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レイバーネットTV詳細報告 : 深堀してはいけないリニア新幹線問題
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深堀してはいけないリニア新幹線問題―いのち・経済大打撃・出来ません・要りません―

2023/6/28 レイバーネットTV187号 <どうする? どうなる? 今世紀最悪の国策事業・リニアを斬る>
  今回は放送直前に大鹿村のリニア新幹線の工事現場に行きました。案内してくださったの は現地に移住してまで反対運動をしている登山家でもある宗像充さん(フリーライター)。 的確に問題個所を案内していただきながら、リアルに観ることの大事さを、改めて思っ たのでした。2027年完成なんてあり得ません。山を壊し、川を壊し、里を壊し、海を壊し 、命も奪い、人々は何をしたいのでしょうか? 187号は、どの工区も大幅遅れで、2027年に完成は無理ということだった。他国では計画 段階で反対されたり、途中で頓挫しています。日本もこれ以上傷を深めることなく、撤退 してほしいです。 静岡県の工区には「破砕帯」があるといいます。石原裕次郎の映画「黒部の太陽」は黒部 ダムの難工事の映画でした。トンネル工事と聞くたびに、あの恐怖を思い出します。英雄 譚ではありません。リニアと同じ発想です。 報告:笠原眞弓 アーカイブアドレス:https://www.youtube.com/watch?v=IontEBBOnvY 企画:司会 黒鉄好 ●出席者  樫田秀樹(ジャーナリスト/「悪夢の超特急 リニア中央新幹線」著者)  天野捷一(リニア新幹線沿線住民ネットワーク)  黒鉄好(安全問題研究会) ◆いまリニアはどうなっている 知られていない現状   樫田秀樹さん 0:03:00 問題は ●報道のずさんさ(裏取りしない)/工事前段階からの大幅遅れ/各県の担当者の無責任 (自ら調べない) ●具体的な問題は ・リニア問題を取材する記者がほとんどいないため、不正確な報道が広がる ・例えば、工事の遅れは、静岡県だけの責任⇒実は静岡県は他より早いくらいなのに誤認 されているのは、川勝静岡県知事とJR東海と2020年に会談した翌日の報道が原因 ・知事が他の工区の遅れを糺したにもかかわらず、JR側は意識的にか、答えなかった ・記者は他県の状況を取材していないため、翌日の新聞は、静岡県の工事遅れのみが報道 された ・神奈川県の担当者は、何も聞いていないと。自分で調べればわかることなのに ・各静岡より遅れている県知事の無自覚(神奈川県、愛知県、山梨県) ●実際の各工区による工期の遅れのトップ10は(2020年調べ)  1位 遅れ8年  神奈川県リニア神奈川県駅  2位   7年    神奈川県リニア車両基地/岐阜県久々利トンネル/第二大井トンネル  5位  6年  岐阜県第一大井トンネル/長野県生越工区  7位  5年山梨県リニア山梨駅  8位  3年9カ月以上 愛知県名城非常口  9位  3年半以上 長野県坂島工区  10位  3年5カ月 長野県釜沢非常口 以上で見られるように、工事の遅れは静岡だけのせいではない ●川勝知事の立ち位置 ・川勝知事は、リニア推進の立場。だが、やるなら「静岡県の水を守ってね」ということ ・さらに彼は、遅れに遅れている神奈川県の車両基地などを視察して、他区間の進捗状況 を確認している ・静岡県の工区は破砕帯があって水が川のように流れる場所で、工事の人の命も危険 ●工区の引き受け手が決まっていないところがある 着工どころか、工事を請け負う企業が決まっていない工区もある その理由 ・採算が取れないと危険である⇒ 難工事であること樫田。プラス、破砕帯に行く手を阻 まれて人命すら保証できないと、トンネル掘りのベテラン企業が引き受けない。 ・すでに犠牲者を出している工区が何カ所もある ●工事が完成したからと言って、すぐに開業できない 磁気の調整など、安全運転のための走行テストに2年を要する。