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なぜ「国民」に一律現金10万円給付なのか?〜外国人軽視に違和感弁護士 指宿 昭一
安倍晋三首相は16日夜、新型コロナの政府対策本部で、1世帯当たり30万円の支給策を撤回し、「すべての国民を対象に一律10万円の給付を行う方向で与党に再度検討してもらう」と公表した。メディアは、「全国民に現金10万円給付」と報道した。 私は、首相の方針表明にもメディアの報道にも強い違和感を感じる。なぜ、「国民」への給付なのか? 日本に在住する外国人は対象にしないのか? 2009年に1万2000円の定額給付金支給の時は、住民基本台帳に基づき、日本に滞在する外国人の多くには支給がなされている。ただし、旅行中の外国人(短期滞在の在留資格)と在留資格のない非正規滞在者には支給がなされていない。 その後の報道によると、総務省では、今回も住民基本台帳によって支給する方向で検討しているという。つまり、住民票を有する外国人には支給がされる方向だということである。 第一の疑問は、なぜ、安易に「国民」「全国民」という言葉を使うのかということである。実際に、多くの外国人は、「自分たちはもらえないのか」という不安を感じたという。安倍首相もメディアも、「国民」という言葉を使ったときに、そこから排除されてしまう外国人たちのことを考えていなかったのであろう。多文化共生を目指す国としては、あまりにもお粗末だ。 第二の疑問は、住民票を有しない外国人には支給しないでよいのかということである。各国の入国制限のため帰国できない旅行者には支給しなくていいのか。在留資格のない外国人には支給しなくていいのか。在留資格がないとないといっても、難民申請をしていたり、日本に家族がいるため在留特別許可を求めていて帰国できない事情の外国人は多くいる。しかも、今は、各国の入国制限のため、帰国しようと思ってもできない場合もあるのである。新型コロナウイルス感染症に伴う経済対策としての支給であれば、在留資格の有無で区別する必要はないはずである。また、入管から仮放免許可を受けている外国人については、本人の同意の下で、各自治体にそれぞれの居所が届け出られているのであるから、支給手続きを取ることは可能である。 現金10万円の支給対象をどうするかによって、日本がどういう国であるかが試されている。 Created by staff01. Last modified on 2020-04-18 09:21:34 Copyright: Default |