![]() |
〔週刊 本の発見〕『近代日本一五〇年―科学技術総力戦体制の破綻』 | ||||||
Menu
おしらせ
・レイバーフェスタ2024(報告) ・レイバーネットTV(3/12) ・あるくラジオ(2/23報告) ・川柳班(2.28句会) ・ブッククラブ(3/20) ・シネクラブ(3/22) ・ねりまの会(4/12) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭 ・夏期合宿(8/24) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第99回(2025/3/10) ●〔週刊 本の発見〕第379回(2025/3/6) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2025/3/6) ●川柳「笑い茸」NO.159(2025/1/27) ●フランス発・グローバルニュースNO.17(2025/3/1) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第98回(2025/2/18) ●「美術館めぐり」第8回(2025/2/24) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信・Tansa
|
鋭い問題提起と自由で批判的な思考●『近代日本一五〇年―科学技術総力戦体制の破綻』(山本義隆、岩波新書、940円)/評者 : 志真秀弘
本書の冒頭で、幕末から明治にかけ、日本はいかにして欧米の科学技術に出会ったかが語られる。1860年(万延元年)蒸気船ポーハタン号で幕府使節団が渡米する。目的は日米修好通商条約の批准書交換だったが、同時に米国国力の視察でもあった。この視察の詳細な記録がのこされている。『航米日録』(玉虫佐太夫)がそれである。身分制社会の視野から近代社会のそれへと玉虫が変化していく様子は興味深い。このポーハタン号に随行した咸臨丸で福沢諭吉も渡米する。彼は、オランダ語と英語をすでにマスターしていて、蒸気(熱)の動力使用と電気の通信への使用に示される欧米のエネルギー革命を正確に捉えていた。
明治期の急速な資本主義化の成功の所以をあげながら、同時にそれは農村労働力の過酷な収奪(女工哀史)、農村共同体の無残な破壊(足尾鉱毒事件)の上に成り立ったものであることが指摘される。著者の立場が民衆の、人民のそれであることは、改めていうまでもない。それは全編を貫いている。
著者は奥付に「元東大全共闘代表」と記している。昨年秋、国立歴史民俗博物館で「『1968年』無数の問いの噴出の時代」が企画展示された。その時求めた図録にコラム「山本義隆と秋田明大」(黒川伊織)が載っていて、そこに最近京都での展示「ベトナム戦争とその時代」に来て、主催のひとりとして細々とした雑用をこなしながら雑談に応ずる気軽な山本の様子が描かれている。別の本、たしか『私の1960年代』だったかと思うが、山本義隆自身が、日大全共闘の人たちは運動の果てしない雑用を、てきぱきとしかも何気なくこなしていたと敬愛込めて語っていたのを読んだ。全共闘運動が全国各地に広がったのは、日大全共闘あってだったと私も思う。 本書は、その全共闘運動のはしくれだった私をいろいろに励ましてもくれた。 *「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人・渡辺照子・志真秀弘・菊池恵介・佐々木有美・佐藤灯・金塚荒夫ほかです。 Created by staff01. Last modified on 2018-03-15 15:18:32 Copyright: Default |