――日本全土を放射能まみれにする初めの一歩!?— 〈NO!新宿御苑に放射能汚染土〉179号報告 2月20日(月) 福島の汚染土を新宿御苑など3か所に持ち込もうという話が聞こえてきた。びっくりした。 汚れたものは集めて管理するのが常識なのに、なんと8000㏃の土を移動するという。し かも、住民の説明会もほぼ逃げ腰の秘密主義的にやったようだと聞くと、怒りで胸の中が 沸騰してくる。 汚染土の話を聞いて早速「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」を立ち上げ 世話人になった平井玄さんやジャーナリストで、『あなたの隣の放射能汚染ゴミ』の著者 のまさのあつこさんは、この放送中、とても穏やかに、私たちに分かるようにきちんと説 明をしてくださった。ぜひ聞いてほしい。 石坂啓さんの描いたキャラクターがスタジオを明るくしていた。 報告:笠原眞弓 ・視聴サイト https://labornettv.org https://www.youtube.com/watch?v=4Kc4-EL0lS0 ・企画/司会:根岸恵子 ・ゲスト:平井玄(新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会世話人) まさのあつこ(ジャーナリスト、『あなたの隣の放射能汚染ゴミ』著者) ◆最初にランキンタクシーの『誰にも見えない においもない』が流れる。 「〽放射能強い 放射能偉い 誰も差別しない 誰も差別しない…」と調子よく続く。妙 に納得。 そしてすぐに本題に! ◆新宿御苑に8000㏃!?聞いてない!—―平井玄 先ず平井玄さんが経緯を語る。この事業は環境庁が行うもので、クリスマスごろの新聞で 知ったと、新宿1丁目、2丁目の長年の住民の平井さん。12月21日に突然掲示板に「お知ら せ」が張り出されたということだったが、50人の住民中26人しか行かなかった。予定地の 新宿門近くの非開放区域を写真で示し、そこを掘ってビニールシートを敷き2tトラック6 杯分の汚染土(8000㏃)を運び込み、5mのきれいな土で覆う。そこを花壇にするという。 塀一つで向こうは、無料開放の遊歩道だとか。 ◆汚染土の再生利用をなぜするのか――まさのあつこ 12年前の爆発で、汚染をどうすると考えた結果、汚染土をはがして「除染」する選択をし た。その時、大熊町、二葉町の地主にお願いして、そこに運びこんだ。その土がやがて、 東京ドーム11杯分になる。そこで30年以内に汚染土を県外に持ち出し、最終処分をする法 律を作った。しかし、それは実現不可能であるということになり、燃やせるものは燃やし、 燃やせないものは「管理のできるところで、再生利用などしていく」ことになった。 もともとあった原子炉等規制法は、汚染物質が、敷地内に留まることが前提の法律。その 汚染レベルは100㏃。今回環境省が示したレベルは8000㏃。これは。30年後に7割が8000㏃ になるという計算の上に立っている。 国は、安全だといっているが、実は安全ではないから、ポーズとして「実証事業」をしよ うとしているとまさのさんは見ている。 ◆セシウム以外の核種に言及しない政府—―平井玄 8000㏃と言っているのは、セシウム134+137でしかない。本当に怖いストロンチウムなど は発表されていないし、雲の中。 新宿門スタンディングで「汚染土埋設に賛成、反対」のシール投票をした。QRコードや英 語を含め各国語のボードを作って掲げたら、100人近い人が貼ってくれて、ほぼ100%の人 が反対と。この辺りは、住民だけのものではないことを実感したという。 ここは、複雑な地形で、水源地にもなっていて、新宿区と渋谷区に広がっている。 そこで、とりあえず新宿区に説明を求めに行った。 ◆とりあえず安全だという説明は受けたと区側 その短縮動画が上映された。この計画の安全性は、実際に確認していないと驚くべき答え に、平井さん区民側は、「それなのに、なぜ責任がとれるのか」「安全だというなら、な ぜこのような”安全の実験”をするのか」と食い下がる。区側は、通常の放射能量と変わ らないとの説明だった。そして何を聞いても、杓子定規の答えが返ってきたが、区側の中 には動揺する人もいる。