ブッククラブ読書会報告 : 『労働組合とは何か』示唆に富む議論 | |||||||
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今回は『労働組合とは何か』(木下武男、岩波新書)が取り上げられた。参加者は14人で 労働運動の第一線で活躍中の方も参加し、議論は組合運動の活動家に一石を投じようとの 著者の意欲に応えるような充実したものになった。 本書は、はじめに中世のギルドまで遡って労働組合誕生の歴史を探り、さらにイギリスそ してアメリカの運動史を辿っている。その記述は鮮やかであり、また日本の組合運動が、 組織的な特性もあって企業に抱え込まれてしまいやすいとの指摘も的確なものとの意見で 一致した。他面、欧米の歴史篇が現在まで届いていないのは残念であり、また企業別労働 組合を「あだ花」とする見方には異論も出された。現実にねざし、課題に取り組んできた 歴史から学ぶこともまた多いのではないか、また労働法制を実際に活用する必要性にも言 及して欲しかったとの意見もあった。討論はそれぞれの実践経験も踏まえて、意見が率直 に出され、さらに本書の提起に触発されて今日的な課題を考える方向へと展開した。非正 規あるいは「雇用類似」労働の組織化は国際的な課題と言っていいが、20代、30代の労働 者が置かれた労働環境は、想像を越えて過酷である。反面それにへこたれない若い人も現 れ始めている。たとえば最近の入管法改悪反対運動の短時間での広がりを見ると、組合運 動の視点や枠組みにとらわれないで考えていけば可能性も見えてくるのではないかとの意 見も聞かれた。気迫ある本書に促されるように、示唆に富む議論が展開された2時間でし た。(志真秀弘) ◯次回は7月17日(土)を予定し、詳しくは後日ご案内します。 Created by staff01. Last modified on 2021-06-09 20:16:12 Copyright: Default |