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大島新監督「無関心な人との分断が深刻」/ドキュメンタリー映画『国葬の日』を見て
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大島新監督「無関心な人との分断が深刻」〜ドキュメンタリー映画『国葬の日』を見て

相沢由美子

映画『国葬の日』をポレポレ東中野で見た。大島新によるドキュメンタリー最新作で、昨年9月にあった安倍元総理の国葬の日の記録だ。記録と言っても、国葬が行われた9月27日当日、北海道から沖縄までの10地点で撮った映像というのに、まずはびっくりした。

辺野古で、日比谷で国葬反対デモやアピールがあり、気勢を上げる人たちがいる。奈良の銃撃事件現場には弔問に訪れる人がいて、若い男性は嬉しそうに安倍元総理とのツーショット写真を見せる。また「長い間、総理を務めた人だから、国葬は当然じゃないか」と、語る人が何人かいたが「政治的にはどうだったか?」と問われると「あまりわからない」と答えた。

洪水被害があったばかりの静岡ではボランティアの学生と家の中まで浸水被害にあい、泥除け作業にあせをかきなが「こんなにひどい災害にあっても、政府は何もしてくれない。せめて国葬費用を少しでも回してくれたら・・」と。福島県南相馬の女性は「ウクライナとロシアは戦争していて、物価も上がっている。こんなときに税金(15億)を使って国葬しなくても」。

千鳥ヶ淵で献花した人は約25000人。反対デモの参加者は15000人。辺野古の喫茶店のママは「国葬反対と言うのもいいけど、1週間もしたらまたもとの生活に戻っていく」と。

見終わった後は脱力感。どうして自民党がいつまで選挙で勝つのか、どうしてみんな怒らないのか、どうして日本は変わらないのか、ずっと不思議に思っていたことの答えがこの映画にあった。大島監督(写真右)は最後のトークタイムで「分断というけれど、国葬賛成、反対の分断でなく、関心ある人と無関心な人との分断が深刻だ」と語った。映画パンフレットにあった「静かな日常の中に、未来への絶望と希望もある」(小説家・中村文則)の言葉が印象的だった。(シネトークぼちぼち」主宰)


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