米国労働運動 : 今年最大のストライキ/カリフォルニア大学で48,000人の教育・研究労働者 | |||||||
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【解説】レイバーノーツ誌12月号は今年最大のストライキの発生を伝えている。カリフォルニア大学の教育・研究労働者たち48,000人が11月14日からストライキに入り、既に三週目に入っている。教育補助や研究補助の仕事をしながら学ぶ院生やポストドクなどの専任教員以外の教育・研究労働者が待遇改善を求めている。インフレや住宅難に苦しむ若い世代の労働者のストライキに著名な教授たちの連帯も始まっている。ストライキを行っているのは全米自動車労組UAWの二つのローカルであることも注目される。自動車製造業が衰退する中でUAWは他産業の組織化を進めており、大学も組織化対象としてきている。(レイバーネット国際部 山崎精一)
*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。 今年最大のストライキ〜カリフォルニア大学で48,000人の教育・研究労働者2022年11月23日 / ケンゾー・エスクィバル(UCバークレー校院生研究員/UAWローカル2865職場代表主席) 名門カリフォルニア大学全体で、11月14日から、何万人もの労働者がストライキを行い、今年全米で最大のストライキ、そして米国史上最大の大学教育・研究労働者のストライキとなった。 11月14日、カリフォルニア大学バークレー校のキャンパスに約5,000人の労働者が集まり、ストライキを開始しようと気勢を上げていた。キャンパスに足を踏み入れると、仲間、学部生、地域の人々が、「48,000人の労働者は強い、一日闘い抜くぞ」とシュプレヒコールを挙げているのが聞こえてきて、直前まで抱いていた不安は消えた。 ストライキの最初の一週間、私たちは授業や研究などの作業を停止し、午前5時からのピケを尊重してくれたチームスターズ労組の運転手や建築作業員の連帯を感じ、学生とともに大学総長公邸までデモ行進することにより、私たち組合がいかに組織化されているか、いかに大きな勝利を収める準備ができているかをカリフォルニア大学に対して示すことができた。 カリフォルニア大学デイビス校からサンディエゴ校まで、4つの交渉単位に属する教育補助員、院生研究員、ポストドク研究員、学術研究者たちは、カリフォルニア大学に誠実な交渉を要求している。 記録的な高インフレと州全体の住宅危機の中で、私たちは生活賃金、持続可能な交通費、雇用保障、子を持つ研究者や外国人研究者への支援強化を要求している。 収入の半分は住宅費搾取と格差の拡大に反対して多くの大学教育・研究労働者たちがストライキに立ち上がった理由は、なにだろうか?全米自動車労組(UAW)の組合員調査によると、院生労働者の92%、ポスドクの61%が家賃負担を悩んでいる。つまり、月収の30%以上を家賃に支払っているのだ。実際、平均的な院生労働者は、総収入の半分以上を住居費に費やしている。 このような状況で、どう生活していけば良いのか?ローンを借りるか、血液を売れば良いのか? カリフォルニア大学の10キャンパスすべてで、状況は同じである、労働者たちは車で生活したり、他人の部屋に泊めてもらったり、何時間も離れた場所から通うことを余儀なくされている。私たちの要求は、「働く街に住めるだけの給料を払え!」ということだ。 カリフォルニア州の住宅危機はここ数年で加速しており、給与と生活費のミスマッチが拡大している。2020年にはカリフォルニア大学サンタクルーズ校で給与の生計費調整を求めて、労働協約期間中に山猫ストライキが引き起こされた。 私たちが要求する生活賃金は控えめなものだが、研究と教育の職務の大部分を担う労働者の労働条件を大きく変えるものである。 教育補助員は学生と会い、指導を行い、試験を採点し、指導業務の大部分を担っている。研究員は、何百万ドルもの研究資金をもたらす助成申請を行い、日々の研究業務の大部分をこなす。この点では、カリフォルニア大学が特別なわけではない。高等教育・研究機関は歴史的に、大勢の教育・研究労働者の搾取に依存してきた。裕福ではない家庭で育った労働者は、生活するためには、狭い住宅にすみ、クレジットカードの借金を背負い、第二、第三の仕事に頼らざるを得ないのである。 公立大学であるカリフォルニア大学は、大学に必要な多様な教育・研究労働者を育成する義務がある。しかし実際には、厳しい財政的制約により、多くの人が大学や学問の世界でのキャリアから事実上追い出されている。特に、有色人種、障害者、片親など、社会から疎外されたグループの研究者たちがそうである。 組織化の到達点カリフォルニア大学の教育補助員は1990年代に初めて労働組合を結成しUAWに加盟した。その後20年の間に、まず2008年にポスドクが、次に2018年に学術研究者が、そして最後に昨年、17,000人の労働者を擁する院生研究者連合(SRU)が加わった。過去数十年間、私たちが勝ち取った労働協約により労働条件は劇的に引き上げられ、全国の大学にも波及した。SRUの組合加入を求める2021年の闘いが、いろいろな意味で今回のストライキの準備となった。SRUの組合加入運動は、コロナ感染の最初に頃に、組織化委員会を部門毎に設立するという控えめな形で始まった。組合結成のために過半数の支持を集め、最終的には大学側の激しい反対を押し切って、ストライキ承認投票で過半数を上回る支持を得ることによって組合認証を勝ち取った。 全キャンパスの教育・研究労働者に共通する問題について過半数がストライキを支持していることを示すことにより勝利を収めることができた。 この1年間で、私たちの組合は力をつけ大学当局も認めるようになってきた。大学当局の違法かつ不誠実な交渉が何ヶ月も続く中、私たちは何時間もかけてキャンパスの部門や研究室をマッピングし、職場リーダーを特定して訓練し、すべての部門に組織化委員会を作り、組織化の会話の仕方や大規模な動員の仕方について仲間たちを教育してきた。 4つの交渉単位で同時に行われたストライキ承認投票で圧倒的な成功を収めた。合計で 36,000 人の労働者が投票し、98%が賛成票を投じた。そして9月以降、各キャンパスで何百人ものスト責任者、ピケのシフト・リーダー、スト支援相談員を訓練してきた。 交渉での進展ストライキ中の3つの交渉単位では9カ月、4番目のポスドクでは1年をはるかに超えて交渉が行われている。既に大きな成果を得ている。全ての交渉単位で、ハラスメントや差別、職場でのいじめに対する画期的な防止条項について暫定合意に達している。しかし、ストライキが始まってからの方が交渉の進展は早い。州全体にわたる大規模な行動の圧力が、交渉の基調に明らかな変化をもたらしている。この1週間で、教育補助員に対する仕事量の制限、ポスドクの移民権条項の新設、院生研究員の業務上の傷病に関する初めての合意など、暫定的な合意に達している。 大学側は間違いなく、組合の中心的な要求に対して反対し続けるであろう。しかし、4つの交渉単位が揃ったことで、私たちの力はかつてないほど大きくなっている。 詳細な情報は https://www.fairucnow.org/、カンパは https://givebutter.com/uc-uawに。 Created by staff01. Last modified on 2022-12-01 09:41:27 Copyright: Default |