公務災害認定手続を 18 年放置された元教員の裁判への不当判決を弾劾する! | |||||||
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●東京地裁1.13不当判決に対する声明 公務災害認定手続を18年放置された元教員の裁判への不当判決を弾劾する!1 2022年1月13日、東京地方裁判所民事第36部(三木素子裁判長)は、原 告早川由紀子(以下「原告」という。)の請求を棄却する不当判決を言い渡した。 原告は、1972(昭和 47)年9月16日という年度途中・学期途中に大田区立 羽田中校(以下「羽田中」)にて数学教員としての勤務を開始した。羽田空港の騒音 や空調の不備などの劣悪な職場環境や、長時間労働、長時間の横書き板書作業等のた めに1974(昭和 49)年4月には重度の頸肩腕障害である中枢神経疲労症候群と 診断された。その後も、転勤後の文京区立第九中学校(以下「文京九中」)及び文京 区立第七中学校(以下「文京七中」)の管理職による病者・子育て者等排除のすさま じいパワハラによって、原告の症状は増悪(=悪化)した。本件は、この原告の頸肩 腕障害および腰痛症の発症と増悪が公務に起因するという認定を求めるものである。 2012年3月15日には、原告の東京都に対する「早川由紀子公務災害認定請 求書握りつぶし訴訟」(18年の長期にわたる公務災害認定請求書の未送付の不作為 についての送付義務づけと損害賠償請求を認めた裁判)の東京高裁判決が最高裁にお いて確定していた。ところが、上記のとおり18年もの間、文京七中の校長(当時) によって握りつぶされていた公務災害認定請求に対し、不当にも公務外と認定した被 告地方公務員災害補償基金(以下「被告基金」という。)の判断を、司法が是認した のである。我々は怒りをもってこの不当判決を弾劾する。 2 本訴訟の主たる争点は、 (1)原告による公務災害認定請求が、18年もの間文京七中の校長室に放置され、 その間に多くの証拠が散逸し、又は破棄されてしまったという、本件における最大の 特殊性が考慮されるべきではないか、 (2)本件の公務起因性の判断枠組みは被告の制定した「上肢障害の認定基準」等で よいのか、 (3)原告は1973年11月には頸肩腕障害を発症していたか、 (4)原告における頸肩腕障害及び腰痛症発症の公務起因性、 (5)原告における頸肩腕障害及び腰痛症の増悪の公務起因性、 である。 3 以上の争点について、 (1)については、判決は、文京七中校長らの行為は、あくまでも文京区の公権力の 行使であって、被告の公権力の行使ではないから、公務起因性の立証責任を被告に転 換すべき理由とはなり得ないとした。自身の与り知らない場所で、被告基金の運用に より使用者の東京都と校長らによって公務災害認定請求を握りつぶされたという本件 の特殊性を一顧だにしない、極めて不当な判断である。 長期の経過による証拠の散逸という、従来想定されていない特殊な事態は、公務 災害認定請求について、所属長の証明のない請求書は受け付けないという誤った運用 を、地方自治体の共同機関というべき基金が行ってきたことに起因している。 一般に、情報を収集できる立場にある行政機関が資料の保存年限を超えて請求を 隠ぺいしながら、請求者が証拠を提出しなければ認定されない、というのはあまりに も不公平である。文京区(判決も責任があるとした)を被告基金が助けたことにな る。この行政側のつるみ合いを裁判所が追認することは許せない。 (2)判決は、認定基準については、被告基金の自作の認定基準に合理性があるもの と判断した。1997年に取りまとめられた今から25年前の古い報告書を採用し、 その後の医学の進歩に基づき原告が提出した2007年の頸肩腕障害の判断基準(日 本産業衛生学会)を無視したのである。 (3)判決は、原告の主張通り、1973年11月頃に頸肩腕障害及び腰痛症を発症 したことを認定した。 4 しかし、(4)判決は、発症の公務起因性については、羽田中で原告の担当していた業務には上肢に負担がかかる業務でないものも含まれており、原告が出産休暇や夏休み中に休養を取得することができたと認定した。それらに鑑みて、原告が上肢に 負担のかかる作業を主とする業務に相当期間従事したとは認められないとした。ま た、文部省統計の平均よりも 1.4倍の授業時間数(週25時間)を担当していた原 告について、担当授業時間数のみを切り取って業務量の過重性を判断すべきではない などとした驚くべき判断によって、原告が過重な業務に従事していたとはいえないと した。そして、他に原因が考えられないにもかかわらず、結論として公務起因性を認 めなかった。 (5)については、原告は、文京九中や文京七中における「病状の悪化が予想される ので、職場の移動は医学上禁ずる」の診断書を無視した強制配転など凄まじいパワ ハラによって病状が悪化した。しかし、判決は、その悪化に伴った軽減勤務や病気休 暇等によって休業したものを指して、その休業を理由に、原告が文京九中と文京七中 における業務によって頸肩腕障害及び腰痛症を増悪させたとはいえないとし、公務起 因性を否定した。 5 以上のような裁判所の姿勢は、著しく正義に反し、絶対に容認できない。 私たちは、原告に対する公務災害が認定されることにより、全国の教職員が極め て劣悪な労働条件と人権侵害を受け続ける現状に歯止めをかけ、安心して勤務がで き、児童生徒への人権侵害を防止する一歩になる職場の実現を目指して、引き続き闘 い続ける。 これまでの各位によるご支援に心より感謝申し上げるとともに、引き続きご支 援・ご協力を賜りたい。 2022年1月22日 一審原告 早川由紀子 Created by staff01. Last modified on 2022-01-26 18:34:28 Copyright: Default |