米国労働運動:教育労働者の声/「コロナ禍」安全になるまで授業しない | |
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〔解説〕アメリカの新学期は9月から始まる。レイバーノーツ誌10月号はコロナ禍の下での新学年の開始をめぐる全国の闘いの様子を伝えている。(レイバーネット日本国際部 山崎精一) 教育労働者の声〜「コロナ禍」安全になるまで授業しないアレクサンドラ・ブラッドベリ (レイバーノーツ編集長)(2020年9月18日)
学校や大学を再開しようとする圧力が教育労働者に掛けられており、当局は経済のためには教員たちの命を危険にさらしている。食肉加工工場やアマゾンの倉庫、建設現場で働いている人なら、すでにこのことを知っているはずだ。しかし、2020年までは、学校や大学での仕事で自分を死ぬかもしれないとは考えていなかった。 そして、危険にさらされているのは教職員だけではない。3月に分かったように、学校は巨大な感染源になる可能性がある。生徒や教職員が家に持ち帰り、コロナウィルスを広めてしまうのだ。もしニューヨーク市の学校が1週間早く閉鎖されていたらコロナウイルスの症例数は218,400件減少し 死亡者数は18,500人減少していた、とコロンビア大学の研究が明らかにしている。 学校を安全にするためには何が必要だろうか? ウイルスは空気中に拡散するため、消毒するだけでは解決しない。大規模な空調設備やその他の設備改修が必要になるだろう。 連邦議会は、そのための予算を提供していないし、十分な有給休暇のための予算も提供していないので、働く親たちはひどい苦境に置かれている。国中の労働者は、数ヶ月にわたり、育児をなんとかしのいできた。一方、国の643人の億万長者たちは、パンデミックが始まって以来、6850億ドルをその富に加え、この災害により儲けることを許されてきた。 ●全国至る所に 安全が確保されるまで職場復帰させるな、という学校・大学労働者からの叫びが燃え広がっている。その成果は、全国いたるところで出ている。 ある所ではリモートのみでの新学年を勝ち取った。他の所では授業開始を延期させた。ある所では、リモート授業と対面授業の両方で混乱する学校で教えざるを得なくなっている。また、オンラインで教えるために誰もいない教室に来ることを要求されている教員もいる。 これまでに職場に労働組合の力を築いていた労働者は、より有利な立場に立っている。昨年強力なストライキを行ったロサンゼルスとオークランドの教員たちは、リモートでの学校再開をすぐに勝ち取った。10年間で3回の大規模なストライキを行ったシカゴでは、ストライキ投票の噂だけでリモートによる再開を確保できた。しかし、シカゴ教育組合はどのようなリモート授業にするかについて、まだ市長と争っている。しかし、ニューヨーク市とデトロイト市では、ストライキの脅しはそれほど効果的ではなく、下からの圧力に押されて組合指導部は交渉で強く出たが、簡単に妥協してしまった。 この問題は連邦政府に全責任があるのだが、生徒や苦しい状況にある労働者の親たちは、容易に教員たちと対立する可能性がある。しかし、テキサス州サンアントニオ市のように、組合活動家が長年の組織化を通じて生徒たちとの連帯を築いてきた場合には、そう簡単には対立させられない。 ●闘いは始まったばかり 状況は急速に変化している。一部の大学では再開して数日の内にまた閉校したりしている。ミシガン大学の大学院生組合は、職場復帰してすぐに9日間のストライキを打ち、組合によると、「実行可能なパンデミック保育の選択肢」やその他の改善を勝ち取ったという。 ニューヨークのある学校で教員が陽性反応を示した後、他の教師は校内での研修を拒否し、折り畳み椅子を持ち出して外で授業準備作業を行った。このような圧力が続いた結果、昨日、市長は大部分の学校での対面授業の開始を再度延期した。マサチューセッツ州のアンドーバーでも、同様に校舎の外で働く抗議行動が行われた。 そして、危険な学校再開を阻止した人々にとって、次の戦いは、ニューヨーク州ロチェスター市やマサチューセッツ大学アマースト校のように、大量解雇に対抗することかも知れない。 誰の闘いも終わっていない。学校の新年度はまだ始まったばかりである。 Created by staff01. Last modified on 2020-09-30 22:13:15 Copyright: Default |