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延期ではなく中止にしよう!〜福島でオリンピック中止を求める市民集会

 3月28日、福島県・郡山市総合福祉センターにおいて「聖火リレーと五輪災害」(主催:オリンピック災害おことわり連絡会)をテーマに集会が開催され、ほぼ満席となる約30人が参加した。

 集会では、オリンピックの歴史を研究してきた有識者や長年反対を訴えてきた市民運動の関係者、原発事故の影響が現在も続く福島現地の方から、それぞれ訴えがあった。

 まず始めに司会に立った京極紀子さん(おことわり連絡会)は、「『聖火』リレーの出発地点であるJヴィレッジは、いまだに放射線量が高いところにもかかわらず、東京オリンピックを盛り上げるために子どもたちを集めて『復興五輪』を国内外にアピールしようとしていた。私たちはそれに抗議するために、3月26日から始まる予定だった『聖火』にあわせて、福島に入るつもりだった。今回は福島現地の方々と一緒に考える場を作りたかった」と挨拶した。

 鵜飼哲さん(一橋大学教授)は、「なぜ『聖火』は、これだけありがたがられるのか。そして時の権力者は、その『聖火』をどのように利用してきたのかを明らかにしたいと思う。『聖火』リレーが中止されたいまだからこそ、より課題が見えやすくなっていると思う。3月21日には、仙台駅で『復興の火』とされて展示されたが、私たちはこれに強く抗議しなければいけない。来年に東京オリンピックが行われるのであれば、東日本大震災10周年の節目にあたって、『復興の火』の大キャンペーンが行われる。原発事故の後、技術大国・日本というイメージを作るために、『聖火』は五輪推進側にとって非常に重要な儀式である。また、感染症とオリンピックの関係はいまに始まったことではなく、以前から指摘されていたことで日本のマスコミが報じなかっただけだ。そして開催都市で感染拡大が起きれば、一般市民を巻き込んだ医療崩壊は必至である。結論は、はっきりしている。オリンピックは人類の健康にとって百害あって一利なしだ」と訴えた。

 谷口源太郎さん(スポーツジャーナリスト)は、「1984年のロサンゼルス・オリンピックで、徹底した商業主義オリンピックになってしまい、オリンピックに託されていた理念はすべて崩壊することになった。オリンピックがスポーツ興行になり、各国が国威発揚のためにオリンピックの利用を始めた。マネーファースト、国家ファーストになっている。一方で、オリンピックの負担に耐えかねて、オリンピックは世界の支持を失いつつある。分散開催などオリンピックのあり方も変わって、求心力もなくなってきていると考えてもいい。こんなオリンピックは存在する意味、価値がない」と訴えた。

 蛇石郁子さん(郡山市議)は、「地元の新聞やマスコミは、『復興五輪』ということで盛んに宣伝していた。『聖火』ランナーの一人一人の写真を新聞に載せ、それぞれのコメントを出して、オリンピック一色に染めていた。『おことわり連絡会』の皆さんと気持ちは一緒だ。汚染だらけ、欺瞞だらけのオリンピックだ」と報告した。

 黒田節子さん(原発いらない福島の女たち)は、「『聖火』リレーが『復興五輪』の象徴として、Jヴィレッジから始まるなんて冗談じゃない。原発とオリンピックは似ている。原発事故でも国家ファーストをよく知らされた」と述べた。

 集会の最後に挨拶に立った宮崎俊郎さん(おことわり連絡会)は、「私たちは3月に福島に来て『復興五輪』反対をしっかりとアピールすることにしていた。5月23、24日にはオリンピックの問題点をテーマに議論をしていく集会を行って、デモをやりたいと思っている。毎月24日には東京駅前でスタンディングをやっているのだが、3月24日に行ったスタンディングが一番チラシの受け取りが良かった。多くの市民の関心が集まってきている。多くの人たちに問題提起していこう」と訴えた。

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は、延期に伴う課題を整理するための実施本部を立ち上げたが、未だに収束の見えない新型コロナウイルスの経済対策費、パンデミック対策費用は相当な巨額になることが見込まれている。この現状において、大会運営に関わる追加経費を負担することは現実的に困難である。もし追加支出するにしても、市民からの賛同は得られるのだろうか。いくら実施本部で議論を尽くしたところで、カネを生み出すことは不可能だ。

 新型コロナウイルスの感染源も感染収束の目処も立たない中、国民にコロナウイルスの長期戦を説く一方で、一年後の五輪延期は明らかに矛盾している。一年後に収束している保証は全くない上に、選手の練習再開時期を考えれば、五輪が中止になる可能性は非常に大きい。〔金子 通〕


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