「踏み絵」に負けなかった梅原聡さん/大阪「君が代」不起立裁判で逆転勝訴! | |
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「踏み絵」に負けなかった梅原聡さん〜大阪「君が代」不起立裁判で逆転勝訴!志水博子
本日(12/9)、大阪「君が代」裁判のひとつである、梅原聡さんの「再任用拒否国賠訴訟」の控訴審判決があった。結論から先にいうと、一審判決を覆す逆転判決すなわち勝訴判決であった。 大阪府教育委員会は、ことごとく「君が代」不起立者を排除する姿勢をとっていた。再任用に当たっては「君が代」不起立者にだけ、「意向確認」といって「君が代」起立斉唱の職務命令に従うか否かの確認を取ろうとした。つまり、再任用したかったら、「君が代」を歌えという、江戸時代の「踏み絵」まがいのものであった。 大阪府立高校の教員(他府県でもそうだろうが)は、進路指導において、人権教育の観点から、生徒たちに、近畿統一応募用紙(かつて広島信用金庫で起こった就職差別を契機に生まれた履歴書)の趣旨に反する質問には答えなくてよいと指導している。いやもっというなら、差別につながる質問にはたとえ自分が答えることに支障がなくとも、それは差別選考につながるので学校の指導で答えてはいけないと答えてほしいと話している。 もしも、生徒が就職面接で「あなたは『君が代』を歌いますか?」という質問を受けたならば、明らかにそれは違反質問であり、学校は大阪府教育委員会に報告し、大阪府商工労働部は、その企業を指導することになる。 梅原さんは、生徒にそのように指導している以上、その自分が答えるわけにはいかないと、意向確認には応じなかった。結果、再任用選考を否とされたわけである。 再任用選考については、雇用と年金の接続を図る観点から、基本、再任用希望者は概ね採用される。体罰で戒告より重い減給1ヶ月の懲戒処分を受けていても、再任用選考は合となった事例もある。 よって、私たちは、この裁判は一審で勝っても当然だと思っていた。ところが、一審敗訴、控訴した後、一番の違いは、裁判官が真っ当だったことかもしれない。複数回の進行協議において、裁判所から「裁量権に引っかかりを感じていると」と提起があったと聞いている。 判決では、次のようにも述べられている。 「控訴人の勤務に関し、・・国歌斉唱時の起立斉唱に関するもののほか、特に問題点を指摘されたことは窺われないこと、公立学校の式典における国歌斉唱時の起立斉唱等に関する職務命令に従わなかった事例における懲戒処分の選択に関し、事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要となる旨が判示されたところ(最高裁H24年1月16日判決P253参照)、雇用と年金の接続を図る必要性が増大していることなど近年の事情を勘案すれば、本件事案の懲戒処分歴の扱いについても、定年退職前の懲戒処分の選択と同様に事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が望まれるべきことからすると、府教委の本件不採用の判断は、客観的合理性や社会的相当性を著しく欠くものとして、裁量権の逸脱または濫用にあたり、違法というべきである。」 つまり「国歌斉唱時の不起立」を理由とする再任用不採用は違法であることをはっきりと認めているということだ。これまで、「君が代」不起立者に対し、まるで恫喝のように再任用拒否を発出していた大阪府教育委員会には猛省を迫りたい。 最後になるが、いつも私たちを応援してくださっている某記者さんの言葉を紹介しておきたい。 「『君が代』事件における勝利から出発して、はるか遠くへ羽ばたいていく勝利、思想・良心の限りなき自由をもとめる民衆レジスタンス・プロテストの勝利という歴史的事件です。扇町公園のお祭りで、『わたしも、なんで自分がここにおるんやろ〜って思うときがありますよ』とはにかんだ梅原さんのしなやかかつ不屈の勝利ですね。」 梅原さん、本当におめでとう! Created by staff01. Last modified on 2021-12-09 20:12:34 Copyright: Default |