映画『主戦場』の場外バトル/ミキ・デザキ監督が緊急会見 | |||||||
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映画『主戦場』の場外バトル〜ミキ・デザキ監督が緊急会見一本の映画が大騒動を巻き起こしている。映画は、ミキ・デザキ監督の慰安婦問題に関するドキュメンタリー映画『主戦場』だ。左右の論客が登場するが右派のメンバー3氏(藤岡信勝、山本優美子、藤木俊一)は5月30日に記者会見を行い、「映画の上映差し止めを求める共同声明」を発表した。かれらは会見で「監督は学術目的と言っていたが実際は商業映画」「内容も意図的に切り取られ歪められた」「監督にだまされた」と怒りを露わにしていた。6月3日のミキ・デザキ監督の緊急会見は、この右派の会見を受けて行われた。弁護士会館の会場は約70人のメディア関係者であふれた。 最初に監督の見解が示され、その後質疑が続いたがたくさんの手が上がり、全員に回答したため予定を大幅にこえて1時間50分に及んだ。監督側が出した資料は、出演者がサインした「承諾書」と「合意書」。これによれば「自由に編集する権利」や「著作権」が監督にあることが明記されていて、この点をみれば映画を公開することにまったく問題がなかったことがわかる。事実、右派側も自分たちの主張が映画に表現されることを期待していたようだ。ところが出来上がったものが右派は気に入らないどころか大変まずかったのだ。 会見で質問が集中したのは、合意文書にある「甲(監督側)は、本映画公開前に乙(出演者側)に確認を求め、乙は速やかに確認する」という条項だった。デザキ監督の説明はこうだった。「初公開の2018年9月のプサン映画祭の前に、藤岡・藤木氏にフッテージ(映像素材)を送って確認を求めている。また4月の日本公開前に行われた8回の試写会に招待状を出した。しかし公開までになんの返答もなかったので問題はなかった」としている。事前に確認のために送った映像が全編ではなく当人のトーク部分のみのフッテージだけだったことはついては、記者からも疑問の質問がでたが、この点も監督は「問題はない」としている。 今後、法的な争いになる可能性もあるがしっかりした「合意書」もあり、右派の勝ち目は少ないと記者は思った。右派の会見動画をみると映画について「まったく無視するか、相手にするか」で当初意見がわかれたそうだ。結局「相手にする」ことにしたのだが、それは映画の反響があまりに大きく無視できなくなったからだろう。右派論客はかれらに都合のいい映画ができると期待していたのが、みごとに裏切られた形だった。デザキ監督の手法は徹底した賛成・反対の意見を聞くことだった。その中から「両側の話を聞き自分なりの結論を導いた」と会見で語っている。『主戦場』は、慰安婦問題にとどまらず「歴史修正主義」を推進する安倍政権にもメスを入れた作品に仕上がっている。映画の影響力がどこまで広がり、どういう論争に発展するのか、今後のバトルの行方に目を離せない。(M) 〔参考〕 Created by staff01. Last modified on 2019-06-03 23:56:21 Copyright: Default |