる仕組みになっている。黒塗り(所謂「海苔弁))のものもあるが、何が隠されたかによって分かることもある。


◆電通に支払われた金額は?

TOKIOを使ったCM・広告代は、税金からなんと福島県と農水省合わせて電通に55億円。また、原発事故直後の2012年の電通に支払った額と、22年23年の「アルプス処理水」を海洋投棄するための電通に支払った額が同じだという。どれくらい汚染水の海洋投棄が政府にとって重要なのか分かる。

◆請戸の海の魚は安全か?―吉沢正巳さん(希望の牧場)の映像―


吉沢さんは、浜で魚を釣ってはその放射能を検査に出している。請戸海岸でテントを張って魚を釣っている希望の牧場の吉沢正巳さんの映像が挿入される。
公的機関では、1検体1万円もして、なんでトリチウムとセシウムだけしか測らないのか、他の核種は安全なのか、問題にされると困るのか?と疑問を呈する。そして、情報を待っているだけではだめだから、自分たちで釣って、測ってくれる研究者に運ぶことにした。自分たちでやることが大事と。5年はやろうと思っていると彼はいう。もちろん、浜での行政の「不思議な行動」も見える。

◆タンクの水の中身はなぁに!


放出寸前の水は、ちゃんと測定しているとマコさん。トリチウム以外では、セシウム137、134、ストロンチウム90、ヨウ素129、炭素14も測っているけれど、「測っていない」といわれているのは、海に流した後の海水の迅速測定で、トリチウムやセシウムのみの測定ということを問題視しているのだと思うと。


◆今流している水はフレッシュ排水

放射線濃度が低いから薄めるのが楽
続けて吉沢さんは「5年くらいたったら濃いものを流すのではないか」とのことたが、それは違うという。
東電は、排水タンクの置き場がないから廃炉に邪魔なので海に流すと言っていたが、最近は方針が変わった。今積んであるタンクの中身は、事故と当初のもので、線量がとてつもなく高い。そのまま放っておけば、勝手に減っていくので、新たに出てくる汚染水を薄める方が効率的と考えて今出てくる汚染水を流すことにしたという。


◆廃炉は夢のまた夢……だから廃炉の定義を変える?

ここで驚くべき事実を知る。廃炉まで30年と決めているが、これも夢のまた夢。廃炉に関する記者会見を「中長期ドリーム記者会見」と笑う。
日本の法律の廃炉の定義は
・放射能廃棄物が一切なくなって、放射線管理区域の規制が取れるとき。つまり、一般の空間と同じ状態になるときが「廃炉」なのだ。
30年後にタンクゼロはあり得ないから、その前提がおかしいと断言する。

◆だから廃炉の定義を変える?

地元が望めば!「地元」って誰? もっと驚くべきことは、なんとその廃炉の定義を変えるというのだ。
・ある程度瓦礫など残っていても、地元の人たちが望めばそれを廃炉とする! あくまでも地元の要望であって、地元との協議だという。このうさん臭さは何なのか!「地元」とは誰なのか? 除染も、年間20mm㏜の避難解除も、地元の要望だと東電・行政側は言い切ったとか。

◆セシウムが魚に出ている
港湾内だがここ数年、100㏃を越えた魚が度々出て、出荷制限もかかっているとか(表を示す)。ということは、事故そのものによる海洋汚染である。アルプス処理水の魚の前に、以前からの海産物汚染をどうにかしなければならない状況だ。

◆メディアの作為報道 汚染水の放流を「受け入れる」なんて言っていない

ジョニーHさんは、地元漁連などは出荷できるものをと、努力してやっと2割くらいが出荷できるようになっている。ところが東京のメディアは「他の地元の方たちは放流に反対しているが、旅館組合などは容認しているという報道だった。本当のところは?と問う
マコさんは、それは全く違うと。2020年のこと、地元民に処理水の放流の意見を聞く会を設けた。福島県の旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長の映像が流れる。「…大きな経済的なダメージをいまだに受けているが、それは風評被害ではなく実害だ」続けて「今回、どうしても放出するなら、他県で放流させるわけにはいかないから”国による故意の加害行為による損害”として、長期的に補償をしっかりするように」と訴えた。

ところがそれを報道ステーションが、「反対する人もいるけれど(少数派に聞こえる表現に)、国に補償を求めたうえで海洋放出を容認する(多数意見の感じ)」と簡単にまとめていた。
ジョニーHさんは加えて、しかも、福島県内では報道内容も違うようで、全自治体の80%が海洋投棄に反対していて、差し止めの決議を全会一致で出しているところもあるのにと。

◆放出中の汚染水の80%前後が半減期1570万年のヨウ素129とは

マコさんが気になっている核種にヨウ素129がある。告示濃度限度(人間が70年間毎日2ℓ飲んでもいいという基準で、環境中に出せる濃度。100年後の海はどうなる等は一切評価ナシ)は核種によって違い、ヨウ素129の告示濃度限度はたったの9㏃。しかも半減期は1570万年と、気が遠くなるほど長い。1回目に投棄したものはヨウ素129が2㏃入っている。現在、3回目のものまで発表されているが、残っている告示濃度限度比の総和(トリチウム以外)の80%前後が、ヨウ素129なのだ(表による説明)。
この濃度で放出され続けた場合の100年後の海の生態系などの考察は、全くされていない。ヨウ素129が環境に一番影響を与えるだろうと、一応環境省・東電なども考え、海藻のヨウ素129の測定が昨年の4月から始まった。

◆汚染水の放出で、新たな輸入規制が始まったと中国・韓国を非難するが

農水省の事故直後からの輸入規制を撤廃していった国の資料を示す(表)。2021年にアメリカ、イスラエルなど3ヵ国が、22年に英国、インドネシアの2ヵ国、23年にはEU、アイスランド、ノルウェースイス他1ヵ国が撤廃している。汚染水を流す前から規制しているのは、7ヵ国のみで、その中に中国、韓国、台湾などが入っている。それをもって「流したから輸入規制するのはけしからん」と騒ぐのは、少し違うのではないかとマコさんは言う。

◆質問コーナー
・他国(中国、韓国など)からの流出批判に、原発のある国は流していると日本は反論しているが。
 —もちろん原発のある国は日本も含めどこも流しているが決定的な違いは、今回の日本の放出は直接デブリに触れていること。この水と同じような汚染水は、再処理工場の排水が近い。例えば、東海村の再処理工場、フランスのラーグ、イギリスのセラフィールド。でもイギリスは海への排水はなくなっている。他もトリチウムの濃度規制(薄めれば無限大に流せる)の他、各放射能物質に総量規制もあるので、バンバンは流せない。
今「総量規制のない国は日本以外にあるのか」を環境庁に問い合わせているが、まだ返事はない。

・おしどりさんの執念は何か?

−歯磨きするように考えようということかもしれない。歯磨きは他人にしてもらえないし、毎日したい。しないと(考えないと)気持ち悪いから、かもしれない……。その言葉に、スタジオは唸った!

・廃炉迄どれくらいかかるのか?


  —東京電力の社長などが並んでいるときに、廃炉迄何年かかるかと質問したことがあった。すると「廃炉まで30年。それまで見続けて、責任を取ります」といった。その回答を受けてマコさんは「30年後、どこで何をしていらっしゃるか、一人ずつお答えください」と返したと笑う。


*休憩時間には乱鬼龍の川柳が登場!
  汚染水ウソデタラメも垂れ流し  乱鬼龍
  処理水はデブリの味を明かさない 木根川八郎

次回は11月8日 ウクライナ・パレスチナ問題の予定


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