
*レイバーネットMLから
小塚です。
さる2022年 11月 5日(土)日比谷コンベンションホールにておこなわれた
東京法律事務所9条の会総会・特別企画
「私たちの国が戦争を始めた ―反戦ロシア人たちの証言」 集会の抄録記録が
チェチェン連絡会のmlに投稿されたので、こちらのMLにも転載します。
※アンナ・リトヴィーノヴァさんの
「私はロシアがこの戦争に負けるのを見たい。帝国の偉大さという狂った物語が目の前で
崩れ去り、ロシア連邦の領土全域で植民地化されロシア化された人々が認められ、自由を
得るのを見たい」
という言葉は衝撃的です。
終わらないウクライナ侵攻。 母国が戦争を始めたロシア人たちは何を思い、何を願い、
どう行動しているのか。 また今のロシアはどこから来たのか…反戦ロシア人たちの生の
声をききました。
【スピーチ&インタビュー】(コーディネーター:加部歩人弁護士)
・アンナ・リトヴィーノヴァ さん
・柴田ヴィクトリア さん 他
渋谷駅前等日本で度々ロシア政府に対する抗議活動を敢行しているロシア国籍保有者グル
ープの皆さん。
アンナさんは毎日新聞等メディアにも出演しています。
(毎日新聞によるインタビュ―動画・反戦の声「ロシアを愛しているから」渋谷で抗議、
露若者の願い)
https://youtu.be/zWaVpjHYGf0
【ビデオメッセージ】
タチアナ・フェルゲンガウアー さん
ロシアの独立系ラジオ局「モスクワのこだま」元編集長代理。1985年生まれ。
2018年には米タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に、「真実の監視者」の1人と
して選ばれるなどロシアで最も著名なジャーナリストの1人。現在はリトアニアに逃れて
活動している。
【メッセージ】
アレクサンドル・リトヴィーノフ さん
1975年生まれ。ウラジオストクの弁護士。アンナさんの父。
15年にわたり不当に収監されている。
【企画の経緯】
今年3月、大学時代にロシア語を学んだ加部歩人弁護士が、ウクライナ戦争について反戦
の声を上げるロシア人の皆さんに向けて激励のメッセージをロシア語で伝える動画を公表
。神奈川新聞に取り上げられ、同新聞を見たヴィクトリアさんやアンナさんとつながる。
その後、東京法律事務所9条の会の有志と一緒に映画「ナワリヌイ」を鑑賞するなど交流
をしてきた。
(加部歩人弁護士のロシア語メッセージ動画はこちら)
https://youtu.be/rhhGR2MTBvk
主催:東京法律事務所九条の会
TEL03‐3355ー0611 FAX03‐3357ー5742
14:20〜15:10までのトークセッションがプログラムの中心で、3人のロシア人が話した
。
1.1973年生まれの柴田ヴィクトリアさん、極東生まれだがグローズヌイの祖母のところ
と行き来していた。チェチェン戦争の時祖母が泣いていた。1991年イルクーツク大学日本
語科卒。露日通訳としてロシア各地を飛び回っていた。1996年来日。富山大学大学院で修
士号(比較文学)日本政府が主催するロシア経済の経営者養成プログラムで5年間通訳。ロ
シアの優秀な若者たちに会い、ロシアの将来は明るいと思っていた。のちにITコンサル。
2020年、セルゲイ・フルガル ハバロフスク知事の不当逮捕をきっかけにロシア大使館前
等で抗議活動に参加。
2.マキシム・マチューニンさん(1989年ウラジオストク生まれ)2010年極東国立大学東
洋学研究科日本学専攻卒。2013年にはバンド活動でウクライナ各地をまわった。現在は日
本のスタートアップ企業でCTO(最高技術責任者)。ロシア国籍保有者による反戦プロジェ
クト「焼肉レジスタンス」の運営をしている。また、ウクライナやロシアから来た人たち
が日本で定職に就けるよう支援する活動をしている。2010-2011年モスクワで汚職反対デ
モに参加。2015年ネムツォフ暗殺後の静かなデモに参加。より若い世代はもっと暴力容認
になっている。
3.アンナ・リトヴィーノヴァさん(1997年ウラジオストク生まれ)弁護士の父が彼女が
10歳の時不当逮捕され、19年の刑を受ける。極東芸術大学音楽学部卒業後、2017年来日。
2021年東京音楽大学音楽学部指揮専攻卒。クラシックコンサートのプロデュース会社に勤
務していたが、会社がロシア政府寄りの芸術家を招聘しようとしたので退職。現在は音大
付属の幼稚園で勤務。(彼女は日本語がまだ話せないらしく、通訳付きでロシア語で話し
た)
休憩後、独立系ラジオ局「モスクワのこだま」元副編集長のタチアナ・フェルゲンガウア
ーさん(5月より在リトアニア)のビデオメッセージ
※2022年のウクライナ侵攻に対するロシア国内の抗議活動を積極的に取材
2022年10月「外国のエージェント」に認定される
1985年タシケント生まれ。10歳の時からモスクワへ。母の再婚相手となった軍事評論家パ
ーヴェル・フェルゲンガウアーの影響が大きい。
戦争前もきびしい言論統制があった。НТВ の閉鎖など。さらに戦争開始後の2つの法律
「軍隊の名誉を傷つけた場合・・」「」により、メディアはプロバガンダかエンターテイ
ンメントしか放送できなくなった。
ロシアでプロのジャーナリストであろうとすれば投獄の危険がある。
独立系メディアを見てロシアで何が起きているか知ってほしい。ロシア人全体がプーチン
の支持者ではない。
ロシアでいつか自由は復活する。
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Q:反戦グループを支持するために日本でできることは?
