木下昌明の映画の部屋『ぼけますから、よろしくお願いします。』 | |||||||
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●木下昌明の映画の部屋 第246回 老いる両親のリアル―信友直子監督『ぼけますから、よろしくお願いします。』信友直子監督の『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、老いの生活がどんなものか、ありありと映し出されて、観客は自らの老後に対し、心構えのようなものができてくる映画である。 それは、広島県呉市に住む信友監督の両親の日々に光を当てたドキュメンタリー。それも時折帰郷する彼女自身が撮り続けたもので、アルツハイマー型認知症と診断された87歳の母、体力の衰えた95歳の父を中心に浮かび上がらせている。 撮影は「よう物を忘れる」という2年前の母から始まるが、次第に買い物さえままならなくなって父が代わるようになる。監督である娘は東京でテレビの仕事をしていて、両親の老いが気がかりで、父に「帰ろうか?」と問うても「帰らんでええ、あんたの道を進んだらええ」と断られる。 しかし、母は洗濯するといっても洗濯機の横で寝てしまうし、父は近くのスーパーに行っても電柱によりかかったり、買い物袋を提げてじっと俯(うつむ)いて動かなかったり。どうにもならない老いが娘の手によって切りとられている。 両親も合意の上の撮影であり、撮る側と撮られる側の間から情愛が伝わり、しんみりさせられる。写真好きだった若い頃の母の影響と、活字が好きでいまも向学心の強い父の包容力のたまものといえる。 また監督も45歳で乳がんを患った際、髪が抜けていくさまを自撮りして、『わたしの乳がん日記』としてテレビ放映している。それが多くの女性に共感と希望を与えたという。そうした経験を踏まえた上で、両親の暮らしに焦点を当てているので、酷薄なまで老いの修羅場に迫っている。 だんだん家事もできなくなって自分が壊れていくさまに身もだえする母、「助けてくれ」と叫んで寝床から伸ばしてくる母の手を、耳の遠い父が握るシーンなど圧倒される。 老いていくわたしたちの姿がここにある。 ※ポレポレ東中野にて公開中。全国順次公開 Created by staff01. Last modified on 2018-11-10 20:10:28 Copyright: Default |