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復興は地図を塗り替えることなのか〜脱被ばく新宿デモ

 11月7日、脱被ばく実現ネット主催の新宿デモが行われた。コロナ禍で様々なイベント が中止になった一年だったが、新宿デモはこの日で15回目となった。緊急事態宣言はまだ 解除されていないにもかかわらず、うやむやにされている福島第一原発事故。「なかった ことにはさせない!」と、新宿アルタ前広場に150人が集まり、リレートークの後、新宿 を一周して沿道の人たちに訴えた。

 子ども脱被ばく裁判・弁護団長の光前幸一弁護士(写真上)が口火をきる。「国が明らかにしてい るだけでも、すでに200人以上の未成年者が甲状腺がんの手術を受けている。誰がみても 異常な増え方なのに、国は事故との因果関係を認めようとしない。不都合な真実を前に、 『この手術は過剰で必要のないものだ』と専門家に言わせ、莫大な金を使って宣伝してい る」「福島第一原発は広島の100倍の放射能を出した。健康被害の恐れのある地域の子ど もを少しでも安全な場所へ転校させるなど、政府や自治体の果たすべき責任は大きい。国 は放射能以外の有害化学物質については、万一に備えた学校運営を法律で規定していると いうのに放射能だけ特別扱い、野放しなのは許されない」と力をこめた。

 『地図から消される街』(青木美希著)に登場する元原発作業員の今野寿美雄さん(写真上)は、 避難先の福島市から駆けつけた。「浪江町に行っても、自分がどこを歩いているのかわか らない。民家や学校が壊されて、かわりに新しいホテルや道の駅ができた。昔の浪江町は 、もうありません。これが原発事故がもたらしたものです」。この夏、浪江町の我が家が 解体されたが、悔しいのはそれだけではない。「浪江町では四つの小学校と一つの中学校 の解体が決まりました。150年の歴史のある学校です。解体される前に卒業生や在校生の ために見学会が開かれたが、コロナでほとんど人は集まれず、お別れすることさえできな かった」と涙をにじませながら語った。


*「小中学校の解体はきちんとお別れをしてから」と訴える署名

 人々の思いを置き去りにして「復興」はどんどん進んでいく。双葉町に9月にオープン した伝承館もそのひとつだ。筆者も先日訪ねてみたが、被ばくの実態も汚染水の処理の仕 方も、山積する問題について何も触れていなかった。「何も伝承しない伝承館。『10年た って伝承館ができた』ということを伝承したいんだろう。来館者は600円。行くたびに腹 がたって仕方ない」と今野さんはいう。

 「復興五輪」は叶わなかったが、10年という節目の来年三月に向けて、国は安全宣言を 準備している。10年たてば原発事故は終わるのか。来年3月1日には、子ども脱被ばく裁 判の判決が福島地裁で言い渡される。見守りたい。(堀切さとみ)


*福島だけでなくイラクも劣化ウランでガンの子どもが七倍になった。いくたまんじ&愛染恭介さんが歌う


Created by staff01. Last modified on 2020-11-07 22:46:36 Copyright: Default

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