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北海道大停電は想定外ではなかった!〜9.14反原発道庁前行動
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9月6日(木)に起きた北海道胆振東部地震の影響で、翌7日(金)の金曜行動は中止となり、9月14日(金)は、通算306回目となる道庁前行動が2週間ぶりに行われた。

この日の行動では、当然ながら、胆振東部地震を受けた発言が相次いだ。また、札幌の市民団体の招きで来日したパレスチナの医療関係者一行も駆け付けた。常連メンバーのインドの方も参加、国際色豊かな行動となった。

パレスチナからの医療関係者は次々に核兵器反対を訴えた。イスラエルの核の脅威に直接さらされているだけに、彼らの危機感は切実なものだ。

札幌市内から参加した看護師の女性は、「医療現場でも最近はカルテの電子化が進んでいるが、電子カルテは停電すると使えないため、患者さんみずから「お薬手帳」を持参していないと薬も出せない」と訴えた。何でも電子化すればいいというものではない。電気に過度に依存する生活の脆さも改めて見せつけられた大停電だった。

政府は最近、東京五輪も見据え、決済の電子化、キャッシュレス化も急ごうとしている。主要先進国の中で日本は際立ってキャッシュレス化が遅れ、現金決済比率が高いと政府は主張しているが、日本で地震によって大規模停電が起きたのはこの10年で早くも2回目だ。停電のたびに電子決済は使えず、頼れるのは現金だけとなる。地震や停電のほとんどない欧米諸国と違い、地震や大型台風による停電が増えている日本では現金決済を維持することもひとつの合理的で立派な選択肢だ。政府は現金という災害時に強い決済手段を市民から奪わないでほしいと思う。

最後に黒鉄のスピーチ全文を紹介する。このスピーチ後、主催者の北海道反原発連合スタッフからスピーチ原稿があるならほしいと言われた。それだけこのスピーチ内容は衝撃をもって受け止められたようだ。

(写真はパレスチナから来た医療関係者一行)

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 みなさんお疲れ様です。

 6日未明の胆振東部地震、皆さんご自身や周囲では被害はなかったでしょうか。幸い私の自宅で被害はありませんでしたが、地震直後に停電し、復旧したのは地震翌日、7日の夜7時前でした。停電から復旧まで40時間かかったことになります。すでに道内の半分が復旧した後で、かなり遅めの復旧です。この3月まで生活していた日高管内新ひだか町では7日の未明(午前2時ごろ)に復旧したとのことで、震源からほど近い日高管内よりも遅かったことになります。

 携帯ラジオのニュースで、北海道内全体が停電していると聞き、唖然としました。まさか道庁や札幌市役所本庁、北電本社にすら電気が通っていないとは想像していませんでした。泊原発も外部電源を喪失し、非常用ディーゼル発電機でプールの核燃料をようやく冷却している状態で、もう少しで第2の福島になるところでした。

 この停電の原因は、今後のためにも早い段階で究明する必要がありますが、今日は皆さんに重大な事実をお伝えしなければなりません。それは、今回の北海道大停電が、決して「想定外」ではなかったということです。

 『例えば、北海道電力の最大ユニットが脱落した場合、北海道電力エリア内の周波数が大きく低下。この際、北海道エリアの系統規模を踏まえれば、この脱落に対して、周波数を維持できない。』――2013年12月9日に経産省が開催した「総合資源エネルギー調査会 第4回制度設計ワーキンググループ」の会議に事務局が提出した資料(注1)がこのように指摘しています。「広域的運営推進機関が整備すべき事項について」との副題が付けられたこの資料は、5年も前に、まるで今回の事態を予言でもしていたかのように正確に見通していたのです。

 地域によって電力が足りなかったり余ったりという事態をなくすため、5年前の電気事業法の改正で、電力業界には、全国ベースで電力の需給調整を行うことが求められるようになりました。電気事業連合会は、政府の意向を受け、電力会社同士が電力を融通しあえるようにするため「電力広域的運営推進機関」という認可法人を設立しました。この電力広域的運営推進機関が電力会社同士の電力融通を効果的に行えるようにするため、経産省が開催した会議の資料の中にこの記述があったのです。全国でも最も電力融通が困難なのが北海道であること、電力融通が東日本で困難である一方、西日本では難しくないこともこの資料では述べられています。経産省はこの事態をとっくにわかっていたのであり、想定外という言い訳など聞きたくもありません。

 現在、メディアを使って行われている電力不足キャンペーンにはまったく根拠がありません。他ならぬ北電のホームページに、北海道電力の発電能力が780万kwであることが記載されています。ここから泊原発1〜3号機の207万kw、今回の地震で壊れた苫東厚真火力発電所の165万kwを引いてもなお402万kwの発電能力があります。北電管内の電力のピークは1年で最も寒くなる1月で、この時期には510万kwの電力が必要ですが、現在、石狩湾新港に建設中のLNG火力発電所は170万kwの発電能力を持っています。これを足せば北電管内の発電能力は570万kwになります。2月に予定されている運転開始を1カ月程度前倒しできれば、泊原発が動かず、苫東厚真火力発電所が壊れたまま復旧しないという最悪の事態が現実のものになったとしても問題なく乗り切れる発電能力なのです。計画停電などまったく必要ありませんし、節電も現在の10%水準を10月いっぱいまで続けられれば、苫東厚真火力発電所の部分的な仮復旧で十分間に合うでしょう。電力不足は泊原発再稼働のために作られた偽りの物語にすぎません。

 ここにいる人たちにとっては必要ないかもしれませんが、泊原発再稼働を訴える懲りない人たちがネットを中心にいるようなので、この点について触れておきます。多くの道民が実感しているのは、今度の地震の震源地が火力発電所の真下でよかったということです。これがもし原発の真下だったらどうなっていたでしょうか。大飯原発、高浜原発の運転差し止め裁判では、日本の原発が700ガルの揺れしか想定していないことが明らかになっています。しかし、政府の地震調査研究推進本部が行った評価では、今回の胆振東部地震で最も揺れが大きかった安平町の観測点でなんと1796ガルの揺れが観測されていました(注2)。原発が想定している揺れの2.5倍の大きさです。この地震が仮に泊原発の直下で起き、原発が直撃を受ければひとたまりもなく破壊されていたでしょう。これでも原発の再稼働を推進する人たちは日本破壊主義者であり殺人犯と呼ばなければなりません!

 最後に、私は福島で3.11も経験しました。福島原発事故直後、自主避難先を探すため、子どもを抱えて相談会に来ていたある若い母親の一言を私は今も忘れません。「子どもがこんな目に遭うくらいなら私は停電してもいい。ろうそくの生活になっても原発はいらない」。

 3.11から7年半、日本の市民の反原発の意識はひところに比べて風化しているといわれますが、根底では変わっていないと私は信じます。ろうそくの生活になっても原発はいらない。これが日本の市民の変わることのない意思です。私はあの惨劇を経験した者のひとりとして、誰がなんと言おうと日本から原子力の火を消す。そして最後の1基が止まるのを必ずこの目で見届ける覚悟です。

 今日は以上で終わります。ありがとうございました。

注1)電力広域的運営推進機関(認可法人)第1回調整力等に関する委員会 資料6-2「現行のマージンの考え方について」(2015年4月30日)で該当部分が引用されている。
 https://www.occto.or.jp/iinkai/chouseiryoku/2015/files/cyousei_01_06_02.pdf

注2)地震調査研究推進本部(地震本部)地震調査委員会 2018年9月11日公表「平成30年北海道胆振東部地震の評価」より
 https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2018/20180906_iburi_2.pdf


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