米国労働運動 : アマゾンで全米初のストライキ | |
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〔解説〕昨年「レイバー・ノーツ」11月号の翻訳記事ではアマゾン社での最低賃金引上げを取り上げた。4月号ではアマゾン社での初めてのストライキ行動について報道している。イスラム教徒労働者の礼拝時間を巡る要求もきっかけの一つであると報じているのが興味深い。(レイバーネット日本国際部 山崎精一) *毎月25日前後に「レイバー・ノーツ」誌の最新記事を紹介します。 アマゾンで全米初のストライキジョー・デマニュエルホール*ミネソタ州シャコピーのアマゾン倉庫労働者。3月7日夜勤に3時間の職場放棄した。「我々は人間で、ロボットではない」 超スピード作業で悪名高いアマゾン社の倉庫で、3時間の職場放棄が行われた。ミネソタ州シャコピーの発送センターで3月7日の夜勤に職場放棄があったが、この3か月で2回目のストライキであった。ストライキに立ち上がった労働者たちは積み込み部門で働いており、入荷した荷物を棚上げする作業を行っている。棚上げされた荷物はその後、別の労働者たちにより選別梱包されて出荷される。 積み込み労働者は次々に搬入されてくる荷物を8万平米の倉庫中の空きスペースを探して秒読みで棚に納めなければならない。その頭上には「標準作業速度」と「エラー」という二つの基準がのしかかっている。 ●より早く、より正確に 標準作業速度は生産性のことで、一時間当たりの作業回数であり、240から250作業が標準である。トイレや水飲みなどの休止期間は作業速度を落とすことになる。 エラーは読み取りと棚置き作業の正確性の問題である。アマゾン労働者を組織してきた労働者センターの所長アブディラマン・ミューズによると、2017年までは1000点の荷物につき1点のエラーが許容されていたが、2017年以降は2200点に引き上げられた。同時に作業速度は常に早まっている。その結果、労働者はさらに早く、さらに正確に働くよう期待されている。 ストライキに参加した一人モハメド・ハッサンは通訳を通じてこう語った。「作業速度は非人間的です。みんないつも脅えています。」エラーを2回犯すと解雇できる、という仕組みになっている。 ●その場で職場放棄 シャコピーの労働者の多くはソマリアなど東アフリカからの移民でイスラム教徒である。労働者センターのオルグによるとアマゾン社は従業員が礼拝することに十分な配慮をしていない。敬虔なイスラム教徒は一日に5回、5分から10分くらいの間礼拝をする。アマゾンはその時間を労働時間と認めないことが多い。 積み込み部門の労働者たちは3月7日の夜勤に就くと、作業速度がまた早まったことを知らされた。「作業量がまた変更されて増やされたと聞いて、反撃しようと思いました。」とハッサンは言う。夜勤の積み込み労働者60人の内、半数が職場放棄して外に出た。深夜の食事休憩の後に外に出たが、それはその時間が発送センター全体に与える影響が大きいからだった。 職場放棄した労働者たちは少し離れた街のレストランに集まり、要求項目をまとめ決定した。エラーと解雇につながる不当な作業速度を改め、臨時労働者の雇用を止め、礼拝時間とトイレ時間を労働時間として認め、労災事故の元になる装置の改善をアマゾン社に要求することにした。 3時間後にストライキ労働者たちはセンターに戻り、要求を経営側に手渡そうとした。監督者は集団とは会うことを拒否したが、翌日その代表と会うことには合意した。ストのリーダーによると、翌日の会合ではなんの具体的な回答もなかった。 ●闘いは続ける ミネソタ州の東アフリカ移民を対象とする労働者センターであるエイウッド労働者センターはこの2年間アマゾン労働者の組織化を支援してきた。昨年6月にはミネソタ州イーガンの倉庫の外で集会を組織し、倉庫内の高温と礼拝時間の配慮を訴えた。このイーガンでの昨年の取り組みは労働条件を巡ってアマゾン社と交渉した全米の初めてのものだった。11月にアマゾン社は回答を行い、年四回労働者と交渉するためのマネジャーを配置し、労働者の要望には5日以内に回答する、とした。 しかし、事態は全く改善されなかった。そこでエイウッド労働者センターは12月にシャコピー配送センターで地域集会を開催した。イーガンとシャコピーは共にミネアポリス市と州都セントポールの郊外にある町である。 50人以上のアマゾン労働者が勤務時間終了より一時間早く職場放棄してこの集会に参加した。これはアメリカで初めてのアマゾン社での計画的ストライキだと見なされる。ヨーロッパでは、ポーランド、スペイン、ドイツなどでアマゾン労働者は頻繁にストライキしている。 アマゾン労働者は今回の行動が一時的なものとは考えていない。「アマゾンが我々に要求していることはあまり非人間的なので、とてもやれません。労働条件が改善されるまで闘い続けます。」とハッサンは語った。 Created by staff01. Last modified on 2019-04-24 12:06:32 Copyright: Default |