因果関係がないとは言わせない〜第7回「311子ども甲状腺がん裁判」を傍聴して | |
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因果関係がないとは言わせない〜第7回「311子ども甲状腺がん裁判」を傍聴して堀切さとみ9月13日、第7回「311子ども甲状腺がん裁判」が東京地裁であった。7人の若き原告を支えようと、いつものように東京地裁前には多くの人たちが集まった。 たとえ発症していなくても、いつ被ばくの影響が出るかわからない。その不安を口にするだけで「復興の妨げになる」と言われるのが、フクシマの実情だ。 そんな中、福島市から避難した大学生、阿部ゆりかさん(下写真)は「この裁判は私のことだと思っている」と元気に発言した。 郡山市から二人の子どもと母子避難している森松明希子さん(下写真)も、大阪から駆けつけた。「『子どもを守れ』とか奇麗な言葉が飛び交っているが、この12年間子どもたちは一度も守られてこなかった。300人を超える子どもたちが甲状腺がんで苦しんでいるということが、大阪ではまだまだ知られていない。マスコミは両論併記が好きなのに、健康問題に関しては『因果関係はありません』という偏ったことしか言わないからだ」「勇気をもって声をあげた原告たちを『応援する』というのではなく、共に歩みたい」とスピーチし、参加者の思いをひとつにした。 この日の期日では、甲状腺がんと原発事故との因果関係を立証する弁論が行われた。弁護団の中で一番若い31歳の鈴木裕也弁護士が、パワポを使って力強く展開した。 甲状腺がんが事故後に多発したことを、被告側は認めない。反論の主たるものは「スクリーニング効果説」であり、事故前にスクリーニング検査をしていれば、事故後と同じくらい潜在がんは多発していたというものだ。もし東電が主張するとおりであるなら、事故後に生まれた子どもにも、同じようにスクリーニング検査をするべきだろう。ちなみにチェルノブイリでもスクリーニング効果説が指摘されたため、事故後に生まれた(直接放射性ヨウ素に暴露していない)子どもの調査もしたところ、甲状腺がんはゼロだったのだ。 日比谷コンベンションホールで行われた報告集会は、高校生や大学生の姿もあり、あらゆる世代の人たちで埋め尽くされた。福島原発の裁判は多いが、これほど原告が若い裁判は他にない。原告たちはあの日、自分の生き方を決めることが出来ない6歳から16歳の子どもだったのだから。大人たちの責任ということを、皆が考えた集会となった。 これまでの期日で、七人の原告すべてが意見陳述を行なった。それは、裁判官の心さえも揺さぶるものだったが、突然今回から裁判長が変わった。弁護団は「原告がどういう思いで裁判に臨んでいるのか、新しい裁判長にも聞いてほしい」と要求したが、「遮蔽を準備する人員を確保できない」という理由で断ってきたという。あらゆる差別や暴言から身を守るため、名前を公表せず衝立越しに証言するしかなかった原告たちは、裁判所の言い分を聞いて「遮蔽なしで証言する」と決意したそうだ。 再稼働を止めようとしない。老朽化原発も動かす。その政策を変えられないなら、せめて放射能による被ばくから身を守る権利を確立しよう。それは罪なのではなく、必ずやらなければならないことなのだ。 Created by staff01. Last modified on 2023-09-14 21:59:21 Copyright: Default |