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中曽根政権の悪政と不破哲三氏のコメント

2019年12月02日 | 日本共産党

    

 中曽根康弘元首相が11月29日死去しました。首相在位期間は1983年11月27日〜87年11月6日。私はこの期間、「赤旗」の政治部で国会・自民党を担当しており、中曽根政権にはとりわけ思い出深いものがあります。

  中曽根氏は「戦後政治の総決算」をスローガンにした通り、戦後民主主義を破壊する自民党政権を代表する政権と言えるでしょう。その罪状を挙げればきりがありません。

 首相として初の「靖国神社」公式参拝、「日本は単一民族国家」発言に象徴される民族差別、自ら「臣・康弘」と名乗った天皇崇拝、選挙遊説で「リンリ、リンリとうるさい」と言い放った政治倫理敵視…。

 首相以前では、「自主憲法制定」ののぼりを立てて選挙活動を行ったほど根っからの日本国憲法敵視、正力松太郎とタッグを組んだ原発導入などなど、どれも忘れることはできません。

  中でも特筆しなければならないのは次の2点です。

 1つは、レーガン米大統領に追随し、日米安保をいっそう危険な軍事同盟にしたこと。「日本列島不沈空母」の言葉がそれを象徴しています。死去にさいしてトランプ大統領が「重要な日米の地球規模の同盟関係を築いた」(1日)と”業績“を評価したのもうなずけます。

  もう1つは、財界の重鎮・土光敏夫を前面に立てた「行革」という名の政治・行政体制改変です。中でも国鉄、郵政、電電の三公社の民営化は、国民財産の財界への払い下げにほかなりませんでした。中曽根氏が国鉄民営化の目的は「労働組合(国労)をつぶすことだ」と公言したことは歴史に記録されるべきです。

  中曽根氏が敷いたこうした悪政の路線は今日に引き継がれています。その歴史的反動性、反国民性はけっして希釈されることなく銘記される必要があります。

  ところが、日本共産党の不破哲三氏は、中曽根氏の死去にあたってこうコメントしました。「なかなか礼節のある人だった」(29日夜NHKニュース、写真右)

 耳を疑いました。NHKの恣意的な編集ではないかと思い、翌日(30日)の「しんぶん赤旗」で確かめました。
 「赤旗」2面2段、「不破哲三元議長がお悔み」の見出しで、不破氏は中曽根氏との週刊誌での対談を振り返ったうえで、こう結んでいます。

 「私たちとは政治的に対立する立場にありましたが、率直な討論のできる政治家だったと思います。心からお悔やみを申し上げます」

 機関紙で公然と「率直な討論のできる政治家」と評価しています。「礼節のある人」というコメントは恣意的な編集ではありませんでした。不破氏は「赤旗」のコメントの中で中曽根政治の悪政には何ひとつ触れていません。あるのは「思い出」と「賛辞」だけです。驚くべきコメントと言わねばなりません。

 これは不破氏の個人的問題ではありません。中曽根氏の死去につての「赤旗」の記事は、簡単な事実経過と不破氏の「お悔み」だけです。つまり不破氏のコメントが中曽根氏の死去に際しての日本共産党を代表した見解ということになります。

 歴史的悪政の数々を重ねた中曽根氏が、「礼節のある人」「率直な討論のできる政治家」。これでどうして中曽根氏が路線を敷いた自民党政治とたたかえるでしょうか。
 いったい日本共産党はどうなってしまったのでしょうか。


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