A:日本では反戦活動は自由。ロシア国内は内戦に近づいている。独立系メディアに募金す
るなど。
日本はヴィザが取りにくい。農業・漁業でロシア人を採用できる会社を紹介する。
付記:ロシアのフェミニストによる反戦抵抗運動について。運動体の創始者のひとり、
Daria Serenkoのインタビューより(出典はツィッター:https://www.nybooks.com/onlin
e/2022/10/22/fighting-words-daria-serenko/):
Q:ウクライナへの侵攻に反対する人々にとってのロシアの将来をどのようにみています
か?
私は、政治的迫害によって国を追われたため、ロシアとロシア人の将来について推測する
ことは困難であり、苦痛である。独裁政権下で生きるために残った同胞は、去った者が未
来について語ると、当然ながら苛立ちを覚える。そして、"ロシアの未来をどう見るか?"
と "どう見たいか?"の違いがあります。私はロシアがこの戦争に負けるのを見たい。帝
国の偉大さという狂った物語が目の前で崩れ去り、ロシア連邦の領土全域で植民地化され
ロシア化された人々が認められ、自由を得るのを見たいのです。ロシアで侵略に反対する
人たちは皆、戦争や独裁のない未来のために、命と自由を犠牲にして戦っています。
近い将来、残留した反戦活動家たちは、暴力、拷問、長い実刑判決など、ますますエスカ
レートする悪夢に直面することになると思う。また、反戦活動家に対する法的な保護も全
く機能しなくなるかもしれない。国際法から孤立しているロシアには、拷問や殺人を行う
余裕がある。同時に、反戦運動は拡大し続け、その一部は過激化し、地下ゲリラ化するだ
ろう。これは当局の行動の直接的な結果であろう。女性の抵抗、非ロシア民族の抵抗、過
激なゲリラの抵抗の3本柱で反戦運動は成り立っていくでしょう。
最近、どのような本を読んでいますか。また、それがご自身の文章に何か影響を与えてい
ますか。
私は文学を読む時間がほとんどありません。最後にたくさん読んだのは、戦争が始まる直
前に、ナヴァルニーに関連するロゴである赤い感嘆符をインスタグラムに投稿したために
、2週間投獄されたときです。友人や活動家仲間が14冊の本を持ってきてくれていて、独
房の中で1日1冊ずつ飲み込んでいました。スーザン・ソンタグの伝記やアン・カーソンの
『赤の自叙伝』を読み、自著の『少女と制度』を拘束されたので読み直したりしていたん
です。戦争が始まってからは、エウゲニア・ギンズブルグの回想録『つむじ風への旅』を
読みました。しかし今は、反戦運動史や政治分析書を除いては、ほとんど何も読む時間が
ない。時間的にも体力的にも(私の体力はすべて活動に費やされているので)、読むか書
くかのどちらかを選ばなければならない。私は書くことを選びます。だから、今、私に影
響を与えているのは、フィクションでもノンフィクションでもなく、戦争そのものであり
、私が侵略国の国民であるという事実なのです。独裁体制を敷くロシアは、いわれのない
戦争を煽り、ウクライナ人の大量虐殺を実行している。現在の政治的・人間的状況は、怪
物的である。私は、このような経験をする人間がいないことを望み、この経験が詩になら
ないことを望んでいた。あなたがここで発表した私の詩(「青い花婿たち」)は、存在し
ない方がよかったのです。
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staff01.
Last modified on 2022-11-08 07:36:51
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