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「10のバッシングがあったら、100の励ましを!」〜甲状腺がん裁判を支える集いに三名の原告が登壇

橘 優子

 福島原発事故から11年―。福島県では、300人もの子どもが甲状腺がんと診断されていますが、政府は被曝との因果関係を否定し続けています。6月11日、311甲状腺ガン裁判支援のシンポジウムが、立教大学のタッカーホールで行われ、三百人以上の仲間が集まりました。 会場内には、学生らしき人が結構いて、スタッフも若い人が多かったです。

 ジョニーデップ製作・主演の映画『ⅯINAMATA』の上映に続き、コーディネーターのアワープラネットTVの白石草さん、バネラーとして、アイリーン・美緒子・スミスさん、311子ども甲状腺がん裁判弁護団長の井戸謙一さん、弁護団の河潤美さん、立教大学メディア社会学科教授の砂川浩慶さんによるディスカッションが行われました。

 そして、白石さんのすぐ横に置かれたホワイトボードの陰には3人の原告たちがいて、それぞれに短いスピーチをしました。「こんなに人が集まり、そしてクラウドファンディングでも予定以上のカンパが寄せられ、自分たちが応援されていることが、とても嬉しい」とトツトツと涙ながらに、ある人は細い声で、時折言葉につまりながら話をするのを、会場が一体になって聞き、とても心暖まる集会でした。

 この集会の前の夜、アイリーンさんは原告の若者たちと語りあったそうです。彼女のレジュメが配られたのですが、水俣と福島に共通する(権力の)10の手口と、抑圧と分断を乗り越える10の処方箋というのがありました。

 手口というのは「 1、誰も責任を取らない 2、被害者や世論を混乱させ、賛否両論に持ち込む 3、被害者同士を対立させる 4、データを取らない 5、ひたすら時間稼ぎ 6、被害を過小評価する 7、被害者を疲弊させ、あきらめさせる 8、認定制度で被害者数を絞り込む 9、海外に情報を発信しない 10、御用学者を呼び、国際会議を開く」。 そして処方箋は「 1、責任追及 2、健全な常識を持つ 3、仲間割れしない 4、記録を残す 5、先手を打つ 6、被害者の声を聞き、被害実態を把握 7、諦めない、ねばり強く 8、立場を超えて横につながる 9、どんどん情報発信する 10、科学の名を語る権威を疑う」というもの。水俣から反原発まで、長年のアイリーンさんの経験の滲む言葉に、胸を打たれました。

 実に、福島原発刑事訴訟をはじめ、避難者の各地での訴訟、被ばく労働ネットが関わる裁判などにおいても、原子力規制委員会や東電、各省庁相手の交渉においても、共通するものだと思います。

 互いに連携を取り合いながら、共に、共通の敵ー東京電力・国ーに立ち向かい、今回の甲状腺がん裁判のニュース番組(ТBS『報道特集』)への嫌がらせ抗議などにひるむことのない、あたたかく、揺るぎない陣形を作りたい!  

 今回、パネラー一人一人が、それぞれの体験に触れながら、原告たちと如何に闘うのかという具体的提起、共に闘うという決意がひしひしと伝わり、それを壇上で真近に聞いている原告たちの、感動の鼓動が聞こえるようで肌が粟立ちました。 井戸謙一さんの「10のバッシングがあったら、百の励ましを!」という言葉にも励まされました。

※甲状腺がん裁判の次回公判は、9月7日㈬14時〜霞が関の東京地裁です。甲状腺がん裁判の支援は、電力に依存する社会を許容せざるを得なかった、首都圏の大人たちの生き方が問われるものです。皆さん、ぜひお集まりを!


Created by staff01. Last modified on 2022-06-13 22:23:34 Copyright: Default

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