この「動揺」を増やしていかなければならないと平井さん。 ◆福島の被災者は汚染土の移動に反対と! 福島県双葉町の町民のお一人は語る(動画) 汚染土置き場に農地を提供した農家は、汚染土はまだ置けるし、危険な汚染土を拡散して ほしくない。今農地を返されても、農業はやれないと言う。 危険を福島の人たちにだけ押し付けていいのかと言う人もいるが、撮影した堀切さとみさ んは、汚染土の中間貯蔵施設を二葉町と大熊町に作ることになったとき、除染した場所に 分散貯蔵をした方がいいという意見もあったが、集中管理することになった。その時、20 00人の人が農地や宅地を提供した。 土地を提供した人たちは、たとえ2、30年後に返還されても、その土地は使えないだろう という。続けて彼らは「新たに汚染土を引き受ける人たちは、その土地が使えなくなるか もしれないことを知っているのか」と心配し「汚染土の移動は、政府が”放射能の安全” の宣伝に使いたいだけだろう」と複数の方が答えていたそうだ。 ◆御苑で働く多数のボランティアたちの被曝は? 汚染土の再生利用の安全基準は現在定められていないので覆土するが、その覆土が長年の 間にどうなるかの保証もないし、100年を超える管理をどこがするのかと聞けば、環境庁 がするとこれも現実味がないことをいう。 そのように汚染土を移動することで、汚染が広がっていく。これまでも廃炉や除染作業に 携わった人たちの健康状態もあるが、こうして移動した汚染土による人体への影響も大い に考えられる。 御苑では、人通りの多いカフェの入り口に汚染土を使った植木鉢があり、各地の空間線量 などが書かれ、小さくこの土は福島のだと書いてあるという。環境省の大臣室や内閣官房 室など3カ所あり、多分、安全ですよと言うためだろう。その大規模なのが新宿御苑では ないかと平井さんは考えている。 御苑の中で、鉢植えに汚染土を入れたりするのは、おそらくボランティアの人たちだとい う。その人たちの健康の保証はどうなっているのか。彼ら、また職員の中にも、安全を危 惧する声が上がりつつあるので、共闘していきたいと平井さん。 ◆所沢やつくば市でも始まろうとしている 所沢は昨年夏から5回も説明会が開かれたという。御苑は所沢の方に教えてもらいながら 反対運動を始めた。2月24日に環境庁に申し入れ行動を所沢と一緒にすることになってい る。 ◆電通もかかわる 電通に6億円前後も支払われている。今は、福島県内の移動の安全キャンペーンに使われ ている。新宿に関しては、宣伝したいのか隠したいのか、奇妙な動きをしている。 ◆このことを多くの人に知ってほしい 新宿にかかわるすべての人と楽しく生きられる街にしたい。新宿は単に住民だけでなく、 野宿者もいる。そんな力強い街で最初に被害を受けるのは彼ら。そのことを忘れてはいけ ない。彼らの力強さを引き出せたらいいなぁとも語る。 <質問タイム> ・全国に広がっていく危険性を感じる。これは経産省当たりから出てきたのか? →まさのさん 環境省が内密に、汚染土の再利用は安全かの検討会を立ち上げた。内密 だったが、おしどりマコさんが国会議員に情報提供をしたらしい。そこで国会で質問があ って、議事録が出てきた。その会には原子力に詳しいもんじゅにかかわっている原子力開 発機構と土木学会(ゼネコン業界や国土交通省の幹部が天下っている業界団体に等しい) と、国立環境研究所とで「安全です」と言っている。 →平井さん 今週国会で葛西昭さんが質問。つづいて新宿区議会、都議会でも質問があ る。このように公にしていくことが重要だ。 ・メディア規制が行われていると聞くが。 →平井さん 環境省との話し合いに、入場制限や報道機関の名称を教えろというが、極 力入れるのが筋で、来る人を抑える必要は全くない。 ・汚染土の問題は気づきにくいが、現在は責任をとる主体がない状態なので、放置すれば 全国に広がって誰もが放射能と暮らすことになる。 ◆5ミニッツタイム ・ジョニーHの歌 所沢市の汚染土問題。所沢市長は、住民は全くOKだといっているとガ セネタを流しているそうだ。歌は「汚染土(おてもやん)」 ・川柳 汚染土に新宿御苑妖気充つ 乱鬼龍 行き場ない汚染土ついにバラ撒かれ 祐民 次回は3月9日(木)放送「ジェンダー問題」がテーマです。