コロナ禍を逆手にとって成功した「梨の木ピースアカデミー」/イヨンチェ氏ゲストに例会 | |
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コロナ禍を逆手にとって成功した「梨の木ピースアカデミー」〜イヨンチェ氏ゲストに例会イヨンチェさん(写真上)のマシンガントークが炸裂した。11月12日、郵政共同センターでひさしぶりに開かれたレイバーネット例会。テーマは「梨の木ピースアカデミー(NPA)の試みから学ぶ」だった。講師のイヨンチェ(李泳采)さんは、恵泉女学園大学の教授で、NPAの設立者である。例会はオンオフ含めて約30人が参加した。イヨンチェさんは最初に90分にわたってスライドを使いながら、「梨の木ピースアカデミー」設立からの1年半の歩み、オンライン講座の内容、その技術的システム、今後の計画などを、早口で一気に語った。情報量が多く付いていくのに精一杯であったが、話が面白いので、参加者は目を輝かして聞いていた。 「梨の木ピースアカデミー」は、2020年春からのコロナ禍を逆手にとって成功した事例といえる。人が集まれないならネットを使おうと、ZOOM・YouTubeなどの通信技術を使いこなすことで、1年間で500以上の市民講座、受講生数千人、講師陣180人という一大メディア運動をつくりあげた。イヨンチェさんはこう言う。「2020年5月、コロナになって大学がオンライン授業になり、私はZOOMを勉強し身につけた。ZOOMは会議機能だけでなく、映像資料の共有、グループ分けなどの機能もあり、講座に向いていた。ZOOMがあって初めてこのオンライン市民講座が実現した。 オンラインのメリットは小さな事務所ひとつあればできることだ。これまでだと一つの講座をやるだけでも、会場を借りたり、チラシをつくったり、告知のための郵送、参加費の徴収、運営など大変な労力が必要だった。しかし、オンライン方式を使えば一気にそれが解決する。今期は32コース187講座をやっているが、運営しているのは少数の事務局メンバーと、コースごとに付くコーディネーター、ボランティアなど。集金・告知など手間のかかるところはネットサービスを使うので負担が少なく、コーディネーターは内容に集中できる。財政も基本的に黒字で、活動費の還元もしている」と。 講座内容はどうなのだろう? 32コースの内容はホームページをご覧いただきたいが、イヨンチェさんは一例として「日本と東アジアはー朝鮮戦争71年と日本社会への衝撃」を挙げた。「講師陣は日本から和田春樹さん、韓国からは専門家が加わっている。オンラインだからこれまでのように飛行機で招待しなくてもやれる。朝鮮戦争のことは日本人は関心が弱いが、じつは朝鮮戦争が今の東アジア・日本の歴史を規定した起源だった。日本の平和憲法はこの時終わり、米国従属、軍事化が始まった。それが沖縄・辺野古問題にもつながっている。朝鮮戦争のことを日本人にきちんと知ってほしい。日韓のトップ学者によるこうした講座はとても重要だと思っている」。朝鮮戦争については、目から鱗だった。そんな魅力にあふれた講座が硬軟とりまぜて、32コースも準備されている。 質疑は活発に行われた。「梨の木ピースアカデミー」の成功の秘訣は何だったか? それはやはり質の高い企画とコンテンツだった。豪華ゲストをどうやって集め、どう広げてきたか? そのノウハウをたっぷり聞くことができた。今後の話になった。イヨンチェさんの中にはやりたいことがあふれていた。「労働・メディアのテーマでレイバーネットと連携したい、市民連合・平和フォーラムなどと協力して政治改革の道をさぐる講座をやりたい、韓国とつないでアジア平和大学をつくりたい、将来はオンライン放送局をつくり東アジアのアルジャジーラをめざしたい」と。スケールの大きい話に、参加者は目を丸くして聞いていた。大いに刺激を受けたし、今後のレイバーネット活動に役立つ例会となった。(M) ●参加感想(尾澤邦子) : 若い世代に平和教育を継承していくことの大切さバラエティー豊富な32コース187講座、現在第5期(2021年10月31日〜2022年1月30日)進行中。私は8コース「時事ニュースで読む韓国社会と韓国語」と、5コース「福島からみたポストコロナ時代」の受講を申し込んでいる。第1期から継続して受講しているが、おもしろい。毎回いろんな発見があり、考えさせられる。他にも単発受講で、メディアや沖縄や日韓のさまざまな課題に取り組む現場の息吹き・問題意識を感じ取ってきた。またヨンチェさんが語る、韓国ドラマから読み取る時代精神も、韓ドラファンには必見。例会で話してくれたNPA講座運営の中心であるイ・ヨンチェさんのお話しは、講座の基本姿勢とめざすもの、これから取り組みたいことなど、さらに興味深かった。3ヵ月6回の講座の具体的な内容は、各コーディネーターにまかされ、実務はボランティアスタッフが担っている。めざすのは、持続的な平和を学び、人材を育てることを視野に入れたアジア平和大学の誕生とのこと。若い世代に平和教育を継承していくことは大切だ。保守政権によって壊されてきた平和教育を、取り戻す必要があると思う。また市民運動や労働運動で韓国から学ぶことは大いにあるが、ZOOM の活用でそれができることを実践してきている。戦後補償問題や、日・韓・沖縄特別共同企画の若者たちに大いに期待したい。 レイバーネットには、労働問題での共同企画と、放送局の提案があった。難しいと思うが、議論しつつ進めて行けたらと思う。 Created by staff01. Last modified on 2021-11-14 13:55:44 Copyright: Default |