5月22日、韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会、韓国サンケン労組を支援する会は、会員を不当に逮捕し、自宅や関係組織への家宅捜索を行うなどの弾圧に抗議する声明を発表した。
抗 議 声 明
5月21日午前10時過ぎ、埼玉県警により不当な家宅捜索が行われ、逮捕された仲間の勾留期日がさらに10日延長されました。労働争議に介入し不当な家宅捜索を行った警察当局、勾留延長決定を行ったさいたま地裁、虚偽で通報したサンケン電気本社に、こみ上げる怒りを抑えることができません。ここに煮えくり返る怒りをもって強く抗議し、勾留されている仲間を直ちに釈放することを再度要求します。
5月10日サンケン電気は、埼玉県新座市所在のサンケン電気本社の門前で話し合いを求めていた私たちの仲間を警察に通報し、新座署はありもしない暴行容疑で仲間を逮捕するでっち上げを行いました。そして5月21日午前10時頃、「サンケン労組を支援する会」の連絡先となっている中小労組政策ネットの事務所と、逮捕された仲間の自宅への家宅捜索を行いました。新座署公安課は、病気療養中で具合が悪く立っているのがやっとでドア越しに出て来られない家族の健康状態を配慮するどころか、強引にも自宅ドアの鍵穴2つを破り、13人が踏み込みました。そして、病人のいる部屋で延々と6時間以上にもわたる捜索を行い、チラシや家にあった書類、文書綴りだけでなく、旅券や健康保険証まで押収したのです。押収物にはUSBメモリ16本を含む12点、70枚以上の書類、中には「事件」と無関係の病気で動けない家族の物も含まれていました。中身が分からないからと持って行った押収品の目録には「本件犯行に至る組織関係に関係あると認められるその他各種文書類」などと記載されています。
私たち「韓国サンケン労組を支援する会」と「韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会」は昨年7月に韓国サンケンの会社解散と労働者全員解雇の決定を一方的に通告したサンケン電気本社に対し、コロナで訪日できず、韓国サンケンの会社前でビニールのテントを張り24時間体制の交替での座り込みを続ける韓国サンケン労組を応援する意味で、サンケン本社門前に立ち非暴力で平和的に話し合いを求めるスタンディングを行ってきていました。
サンケン電気は2016年にも韓国サンケン労組組合員全員に解雇通告を行い、組合員たちが来日し229日間の「遠征闘争」を繰り広げ解雇撤回と原職復帰を勝ち取りました。その際交わされた合意書には「今後重大な雇用問題が発生した際には労働組合と協議し、合意のもとに行う」ことが取り決められています。それにもかかわらず、サンケン本社経営陣はその約束を破り、突然、一方的に、しかもホームページ上で会社解散と労働者全員解雇という重大な問題を通告したのです。サンケン電気は韓国で労働組合のある韓国サンケンを潰しておいて、こっそり別会社を買収して巨額を投資し着々と韓国での営業拡大を狙い、話し合いを求める韓国の組合員を無視し続けるばかりか、門前に立つ私たちに対しても警備員が阻止するだけで誰も出て来ません。
この状況は既に韓国で、公共テレビ放送のKBSやMBCテレビや各種メディアで何度も取り上げられており、韓国・慶尚南道昌原市にある馬山輸出貿易地域で各種優遇策のもと利益を上げ、労働者を解雇したサンケン電気には「食い逃げ日系企業」と批判が高まっています。ソウルの日本大使館前でもスタンディングが行われているところから、徐々に一企業の問題から政治問題化しつつあるのです。
実際、昨年末に韓国の国会議員が連名でサンケン電気本社と厚生労働省や経済産業省、後日外務省にも書簡を送り、地元の慶南道知事、昌原市長、道議会、市議会からも廃業撤回を求める書簡がサンケン電気に送られていますが、サンケン電気は無視し続け、2021年1月には韓国サンケンを廃業に追い込みました。
韓国国内の批判や日本国内の幅広い連帯運動に危機感をもったサンケン電気が弾圧を加えようと警察に連絡し、埼玉県警がこれに手を貸し、さいたま地裁はきちんと調べもせずに勾留を延長させました。サンケン電気本社は6月の株主総会まで私たちの抗議行動を終らせ仲間を釈放させたくないとして、警察や裁判所の力を借りて弾圧を加えてきたのかもしれませんが、今回のやり方は火に油を注ぎ、怒りと連帯はさらに強まっています。
私たちは連帯を強めサンケン電気本社への抗議行動を続け、弾圧を糾弾しつつ、サンケン本社が話し合いに応じることを再度強く要求します。
また、労働問題に介入した埼玉県警新座警察とさいたま地裁に断固抗議し、不当に勾留している仲間を即刻釈放することを強く求めます。
2021年5月22日
韓国サンケン労組と連帯する埼玉市民の会
韓国サンケン労組を支援する会