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「与党の得票率の高い地域から再稼働が進む」〜7.20道庁前行動レポート

7月20日(金)も、通算299回目となった道庁前行動が行われた。

常連メンバーの女性、Oさんは、再生エネルギーが世界の潮流になりつつある状況を踏まえ、「再生エネルギー中心のエネルギー構造に変えることは人々の生活様式や社会の在り方まで変えるような大変革だが、だからこそそこから新しい時代が開ける」とエネルギー政策の転換を訴えた。

同じく常連メンバーのYさんは「障がい者の入所を断る施設、パワハラがはびこる職場、原発を続ける電力会社、これらはすべてつながっている。差別、パワハラ、原発をなくそう」と訴えた。

最後に私、黒鉄のスピーチ全文をご紹介する。「どこのどの原発から再稼働するか」を政府・電力会社は何を基準にして決めているのか。今回のスピーチでは「隠れた再稼働の実施基準」について考察してみた。(黒鉄好)

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 みなさんこんにちは。

 この道庁前行動も、この7月で6周年となり、7年目に入ります。そして来週、7月27日の行動で300回を迎えます。私は残念ながら来週、そして再来週と参加できません。そこで1週早いですが、道庁前行動6周年と300回記念の特別企画として、今日はこれまでどこでも語られなかった驚くべき新事実を皆さんにお伝えします。題して「原発再稼働の順番は何を基準にして決まっているか」です。

 全国各地で粘り強く上がり続ける反原発の声にもかかわらず、福島第1原発後、日本では原発再稼働が進んでいます。この再稼働の基準、別の言い方をするならどの原発から先に動かすかを政府や原子力ムラがどのようにして決めているのかというのが今日のテーマです。

 原発再稼働に当たっては、福島第1原発事故後に改正された原子炉等規制法に盛り込まれた新規制基準を根拠に、原子力規制委員会が「適合審査」を行い、合格したら決定書が交付され稼働できるようになるというのが一応の建前です。しかしこれはもちろん建前にすぎません。田中俊一・前規制委員長自身が、適合審査を「安全とは申し上げない」と言っていますし、彼らは権力を持っていますから、自分たちが原発を建てた場所、建てようとしている場所をいくらでも安全だということにしてしまえるからです。今では原発に反対している小泉純一郎元首相は、首相在任当時「自衛隊のいるところは非戦闘地域」という迷言(?)を残しましたが、政府・原子力ムラにとっても「原発のあるところは安全地域」なのです。そんな連中の言っている「安全」に何の根拠もありません。

 そうなると再稼働の順序が何を根拠に決まっているのかますますわからなくなります。そこで、今日は皆さんのお手元に資料をお配りしています。これからはその資料を見ながら聴いてください。この資料は、やや古いですが、民主党政権が倒れ自民党に政権が戻った忌まわしい2012年総選挙で、全国11ある比例区の地域ブロックごとに与野党の得票率が有効投票数の何%あったかを集計し、それを現在までの原発再稼働状況と照らし合わせたものです。与党の得票率が高いブロック順に順位も付けました。

*参考資料(与野党得票率と原発再稼働状況)pdf

 これを見ると、有効投票数全体に占める与党票の割合がダントツに高いのが中国ブロックで49%と与党が過半数に迫っています。次に高いのが九州ブロックと四国ブロックで46%。北関東ブロックが41%の4位で続き、5位が40%の北陸信越ブロックです。この北陸信越ブロックにはなんと原発が17基もあり、これでは命がいくつあっても足りません。以下、6位東海ブロック、同率で7位が北海道と東北ブロック、同率で9位が南関東と近畿ブロックです。そして与党の得票率が最も低いのが東京ブロックです。

 こうしてみると、与党の得票率は大都市で低く地方ほど高いこと、そして全体的に西に行くほど高く東に行くほど低い「西高東低」型であることがわかります。中国、九州、四国は40%台後半で、この3ブロックが原発推進の自民党政権を支えていることも見えてきます。

 原発が再稼働している地域を見てみましょう。九州ブロックが玄海の3、4号機と川内1、2号機。5基のうち4機がすでに再稼働しています。四国は伊方の3号機が再稼働しましたが、ご存知のように広島高裁の仮処分で現在止まっています。そして北陸信越ブロックが大飯の3、4号機と高浜の3、4号機。合計4機が動いています。

 与党の得票率が同率2位の九州、四国ブロック、5位の北陸信越ブロックに再稼働が集中していることがわかります。これで今日、私が申し上げたいことは皆さんにわかっていただけたと思います。政府・原子力ムラは、安全性を根拠にして原発再稼働の順番を決めているのではありません。ずばり「与党の得票率が高い地域から順」に再稼働が決まっているのです。

 しかしこれは別に不思議なことでも何でもありません。与党の得票率が高いということは、逆に言えば反対勢力の少ない地域、反対運動が孤立させられ力を結集できない地域ということでもあります。あなたが与党の政治家なら、反対、抵抗の動きが強いところと弱いところではどちらを選びますか? 同じ結果を出すなら反対、抵抗の少ない地域を選んだほうがかけるエネルギーが少なくて済むのですから当然です。

 与党の得票率がダントツに高い中国ブロックで、島根原発が動いていないことは不思議に見えます。しかしこれにも理由があります。安倍首相が山口県、最大派閥・細田派の細田博之会長は島根県。ここには竹下派の竹下亘会長もいます。石破派の石破茂会長も島根、岸田派の岸田文雄総務会長は広島です。自民党に8つある派閥のうち4つのトップが中国ブロックに集中しています。安倍首相を加えると5人です。自民党が「合区」されてしまった島根・鳥取を救済するためだけに選挙制度改悪法案を強行して通した理由もこれでよくわかります。

 島根選出の細田さんは、自民党の原発推進派議員連盟である「電力安定供給推進議員連盟」の会長で、過去には「福島の不幸くらいで原発をやめるわけにいかない」と発言して批判された過去もあります。本当に原発が安全だと思っているなら、まずご自分の地元の中国ブロックで堂々と原発を動かせばいいんです。でもこの人たちは、自分たちの地元の原発は動かさずに安全地帯にしておいて、他の地域で反対勢力が弱いところから順に原発を動かしていっています。自民党は本当に卑劣で汚い政党です。

<参考記事>「原発推進 世界中言ってる 福島の不幸でやめられない」自民・細田幹事長代行が暴言(2013.7.24付け「しんぶん赤旗」) https://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-24/2013072401_04_1.html

 「どうせ自民党が勝つから仕方ない」とみんなが選挙に行かなければますます自民党の得票率が上がります。たとえ自民党が勝つという結果は変えられなくても、自民党の得票を1票でも減らす。得票率を1%、いや0.1%でも0.01%でもいい。減らすことが再稼働を遠ざけることにつながることを、今日私がご紹介したデータは示しています。先ほど私は自民党の得票率が「西高東低」だとお話ししました。西高東低はお天気の世界では「冬型」気圧配置といわれます。しかし、冬来たりなば春遠からじ、永遠に終わらない冬はありません。冬の後に春は必ず来るのです。小選挙区制の下で死票になってもいいんです。あきらめずに選挙に行き、野党に投票して自民党の得票率を減らしましょう。

 さて、来週はいよいよ300回を迎えます。私は大阪に行くのでこの道庁前には参加できませんが、大阪で関電前の行動に参加してきます。道庁前の行動が300回に達したことも大阪の皆さんに報告したいと思います。皆さんきっと元気が出て、暑さも吹き飛ぶと思います。

 今日は以上で終わります。ありがとうございました。


Created by staff01. Last modified on 2018-07-24 11:25:10 Copyright: Default

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