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高校生にも表現の自由がある!/「ヤマブキジャーナル」当事者に聞く
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高校生にも表現の自由がある!〜「ヤマブキジャーナル」当事者に聞く

 自由な校風で知られる東京都立新宿山吹高校(写真)。無学年制、単位制の実験校として、27年前に発足した。日本国憲法と日本国法が校則と言われている。いま、その生徒たちが作る学校新聞「ヤマブキジャーナル」をめぐって、表現の自由と人権を揺るがす事態が起こっている。当事者の磯田航太郎さん(現編集長・18歳)と平松けんじさん(元編集長/卒業生・23歳)に話を聞いた。「ヤマブキジャーナル」は2015年11月創刊、学校の行事や生徒たちの情報などが満載で人気があったという。1号につき100部から200部も読まれていた。他の学校新聞と違うところは、社説などで生徒自身の意見表明があったところだ。

 そもそもの発端は、2016年2月にさかのぼる。「ヤマブキジャーナル」第3号に掲載された記事「山吹入試、内申比率7:3に」と、社説「ボランティアの必修化より生徒の自主性に任せよ」に教員たちがクレームを出し、記事と社説が削除された。記事は、入試のさいに内申書が重視されるようになることを知らせ、不登校などでハンディを持つ山吹高校の受験生には不利になると指摘している。社説は、本来ボランティアは自主的なものであり、学校でのボランティアの必修化は押し付けであり原則に反するというもの。両方とも平松さんが書いた。この記事がなぜ削除されなければならなかったのか。理由が見つからない。


*削除されたことを明らかにして発行された第3号

 さらにこの年の7月には、生徒会役員会の新聞部への「要望書」記事が削除され、10月には、生徒会規約の公開を求めた社説「情報公開・法の支配は民主主義の基本だ いまこそ生徒会規約の公開を」が削除された。度重なる学校による検閲と削除に編集局は、第8号をもって自主廃刊を決意した。その後新聞は電子版に生まれ変わる。(*「ヤマブキジャーナル」電子版

 2017年2月、磯田さんが編集長につくと学校側はさらに態度を硬化させた。6月、校内でコンドームが発見されたこと、ツイッター上で生徒が爆破予告をしたことを報じる電子版が出されると、磯田さんは、主幹教諭らに生活指導室に連れ込まれ、記事の削除を求められた。主幹は「学校が動いたらただではすまない」など処分をほのめかした。数日後、さらに校長らは、磯田さんの両親まで呼び出し、記事削除などを認める「誓約書」に署名を強要した。その後も副校長に取材を妨害された磯田さんは、事実上の不登校に追い込まれた。学校は両親に「指導に応じなければ授業に出さない」と伝えてきた。12月、磯田さんは我慢できず、誓約書を取り消す旨の内容証明を提出。2018年2月、弁護士とともに学校を訪れ、話し合いを求めたが拒否された。

 2018年3月履修登録の修正の為やむなく登校した磯田さんは、主幹教諭に「指導を受けろ」と執拗に言われた。身の危険を感じた彼は校外に出たが、複数の教員に駅まで追跡された。磯田さんは、この事態を前編集長の平松さんに伝えた。平松さんは、日本共産党東京都議団に相談し支援を要請した。都議団から問い合わせを受けた都教委は、「指導を受けなければ授業に参加させない」という学校の措置は不適切で、是正させると回答。4月、学校では臨時職員会議が開かれ、磯田さんへの授業参加妨害は停止された。

 しかし、その後も嫌がらせは続いている。10月6日、磯田さんが学校説明会に合わせて、学校前の公道上で学校紹介のビラまきをしていると、主幹教諭は「何しにきた。学校の許可を得てから行え」とビラまきを妨害し、他の教諭に磯田さんを撮影させた。公道上のビラまきはもちろん自由で適法だ。

 学校の弾圧にもめげず、がんばる二人はどんな思いなのだろうか。磯田さんは「政治のことはわからない。でも、わたしたちは親や教員の支配に苦しめられている。管理教育は小学校からで、生徒の自主性は認められない。それがおかしいと思う」、平松さんは「いま、学校では主権者教育と言われるが、自分たちにとって身近なのは学校生活。そこで身の回りにかかわることを批判できないのはおかしい」と語った。表現の自由、基本的人権は万人に保障されるべきもの。年齢は関係ない。2003年の「日の丸・君が代」強制以来、当局の圧力が強まり、職員会議は伝達機関であるとして、教員の自由な議論さえも許されなくなった東京の学校。生徒たちの自由がいま、侵されている。

 「名前を出していいですか」と筆者が聞くと「おかしいことはしていない。実名を出していただいて結構です」と二人。閉塞する学校の中で堂々と声を上げる彼らの姿が何より希望だ。〔佐々木有美〕

↓「日刊ゲンダイ」(2018/11/21)斎藤貴男のコラムでも取り上げられた。


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