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喜多見と狛江の小さな映画祭・実行委員長インタビュー
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 喜多見、狛江と言われて、すぐわかる人は多くない。調布、成城、二子多摩川、そして多摩川を挟んで川崎に囲まれた地域なのだが、急行が止まる駅もなく、大学や有名な何かがあるわけでもない。喜多見と狛江を合わせて人口十万程度の小さな東京のベッドタウンで、ぼくが小学生だった頃から暮らしている町でもある。

 そんな喜多見・狛江で毎年、小さな映画祭が開かれている。五回目になる今年は8月20(日)と23日(水)から27日(日)までの合計6日間、映画12本といくつかのイベントで構成される。豪華な映画祭ではない。主に小さな会場で入場者も数人から数十人のことが多い。それでも毎回、プログラムはなかなか挑戦的だ。

 地元の映画祭ということもあって、先日、実行委員長の高山正樹さんから直接、「喜多見と狛江の小さな映画祭」についてお話を伺った。

 まず今回のテーマ、あるいは上映作の選定基準は、という質問に、高山さんは「テーマというようなものは特にない。自分が観たい映画を選んだだけだ」と言う。実際、そうなのだろうと思う。しかし、今回は全編に字幕を付けるという。大半は日本語の映画なのだが、耳が聞こえない、あるいは聞きづらい人のためだ。そのような観客がどれだけ来場するのかわからないが、さて、耳が聞こえない人のためだけの字幕なのだろうか。

 今回はまた「+α」としていろいろなイベントが用意されている。20日には地域で食堂系の活動をしているグループとのコラボレーション、「夏休み! みんなで食堂」と題した食とパフォーマンスの場が、そして24日には目が見えない篠笛奏者とともに、暗闇の中で高山さんが「耳なし芳一」を語る。そして最終日の27日には断食芸人、赤軍PFLP世界戦争宣言の足立正生監督、そして鈴木邦男氏のトークがある。

 字幕で見せる映画から夏休みのこどもイベント、夏の夜の怪談話に極左・極右のトークまで、バラエティに富んでいるというべきか。

 会場も面白い。公民館だったり、高山さんのスペースだったり、あるいは映画の上映には苦労しそうな甘味屋だったり。多くの人を集めて上映をするのなら適当な公的施設もあるはずなのだが。いや、そもそも多くの人を集めるつもりなら、喜多見・狛江などという普通の人には馴染みのない地域ではなく、新宿や下北沢のような場所を選ぶ方がいいのではないか。

 高山さんは「コミュニティにこだわりたい」という。さまざまな思いや考え方を持つ老若男女が共に暮らす地域で、共に映画を観て、あるいはイベントに参加して、何かを共有し、語り合うのが面白い。類が共を呼ぶ小さな集団の中で、何か「正しいこと」を語り合うのではなく、普段は何の共通点もなく、出会うこともない地域の隣人たちが映画やイベントを媒介として集まることが面白いというわけだ。

 急行も止まらず、大学もない喜多見・狛江という何もない町で開かれるこの小さな映画祭には、数々の挑戦が埋め込まれているらしい。毎回、この映画祭、気にはしつつもいつも参加をパスしてきたのだが、今年は参加してみようと思っている。

第五回 喜多見と狛江の小さな映画祭+α

期間:8月20(日)・23日(水)〜27日(日)
上映スケジュール
○印は特別プログラム

8月20日(日)

 ●10:00 「あの、夏の日 とんでろじいちゃん」(123分)会場:西河原公民館
 ○12:30 “夏休み! こどももおとなも みんなで食堂” 会場:西河原公民館
 ●18:00 「二十四時間の情事(Hiroshima mon amour)」(91分)会場:西河原公民館

8月23日(水)

 ●10:30 「FAKE」(109分)★日本語字幕付 会場:M.A.P.
 ●14:00 「天皇と軍隊」(90分)会場:M.A.P.
 ●19:00 「あの、夏の日 とんでろじいちゃん」(123分)会場:甘味処 わらびー

8月24日(木)

 ●10:00 「第九条」(78分)会場:中央公民館
 ●13:00 「フリークス」(90分)会場:中央公民館
 ●16:00 「あだ名ゲーム」「食べる」(各13分)会場:中央公民館
 ○19:00 ライブイベント「耳なし芳一」他(123分)会場:中央公民館

8月25日(金)

 ●13:00 「日本心中 針生一郎・日本を丸ごと抱え込んでしまった男」(87分)会場:M.A.P.
 ●16:00 「断食芸人」(109分)会場:M.A.P.
 ●19:00 「FAKE」(109分)★日本語字幕付 会場:M.A.P.

8月26日(土)

 ●11:00 「フリークス」(90分)会場:M.A.P.
 ●14:30 「二十四時間の情事(Hiroshima mon amour)」(91分)会場:M.A.P.
 ●18:00 「第九条」(78分)会場:M.A.P.

8月27日(日)

 ○10:30 「赤軍PFLP・世界戦争宣言」(71分)+足立正生監督トーク 会場:M.A.P.
 ○13:30 9.11-8.15 日本心中」(「針生一郎…」の続編)(145分)+トークショー:足立正生監督vs鈴木邦男氏 会場:M.A.P.
 ○18:00 「天皇と軍隊」(90分)+鈴木邦男氏(元一水会最高顧問)トーク 会場:M.A.P.

会場:

(1)M.A.P.(狛江市岩戸北4-10-7-2F 島田歯科の上)小田急線喜多見駅徒歩5分
(2)甘味処わらびー(世田谷区喜多見8-11-18)小田急線喜多見駅徒歩5分
(3)狛江市西河原公民館ホール(狛江市元和泉2-35-1)狛江駅徒歩15分(バスあり)
(4)狛江市中央公民館講座室(和泉本町1‐1‐5)狛江駅徒歩5分

料金:

 ●前売り 1,000円(当日 1,200円)
  ※介助が必要な方は、お二人で一人分の料金またはチケット1枚
  ※なお、M.A.P.会場は車椅子の対応ができていません。どうぞお問合せ下さい。
 ●学生及び75歳以上 前売り 500円(当日 700円)
  ※受付で学生証・保険証等を提示してください。

予約・問合せ

 映画祭事務局 Tel:03-3489-2246 Fax:03-3489-2279
 Mail:kitamitokomaenoeigasai@gmail.com (担当:うぶかた)
 Web:http://kitamitokomae-artfes.com/
 オフィシャルHP http://kitamitokomae-artfes.com/5th/index.html


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