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報酬は大幅に改善される見込み〜カリフォルニア大学、ストライキの現段階とその意義

ジョセフ・エサティエ(カリフォルニア大学労組出身、愛知連帯ユニオン) 2022年12月20日

カリフォルニア大学当局とアカデミック労働者は、12月16日、労働協約に達したと暫定的に発表しました。しかし、組合員の中でまだ意見の一致に至っていない状態だそうです。その理由は大学から提示された内容は不平等であり、社会的弱者らの要求は無視されているからです。

アカデミック労働者には、ティーチングアシスタント(TA)、研究者、チューターなどさまざまなタイプが含まれています。彼らの多くは安い給料で、高級取りの教授と同様に授業を担当し、試験の監督や採点、成績評価まで行っています。

カリフォルニア大学は、30万人の学生が在籍する大規模な公立(州営)の名門大学であり、UCLAやバークレー校など、カリフォルニア州の各地に10のキャンパスから成り立つ大学です。この全米でも有数なカリフォルニア大学での今回の激しい労働争議は、労働条件の改善を強く要求した4万8千人の職員が1ヶ月以上のストライキを継続した歴史的な偉業と言っても過言ではありません。

UAW(全米自動車労組)は、もともと自動車産業で働く労働者の組合ですが、今回のカリフォルニア大学でのストライキに共感し、経済的正義という共通の目的のために、彼らを支援しました。工場労働者と大学研究者という2つのグループは、主に労働者階級と中流階級という別の階層に属し、アメリカの歴史的にもこれらの異なる階層の人々が共に行動するという事はあまりないことです。

大学当局から提示された協約をアカデミック労働者側はまだ同意していませんが、この協約が締結されれば、大学労働者の受け取る報酬は大幅に改善される見込みです。

最も低所得の教職員の年収は約23,000ドルから、今後2年半の間に55%の賃上げ、物価高騰の激しいロサンゼルスやサンフランシスコ地域のキャンパスで学び働く一部の労働者もさらに多くの給与と健康保険、育児手当なども大幅に増額されることになります。

アメリカでは過去50年間に労働組合に所属する組合員は大幅に減少し、現在では、労働者の10%程度に過ぎません。しかし、アメリカ人の労働組合に対する意識は、近年変わってきています。今年2022年、労働組合に関する世論調査の結果を見ると、多くの人が組合の価値を信じ、労働者には組合に加入する権利があるという意見を持ち、約70%のアメリカ人が組合に対して肯定的な態度を示しています。1965年以降、今年2022年ほど人々が労働組合の価値を再認識し、また組合活動に意義を見出した時はないと言えます。

注)日本の大学院生と違い
アメリアの大学院生の中には学生として授業に参加するだけではなく、教授の見習いとして授業を行い、試験の監督や採点も行います。私の時代(1990年代)のアカデミック労働者は殆どこのような教授と同等の仕事をこなす大学院生、ティーチングアシスタント(TA)でした。
TAという言葉は、最近日本の大学でも使われていますが、私の時代(1990年代)はまだアメリカでも「労働者」という定義には含まれず、「実習生」と位置づけられており、大学院生が授業を受け持つことは、「教育」や「トレーニング」の一貫として、安い賃金で教授と同等の仕事を任されていました。裕福な親を持つ学生が豊かな生活をしている一方、労働者階級出身の白人や、黒人、女性、障害を持つ学生らは奨学金とTAの安い賃金では生活が成り立たず、経済的に困っている人が多かったです。


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