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韓国大統領選 : ユン・ソギョル氏は現場の労働者の声を聞け!/民主労総が見解
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韓国大統領選の結果を受けて全国民主労働組合総連盟(民主労総)が見解を発表しました。以下、紹介します。(翻訳=萩原恵美)
*写真=「韓国チャムセサン」より

〔論評〕第20代大統領選の結果に対する民主労総の立場

【民主労総は働くすべての人々に保障される差別のない労働権、解雇の恐れのない安全で良質な雇用、極端な格差として現れる不平等体制の転換、平和な朝鮮半島の実現のために、昨日と変わらぬ今日、そして明日を生きられるよう備えていく。また、尹錫悦(ユン・ソギョル)当選者に「水は則ち舟を載せ、又舟を覆す:民は味方となって盛り立ててくれることもあり、敵となって潰しにかかることもある」を胸に刻みつつ政治に臨むよう求める。】

第20代大統領選の結果、民意は尹錫悦候補を選択し、その結果尹錫悦氏は候補者から当選者へと立場が変わった。当選が確定するとともに各方面から当選者に寄せられた注文は「国民統合」であり、当選者も選挙運動の期間中「政権交代」とともにもっとも多く口にしたことばが「国民統合」だった。「政権交代」を達成したのだから、これからは「国民統合」の意志と実践とが残されている。

ただ憂慮されるのは、当選者が選挙期間のあいだじゅう言動で示してきたヘイトと対立を煽る表現であり、その助長である。結果的に今回の大統領選は「世代」を分断し「性」を分断した。それは1、2位を争った両候補者に投じられた票差に克明に表れている。

民主労総をはじめとする労働界および市民社会からの政策についての質問に応じてもらえなかったため、具体的な労働政策や公約についてじゅうぶんに把握できていないが、選挙期間中に当選者の口から表出された労働への無知と労働組合への嫌悪に基づく「暴言、誹謗中傷の饗宴」から、今日からでも労働者、民衆の暮らしがいっそうつらく厳しいものになるだろうことが予想され、暗澹たることこのうえない。

週120時間働けるようにすべき、肉体労働はアフリカなんかのやること、といった発言で煽る偏見と分裂工作。憲法の保障する労働三権を意図的に否定し、事実関係も把握せずに吐く労組へのヘイトスピーチ。全国教職員労働組合や全国言論労働組合を名指しして強硬労組ゆえ性根を叩き直してやるという民主労総への陰湿な攻撃発言。投票前日の8日に4人の労働者が命を落としている現実があるのに、使用者や財界の側に立って重大災害企業処罰法を貶め無力化させるという趣旨の発言は、つまり尹錫悦の5年は労働者にとっては命懸けの地獄の時間であり、資本家にとっては長時間労働と低賃金労働が保障される蜜のごとき時間を保障するという意味にほかならない。

労働者の立場からすると、カーボンニュートラル、気候危機の現実化、ギグワークの進展、第4次産業革命の到来など直面する諸課題に対しては、退行的な公約しか提示されておらず、将来への備えも対応策も霧に覆われている現実も否定できない。

当選を果たした今、尹錫悦当選者は具体的な労働政策を提示しなければならない。資本と守旧メディアに取り巻かれて提示する反労働の政策ではなく、現場のことをもっともよく知る労働者の声を聞き、その声を反映して提示しなければならない。先日、「候補者としてでなく、当選してから話そう」と民主労総の論評で要求したとおり、いまや当選したのだから、現場の声を聞こうとする姿勢が必要ではないか。

今回の選挙結果は、かつてキャンドル抗争によって大いなる期待を抱いて出発した文在寅政権から、民意が離れたことに起因したのだということを、当選者は直視しなければならない。有権者は民意に背いた支配勢力をいつでも権力の座から引きずり下ろしうるし、韓国の現代史はそれを実践し証明してきたのだと、歴史から学ばなければならない。当選者に要求したとおり「水は則ち舟を載せ、又舟を覆す」の故事を胸に刻んでほしいし、「舟を覆す」に値する状況が訪れるなら、その中心には民主労総が存在していると確言する。

共に民主党には、党の一部から発せられた正義党をはじめとする革新陣営の候補者に対する厚顔無恥な言動について自制、自粛することを促したい。また、今回の大統領選の敗北が、キャンドル抗争に立ち上がった市民の念願に背いた文在寅政権の失政と180を超える議席数をもってしても積弊清算と改革に消極的だった党内部にあることに深く思いを致し、猛省しなければならない。かつての民主闘士が年を経ていつのまにか既得権勢力の一部となり、ご都合主義で一貫して守旧勢力と大差なくなり、民意を推し量ることができず時代の流れに沿った最適のビジョンを提示できなかった結果にあることを認め、刷新のプロセスを歩んでほしい。

極端な二大政党政治に対抗し、革新陣営の復活と活路を求めて奮闘した革新系三党(正義党、労働党、進歩党)に感謝と激励の意を表する。二大政党の激しい対立という客観的な難局に直面していたにもかかわらず、革新陣営が希望を提示できずに終わった点について革新陣営および民主労総にも自省が必要である。

革新陣営は「多様性を尊重しつつも統合を目指し、団結を図らずしては労働者民衆に愛されない」という点を明確に胸に刻み、尹錫悦時代を生きていくためにも、間近に迫った地方選挙・総選挙を準備するためにも、労働者民衆の未来のためにも、民主労総は革新陣営の団結と活路のために努力するつもりである。

民主労総はつねにそうしてきたように、労働の価値が認められ中心となる社会を築くために、組合員および労働者の総意に基づいて闘い交渉してきた。そうした民主労総の歩みは、不確かな未来を予測可能な未来に変え、その中心に労働と労働者を定立させるために、昨日の歩みを教訓として今日を生き延び、明日を準備するつもりである。

2022年3月10日
全国民主労働組合総連盟


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