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〔週刊 本の発見〕『ボクの韓国現代史 1959-2014』 | ||||||
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ひとりの思いが歴史を刻む●『ボクの韓国現代史 1959-2014』(ユ・シミン著、萩原恵美訳、三一書房)/評者:小番伊左夫
キャンドルを手に何度も広場を埋めた市民は朴槿恵(パク・クネ)罷免を実現し、大統領に就任したムン・ジェイン氏が2011年に出版した『文在寅の運命』にも「主人公は私とともに運命を作って来た大勢の人々、そして彼らとともに生きてきた時代」だと記されている。ともに民主化闘争を闘い、盧武鉉の元で参与政権を担ったムン・ジェインは青瓦台に再び戻り、ジャーナリストとして活躍するユ・シミンは、つい先日盧武鉉財団理事長に就任した。 本書は2014年の刊行以来、重版を重ねている(現在45刷!)。1年前、光化門前の教保文庫に行った際にも総合ランキングの上位にあった。著者は若者を中心に今も絶大な人気があるからだろう。歴史の中のできごとを見るとき、私たちは主役に目が向きがちだが、『1987、ある闘いの真実』で描かれたように、大きなうねりの中の一人ひとりの人生が歴史を形作っている。ユ・シミンもまた映画『1987、ある闘いの真実』のラストシーンに存在した民衆のひとりだったが、そのひとりの思いを綴ったのが本書だ。さらに綴られることのない一人ひとりの思いが歴史には刻まれている。 『ボクの韓国現代史 1959-2014』は、1959年生まれの著者自身が生きた同時代の韓国を「冷静な観察者ではなく苦悩する当事者として」振り返った書だ。著者の生まれた1959年以降、自らの価値観で判断した事象を配列・分析し、当時を振り返り描いていく。だから現代史でありながら、時系列ではなく分野ごとに進行する。第1章は「等しく貧しかった独裁国家」だった1959年と「偏って豊かな民主国家」の2014年を鮮やかに対比する。当時の日本を振り返りながら読むと興味深い。 第2章は60年代初頭の2つの政変を扱い、第3章は経済動向、第4章は政治の流れを、第5章は様変わりする韓国社会の実例をあげていく。第6章は残された課題、南北関係が記されている。 6月民主抗争当時27歳だった著者は「何もかもがゴチャゴチャだった。ビラはたちまち底を突き、仲間は散り散りになってみつからなかった。1980年5月15日のソウル駅前広場のときがやはりそうだったように、1987年6月10日のソウル都心で僕が見たのも混沌だった。けれど今度は怖くなかった」と当時を振り返る。 2011年以降、高揚したかに見えた社会運動が成果を出せないままに安倍政権の暴走を許してしまっている日本社会の私たちにとって、韓国現代史には学ぶべき本質的なものがある。私たちが「世代を超えて団結して抗う社会」が実現できないのはなぜなのか。韓国現代史を知ることは、日本現代史に向き合うことに他ならない。著者が日本の読者に宛てたサインにはこうある。(写真上) 「歴史が未来です」 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・佐藤灯・金塚荒夫ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2018-11-01 09:09:02 Copyright: Default |