本文の先頭へ
外国人技能実習生が働く現場で何が起きているのか?/クリーニング・除染など実態報告
Home 検索

外国人技能実習生が働く現場で何が起きているのか?〜クリーニング・除染など実態報告

 衆議院で出入国管理法改正案の審議が11月13日から始まるのを前にして、「外 国人技能実習生の実態を知って!」と訴える集会が11月11日、東京で開かれ た。外国人技能実習生権利ネットワークが、総会後の記念講演として開催した 「技能実習のリアル〜いま、現場で何がおこっているのか」である。

 はじめに同ネットワークの共同代表である大脇雅子弁護士(元国会議員/写真)が 「送り出し機関での借金、日本の管理団体の搾取、まったく人道に反する扱いで ある。公的な職業安定機関が労働者の権利が守られるよう紹介すべきで、12カ月 以上の外国人居住者を移住者として保護する国際ルールも知らない人がつくろう とする制度は、技能実習生制度の問題を拡大するだけである」とあいさつし、改 正案を批判した。

 その後、クリーニング業界の外国人技能実習生の実態について鈴木和幸さん (NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート)、外国人技能実習生問題に長 年取り組んできた甄凱さん(岐阜一般労働組合/写真)が講演し、さらに佐々木史朗さ ん(全統一労働組合書記長)、土屋信三さん(スクラムユニオン・ひろしま委員 長)、指宿昭一弁護士が報告した。

 鈴木さんは、クリーニング業界が価格競争によって組織的に技能実習生を使う ようになり、不正・不当な競争が拡大していった経過を報告した。甄凱さんは、 カンボジア、中国、ベトナムの実習生の事例について、早朝から深夜までの長時 間労働、残業代は時給300円、賃金未払、強制貯金、給与明細書や雇用契約書の 不提示、労働災害、うつ病による自殺未遂、さまざまな差別・いやがらせなどを 報告した。

 佐々木さんは、岩手県の建設会社に雇用されたベトナム人技能実習生が福島県 で除染作業に従事させられた事件について報告した。土屋さんは、日立製作所笠 戸事業所(山口県)でフィリピン人技能実習生が、電気機器組み立てという実習 計画とは異なる新幹線車両に窓や排水パイプ、カーペットやトイレを取り付ける 作業しかしていなかったこと、法務省と外国人技能実習機構の調査により実習計 画違反を指摘され、99名の実習生が解雇された事件について報告した。解雇から 30日間の短期滞在許可期間の中で日立と団交を行い、残りの実習予定期間22か月 分の所定賃金の支払いを確認した。指宿弁護士は、茨城県の「協同組合つばさ」 で農業に従事していた中国人技能実習生の裁判で、残業代の支払いを命じた判決 があったが、日常的なセクハラ行為は認められなかった。控訴して争うと述べた。

 最後に、移住連の鳥井一平代表理事が「報告された実態は氷山の一角。日本は、 研修生・実習生と称して人権を無視した単純労働、低賃金労働者を受け入れてき た。いまや、外国人労働者なしに日本経済は回らない状況になっている。新たに 外国人を受け入れても、実習生制度の問題を解決するものでなく、問題を引き起 こす制度をさらにつくることに過ぎない。技能実習生制度を廃止し、人権と労働 権が保障された多民族多文化共生社会をつくろう」と発言した。〔伊藤彰信〕


Created by staff01. Last modified on 2018-11-12 18:49:51 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について