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さいたま市エタニットアスベスト公害被害きずな会 : 新型肺炎に関する提言
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*レイバーネットMLから

北穂さゆりです。

自己紹介から始めるのは変かもしれませんが、わたしは所属していた労働組合の関係で20 12年からアスベスト被害者救済活動に関わり、2016年に旧エタニット工場労働災害被害の 実態をまとめた本を執筆、2018年から2本のアスベスト公害被害の映画作品を制作する中 で、協力関係にある「さいたま市エタニットアスベスト公害被害きずな会」というアスベ スト環境被害救済団体の一員となり、現在も活動しています。 アスベスト被害は主に肺疾患であって、肺炎で亡くなる人も多く(最近も一人大切な同士 をなくしました)、今回の新型肺炎について、わたしたちにできることはないかと忸怩た る思いに至り、本日、悲惨なアスベスト災禍を体験した者として、経験的に述べられるこ とを提言として、以下にまとめました。 【新型肺炎に関する提言】 平素はさいたま市エタニットアスベスト公害被害きずな会(以下、きずな会)へのご支援、 まことにありがとうございます。 さて、新型肺炎対策として、政府はイベント自粛や学校閉鎖を要請していますが、同じ肺 疾患であるアスベスト患者の被害実態を調査してきた、さいたま市エタニットアスベスト 公害被害きずな会は、行政は市民健康調査“コロナ検診”をすぐに始めるべきだと提言し ます。 2005年に兵庫県でアスベスト公害が発覚して以降、同じアスベスト工場を抱えるさいたま 市においても、労働組合が中心となって住民検診を要望してきました。しかしさいたま市 は「当市において公害問題が存在することなどSF(サイエンス・フィクション)」として、 検診を行いませんでした。 アスベスト死者は年間1500人超という統計的実証がある中で、検診が行われなかった理由 は、精緻で網羅的な検診を行えば、相当数患者が見つかり、災禍の様相が拡大することを 恐れる行政側の心理にありました。 きずな会、その他団体がさまざまな要請をしてさいたま市に検診が始まるまで、なんと13 年の月日がかかり、その間に多くの患者が死に至ったことに、わたしたちは心を痛めてい ます。 今回の新型肺炎においても、精緻な検診を網羅的に行えばさらなる患者が発見されるでし ょう。そのせいで多くの人々の予定が狂い、社会活動は一時停滞するかもしれません。 しかし、死んでしまっては何にもならない。失って取り戻すことができないものは生命の 他に何もありません。発病すれば余命2年半、完治する治療法のないアスベスト疾患患者 だからこそ、そのことを強く実感しています。 検診で助かる命があるのなら検診を、直ちに精緻に、網羅的にすべきです。保菌者が見つ かり対応措置をとることで感染が防げるのなら即すべきなのです。 以上がさいたま市エタニットアスベスト公害被害きずな会の、今回の新型肺炎に関する政 府対応への所感であり提言です。 新型肺炎対策として、国民的な精緻で網羅的な市民検診を求めます。もちろんアスベスト 患者の対策と住民検診のさらなる強化も切に願うところです。 令和2年2月29日 さいたま市エタニットアスベスト公害被害きずな会 代表代行 松島ふさ子 統括マネージャー・エタニット公害被害患者  松井絵里 サポートリーダー 北穂さゆり

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