つまり2027年開業なら202 5年までに全工区の工事の完成が必須だが…… ◆ストップ・リニア訴訟  天野捷一さん ●2016年5月20日にリニア工事の認可取消しの行政訴訟を起こす ・事前に国を相手の行政訴訟か、JR東海を相手取る民事訴訟か、1年をかけて研究し、工 事認可の取り消しを求める行政訴訟に踏み切る ・2020年12月に裁判長による原告の3分の2(700人以上)を原告不適格とする中間判決が 出る(不当に原告の資格を沿線住民に限った) ・国策事業で、9兆円の巨額の予算をかける事業に、国民すべてが意見を言う権利がある という立場で裁判を続ける ・その後裁判官が交代し、こちらが要請していた山梨実験線の現地視察が実現(2022/12) ・事件がないと報道されない。初めての死亡事故のニュースを流す ◆東京ドーム50杯分の残土はどこへ0:37:10 ●長野県の現場大鹿村の残土  ・反対運動をしておられる宗像充さんの案内で、リニア建設現場動画の上映(レイバーネット撮影・編集) ・大鹿村の景色と天龍川河岸の崖崩れや本流脇に積み上げられるトンネル残土。仮置き場 と言われているが、いつ最終置き場になるか、目を離せない状態 ・ヒ素などの有害重金属を含む残土の再利用実験など(セメントと混ぜるなど)の現場も あった ●北海道新幹線延伸も残土とヒ素問題が   黒鉄好さん ・北海道新幹線問題に言及。ヒ素含有の残土置き場など、問題は全く同じ ・小樽でも残土がおかれ始めたが、住民運動で住宅から少し離れたところに移せた ・2030年札幌オリンピック(誘致予定)時に開業希望だが……、間に合わないだろう。両 方の頓挫を願う ●リニア建設で現在大きな問題は残土処理  天野さん ・JR東海としては、1谷に埋める 2愛知ではケイ酸の採掘跡の穴埋め 3神奈川では海岸 の埋め立てに 4河川敷に積み上げる などを考えているが、80%決まっていると言うが 、4割弱しか決まっていない(樫田さん調べ) ・これらの処理により費用、景観、環境破壊、現在埋め立ての需要はないので、強行の影 響は大きい ◆原発に似ている問題 最後はゴミ 汚染水の海洋投棄と残土置き場 ・国家事業(省庁の発注事業)なら最初に残土置き場を決めなければならないが「国策で ありながら民間事業」なので、適用されない ・各段階での事業説明会で、残土処理方法の回答を先延ばしにしてきた結果、ここにきて 反対運動が起き、白紙になったところも ・(1つの事例)相模原市の元採石場。閉山寸前だったが高さ60mところから1.3万m3 を新たに採石するために、その100倍のリニア残土を急斜面に盛土する。その目的は何か 。近くに非常口トンネルの予定地がある ・(合わせて考えたい)残土置き場は、2年間の管理が義務付けられているが、3年目か らは義務がないので、どうなっても責任を負わない
◆質問コーナー そこまでしてもやりたいのはなぜ?(「技術」輸出も有りか)  ・2013年の当時の山田社長が記者会見で「リニアはペイしない」と発言。国交省に糺す と「その通り」と言い、鉄道は採算性で考えるものではないと。では、全国の不採算路線 の廃線はどう考えればいいのか?  ・輸出を視野に入れている?  ・不採算でも進めるということは、国がお金を出すということでは  ・活発な質問アリ 事故が起きたら/電源は原発の電気?/超電導技術は/ ◆最後に言い残したこと ・樫田さん 社長は、リニアはペイしないと言ったが、J R東海がペイしないのでは? この間のリモートワークでリニアの乗客の2割減//2045年には人口が25%減/JR東海 の国からの借金は3兆円。返済は(年間3千億円)2046年頃から始まる/この度の戦争 による建設資材の値上げが考えられる ・天野さん 工事工程を作り直すべきでは。現在の工事工程表には、明確に年号は記載さ れていない ・完成後の走行実験も山梨の実験場で十分やっているから大丈夫というが、5、6両の車 両編成での実験ではやったことにならない ・黒鉄さん 聞けば聞くほど不安材料ばかり。国営になるのがいいと思うから、納税者が この国策民営をやめさせることが必要。そのためには、政治の転換が必要では ◆「ジョニーと乱の5ミニッツ」  川柳 無理無謀リニアやがて宙に浮き  乱鬼龍      天龍川残土の重みじっと耐え  白眞弓  ジョニーHの替え歌  「俺の列車」 作詞作曲 口唐辛子文句郎(ジョニーH) 次回は7月12日(水) ジェンダー2です

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